翼をもらったツキ。 第7話
ルナと利の、快進撃が始まったかに見えたが…?!
この小説は、ブルガリア民話をもとにした、すこしふしぎ小説です。
【二次創作】【重複投稿】
第7話
「どうもー!『ルナ蔵』のかがちゃんです!」
「ルナちゃんです!!もりもり食べます!」
あれからというもの、利とルナのコンビ、
『ルナ蔵』は、破竹の勢いで知名度と評判を
上げていった。
それもこれも、ルナのビジュアルと、それをいい意味で
裏切る斬新なネタがあったからである。
利の生活は、これまでの鳴かず飛ばずの生活から
一変した。よく大橋がぼやく
「ああー、忙しいったら仕方がない。休みくれー」
という気分にさせてくれるほど、仕事漬けの日々を
過ごしている。
「る・な・ちゃん!お疲れ~。」
テレビの収録が終わった後、利とルナは、
番組のプロデューサーに呼び止められた。
薄手のカーディガンを肩で羽織って袖を
結んでいるファッションは、10年以上流行を
先取りしている。
「ルナちゃん、今日も面白かったよ~。
あのネタもよかったし、前回の『ココア雑巾』の
やつもすごかった。あんなネタ、いつも
どうやって考えているの??」
プロデューサーの問いに、ルナは胸を張って
答えた。
「それは、きぎょうひみつですよっ!」
「教えてくんないの~?!がっくし~!
ああ、それはそうと、…えーと、君、利君だったよね?
よくこんな逸材見つけてきたね。
青梅君に逃げられてよかったんじゃないの~?
じゃ、次回もよろしくね~。」
プロデューサーが足早に去っていたあと、利とルナは
深夜のテレビ局を後にした。
このごろ、ルナは屋外に出ると、じっと空を見上げて
いることが多くなった。しかも、とても悲しげに…。
「あの、ご主人様?」
「ん、どうした?」
「今日も月が見えませんね。雲もないのに」
「そうだな。東京の高層ビルで見えないだけ
なんじゃないかい?」
「……。」
ルナの沈黙に戸惑う利。
と、その時、ルナの携帯電話の着信音が鳴りだした。
軽快なピアノ音の音楽はガブリエル・フォーレの
「月の光」だったが、その時の利は知らなかった。
「ご主人様、ちょっとその場で待っててください。」
ルナは柱に隠れて、電話の受け答えをしている。
いったい何を話しているのだろう、相手は?
利があれこれ好奇心を膨らませていたその時、
「えっっ?!月が出せない?!」
電話を両手で持って、いきなりルナが叫んだ。
「…だって、ちゃんと引き継ぎもできてたのに…
はい、はい、えぇ…わかりました。」
電話から戻ってきたルナは、笑顔が消えていた。
複雑な心情を隠せないでいる様子だった。
「どうした?ルナ??」
ルナが重い口を開いた
「ご主人様、アパートに帰りましょう。
…お話ししたいことがあります」
(続く)