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翼をもらったツキ。 第6話

さて、ルナの実力とは・・・?!


この小説は、ブルガリア民話をモチーフにしたすこしふしぎ小説です。

【二次創作】【重複投稿】

第六話


「はっきり言って、かがにピンでやる実力はないですよ」

 円堂えんどう 清人さやとは、事務所のビルの社長室で

サンドイッチを頬張りながらそう言った。

 隣に座っている英国紳士のような白髪の男こそ、

高橋エストレラ事務所の社長である、高橋たかはし 保志男ほしお

である。


「いや、あいつもあいつなりにネタを作れることは知ってます。

知ってますよ?…まあ、くすっと笑えることは出来るんですが、

そこで終わり。客の意識をスルーするんです。

客の心に残らなかったら、くそツマラナイのよりなお悪いって

言ったの、社長じゃないですか。」


 高橋は、にこにこと微笑んでいる。


青梅おうめの奴が、もうちょっとわかりやすい変な奴だったら

利も引き立ったかなあ。…兎にも角にも仲がいいだけで

ビジネスとして成立していない。『市蔵』はどのみち生き残れない」


 高橋は、にこにこと微笑んでいる。


「社長?」


 高橋は、にこにこと微笑んでいる。


「はぁ…。社長お得意の体験させて学ばせるスタイルですか」


 高橋は、やっぱりにこにこと微笑んでいる。

と、そのとき、ノックの音がした。


「失礼します」噂をしていた利と、

「失礼します!」若い女性の声がした。


「おう、入んなよ。」サヤトはそう言った後、少し驚く。

 利の隣には、メイドさんドレスを着ためっちゃ可愛い女の子がいる。

「社長!サヤトさん!」仕事以外は自分を抑え目にしている利が、

瞳をきらきらしながら声を張る。

「彼女こそが10年に1度の逸材です!」

 その次に、メイドさんがミニスカートを広げて挨拶する

「こんにちは!桜生さくらい・ルナ・イシルウェンです。

則天武后そくてんぶこうに似ているってよく言われます」


 この何となくゆるいギャグをかました美少女は何者だろう。

利の奴、とうとう自暴自棄になって閉じこもりがちな

シュール芸に目覚めてしまったのであろうか?


 サヤトは恐る恐る利に尋ねた。

「か、かがっち、もしかして君、このルナちゃんと」

「はい!俺、このルナとコンビを組みます!」

 利はやや食い気味に答える。


 サヤトは変な汗をかきだした。

「しゃ、社長?どうしますか、ひとまずネタを…」

 高橋は、にこにこと微笑んでいる。

「と、いうわけだから、ネタ見せて?」

 分かりました!とルナちゃんが片手を上げた。


 数分後。


「―――ですからね、ご主人様、

このドリンクにはだんご虫200匹分のビタミンCが

はいっているんですよっ!」

「もういいわ。 ありがとうございました!」

「ありがとございまーす!!」


 サヤトは隣を見た。

 社長がいる。

 いつもは『市蔵』の漫才なんて、つまらなくて

途中で部屋を出てしまう社長が残ってにこにこしている!

 奇跡だ!

「サヤトさん、ですよねっ??」

 ルナがこっちを見て言った。

「いかがでしたか?面白かったですか?」

 サヤトは聞いてみた。

「…このネタって、ルナちゃんが考えたの?」

 はい、ルナは無敵のスマイルで答えた。

 サヤトは椅子から立って拍手した。

「すごいよ、ルナちゃん。…こんなかわいい子が

こんな面白いネタを考えるなんて!!」


 その後の高橋エストレラ事務所は大騒ぎだった。

驚異の新人誕生に、皆が興奮していた。

社長やサヤトだけでなく、スタッフや芸人仲間も

ルナの驚異的なネタの虜になった。

 社長、サヤト、マネジャーも、ルナのネタを

各媒体のえらい人に見せれば、仕事がガンガン

舞い込んでくるのではと、言ってくれたのである。



 嵐のような昼が過ぎて、利とルナが自宅のアパートに

着いた時には、真っ暗な夜になっていた。

「あーーー!ひっさびさにスカッとしたー!!」

 利が出せる範囲内の声で叫んだ。

傍らでルナが聖母の微笑みをかけている。

「見たかルナ!?マネジャーも夏目もルミコも

ルナのネタの虜になっていたぜ!」


 そのときルナは、窓から夜の空を見上げていた。


「どうした?」

 ルナははっとして、

「え?いえ、何でもないですよ。ご主人様。…

そろそろ眠ってもよろしいですか?」

「…。ああ、疲れているだろ。おやすみ。」

 ルナは大きな羽箒を振りかざし、人形の姿に

戻ってしまった。毎晩、眠るときは人形に戻るのだ。

 ま、いいか。ゆっくり休んでくれ。

これから忙しくなるからな。利は心で呟いた。


「これから二人で、俺らのこと散々バカにしていた

連中を、あっと言わせてやろうぜ!」


 このとき、調子に乗って興奮していた利は、

気づくことが出来なかったのだ、

今晩昇るはずだった月が、今まで心の支えにしていた

あの優しい月が照っていなかったことを。


(続く)

 

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