翼をもらったツキ。 第10話
利は無事に羽箒の羽を集められるのか……?!
この小説は、ブルガリア民話をもとにしたすこしふしぎ小説です。
【重複投稿】【二次創作】
第10話
「う…うーん……ごしゅ、じんさま、?」
ルナが目を覚ましたのは、利が
旅立ってから3日後の夜のことだった。
傍らには、大橋がコーラを飲みながら、
週刊少年漫画誌を眺めている。
「由宇一さん…?あの、ご主人様は?」
「あやつなら、羽箒の羽を集めに一人でどっか行ったよ」
思わず起き上がってしまった、頭がくらくらする。
「そんな?!あれは優さんが専門家に何人も
協力してもらって…」
「そおだな…無理かもな…
今頃どこかの山の中で遭難したんじゃねえのか?
それと…」
―
「くっそー!どこだよここは!」
利は今、北関東のとある山の中で路に迷っていた。
「あのじじい!騙しやがったな」
昼頃、羽根付きのハットを被った、いかにも
アウトドアが好きそうな老人と、山のふもとで会った。
事情を話すと、老人は自分のことを「野鳥愛好家」である
ことを打ち明け、野鳥が沢山いるスポットを教えてくれた。
しかし、鳥がいっぱいいるスポットなど無く、地図も
恐ろしいほどに不親切。日も落ちて、完全に路が
わからなくなってしまったのだ。
携帯電話も圏外。以前読んだ漫画の真似をして、
持ち物を駆使し、火を起こすことは出来たが、完全に
どうしていいか分からない。途方に暮れていた。
昼、山道で人間の物より倍近い大きさの大便が
落ちていた。もしかしたらヒグマに喰われてしまうかも
しれない。
……いや待て、本州にヒグマはいただろうか?
とにかく、もう、駄目かもしれない。
そう覚悟したときだった。
「おーーい、そこにいるのは利君?」
利は心臓が痛くなるほどびっくりした。
これまでずっと、聞きたかった声が近づいてくる。
「―――青梅!」
懐中電灯を持ったその男は、間違いなく「市蔵」の
ボケ担当、青梅 厚樹だった。
なんでここにいるんだよ?利が聞いた。
「旅から帰って来たとき、大橋君に事情を聞いたんだ。
利君はルナちゃんの羽箒の羽を集めているんだよね?
きっとここで道に迷っているとおもってさ。
――あのお爺さん、麓でも評判のほら吹きらしいよ」
「すごいな、なんで分かったんだ?」
不思議がる利に、青梅はウインクして答えた。
「だって、僕、日本中の鳥の羽を集めて旅をしていた
のだもの。あのお爺さんには僕も騙された。
羽はもう全部集めたよ。だから、もう利君は
探さなくていい。東京に帰ろう。」
ふもとに、青梅の軽自動車が停まっていた。
後部座席には、青梅が集めた沢山の鳥の羽が積まれている。
「青梅…お前ってやつは」
利は笑うしかなかった。
こいつはいつも、そういう男だったな。
これでルナの羽箒が出来る!二人は早速東京の、ルナが
待っているぼろアパートに向かったのだった。
(続く)




