翼をもらったツキ。第4話
ついに真犯人が明らかに!
この小説は、ブルガリア民話をもとにしたすこしふしぎ小説です。
【二次創作】【重複投稿】
第四話
―――利の住む安アパートに、「犯人」はいた。
家主のいない間に、冷蔵庫を散策中である。
―――今晩のおかずは市蔵の好きな
ジャーマンポテト風にしよう。
実家から贈られてきた男爵イモと玉ねぎが多めであれば、
ベーコンは少なくても大丈夫だ。
…塩コショウはあったかな?
ここは都内某所にあるビルの7階にある
「高橋エストレラ事務所」のオフィス。
お笑いコンビ「市蔵」の所属している芸能事務所だ。
創設者・高橋 保志男が、
「今の時代・格式ににとらわれない、未来のパイオニアたる
星を世に輩出する」という構想のもと、
歌手・俳優・モデル・コメディアンとジャンルの垣根を超えて
タレントの育成に力を注ぎ続けた。
もっとも、今のニーズにマッチしたタレントなんて
目指していないし、いかんせん小規模事務所なわけだから、
かなり苦戦を強いられている。
それでも、高橋社長はブレずに未来の星を育て続けている。
そんな社長のもとに、未来志向のタレント志望者が
不平も言わずにつどっている―――そんな事務所である。
利は、「青梅失踪事件」の
罪滅ぼしの意味で、バイトのない日に昼間の電話交換や
データの打ち込み等の雑用をしているのである。
「ふーん、そんなことがあったわけだぁ。」
オフィスの休憩スペースで、利の話を親身に聞いていたのは、
高橋エストレラ事務所の中心的存在である
円堂 清人だ。
本業は新進気鋭の演出家。どんな芝居も彼にかかると
「サヤトテイスト」になってしまうので、
業界では「魔女」と恐れられている。
他にも歌手や、バラエティタレント業もこなしている。
「かがっちもいろいろ災難だよなあ」
サヤトは本日3本目のマイルドセブンをくわえ、
利がジッポライターで火を点ける。
この業界にいるとなかなか止められない。
「それはさ、こういうことじゃない?」
汚く脱色された金髪をかきあげながら、サヤトは言った。
「犯人は、かがっちのいない昼間に現われる!」
利は思わず立ち上がった。
「そうか、そういうことか!」
銀のマウンテンバイクを飛ばして、利は我が家へ向かう。
膝は乳酸地獄。それでも急いだ。いったい犯人はだれだ?!
到着した。表札は、「201 利」。
「誰だ!」利がドアを開けた先にいたのは…
「きゃっ!」
なんと、人形じゃない、生身の人間のルナだった。
(続く)