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~の愛が重すぎる!

作者: kai
掲載日:2026/10/01

初めまして。kaiといいます。普段はR18の小説などを別サイトで書いているのですが、一般向けの小説を作ってみようと思って書いてみました。続くかどうかは未定ですが、楽しんでいただけたらぜひ感想などいただけると幸いです。


「おはよー」

「おはー」


朝のにぎやかな登校風景。

友人たちと語らったり、笑い合ったり。

そんな中


「…」

「なんであいつが…」


一部の男たちから向けられる、じろじろとした視線。

慣れたものだが、気分がいいものではない。

その原因は俺…ではなく、隣の、


「やっぱ、お前目立つなー」

「そんなことないよ」


一緒に登校している俺の幼馴染だったりする。

朝霧モカ。

少し恥ずかしがり屋な俺の幼馴染は、今日も随分と人目を集めている。


「ジュウ君…」

「はいはい。まあ、お前の見た目だからな。

やっぱ、アイドルとかになれるんじゃね?」


さらさらのロングヘア。

うつむきがちな性格とは裏腹に、一目でわかるスタイル。

そして何より、その愛らしい顔立ち。

わが幼馴染は今日も、その可愛らしさで周囲の視線を釘付けにしている。


「無理だよ。私、そんなの」

「はは。だよな。

まあ、モカがそんなものになったら、今以上に気軽に話しかけづらくなって嫌かもしれんし」

「…! ジュウ君のばか」


照れたように俺のほうを見る。

その綺麗な瞳に今日も吸い込まれそうになるが


「…っち」


周囲からの視線で正気に戻る。


「うう…」

「有名税ってやつだな」


実際、大半の視線は微笑ましいものだ。

ただ、その中の一部に俺への明らかな嫉妬が混ざっているというだけで。


「別にモカが嫌われてるわけじゃないんだから」

「そうかな?」

「そうそう。

だから」


普段だったら、ここで終わる。

けれど今日は、少しだけモカと朝話すことができて気分がよかった。

だから


「…!」

「へへ。見せつけてやろうぜ」


ぎゅっ。

モカの小さな手を握る。

するとモカは、真っ赤になって固まってしまった。


「「…っっち」」


男たちの怨嗟の視線が見える。

だが、無視無視。

へへ。これが幼馴染特権よ。

そうして、針の筵のような、ご褒美のような朝を過ごし、今日も一日が始まったのだった。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「おはよー」

1年3組の教室のドアをくぐると、やはりというべきか、いつも通り微妙に距離を置かれる。


「おす。おはよ」


そんなクラスの空気をいい意味で読まず、声をかけてくるのは、やはりいつも通りのこいつで


「おはよ。

今日は早かったんだな」

「妹が今日は日直らしくてな」

「相変わらずだな」


このクラス唯一の友人ともいえる修二は、今日も変わらずブラコンを極めていた。


「しっかし、朝のあれ、すごかったな」

「見てたのかよ」

「おう。朝霧さん、すげーな」

「あいつはいつだってスゲーよ」


運動はあれだが、勉強はかなりできる。

それでいて、あの引っ込み思案だ。

だからこそ変なのに引っかからないか心配になる


「変なのって…

お前、本気で言ってるのか?」

「?」

「もう引っかかってるだろ。

一番変なのに」

「失敬な。俺はあいつのことが大好きなだけの、ただの幼馴染だぞ」

「…」


変なものを見る目で見られた。

そんなー。


「だって、お前、朝は」

「モカと毎日一緒」

「昼は?」

「モカのクラスに行って一緒に食べる」

「夜」

「モカと電話。テストが近いときは勉強教えてもらう」

「十分だろ!」


いやいや。俺なんてね。


「十分だわ。お前、朝霧さんが許してるからいいけど、ストーカー一歩手前だぞ。重すぎるだろ」

「だって、モカだぞ。ぶっちゃけ、今年クラスが離れてることすら苦痛で仕方ないんだぞ」

「せめて、だろ。クラスまで一緒だったら、もうストーカー確定だわ」

「ストーカーって、人のことを…」


実際、クラスが離れたことすら、十年以上一緒に過ごしてきて初めての経験なのだ。

あ、モカ今何してるかな?


「お前はあれだ。愛が重すぎ」

「そんなに好きなら告白とかしろよ」

「告白か…」

「あれ、なんかあった感じ?」


告白ね。

そうか。そういえば、こいつに言ったことなかったな。


「俺、告白はもうすでに何回もやってるんだよな」

「あれ? じゃ、あれだ。伝わらなかったパターンか。花火の音で告白が遮られたみたいな」

「マンガじゃねーんだから、そんなことあるわけないだろ。しっかり伝えたわ」

「それで…なんて?」


返事ね。

最初の告白。

小学生の頃から決まっている。


「断られ続けてるわ。ボケ!!」

「っ! ははははは!! マジかよ! 断られてるのに、あのムーブなのかよ! はははは!!

一周回って、どんなメンタルしてんだよ。バカじゃねー!!」


くっそ。

だから言いたくなかったんだ。

告白なんて、苦い思い出でしかない。


「でも、一緒に登校してくれてるんだろ。まあ、元気出せよ。告白失敗ジュウくん」

「殺す」

「まあまあ。しっかし、朝霧さんがお前の告白を断るって、なんかイメージ湧かねーな。ぶっちゃけ両思いだとばかり思ってたし。

やっぱ、他人同士だとそんなもんなのか。

やっぱ、一番は身内。そう、妹を一番にすれば、そんな苦しみはないんだよ」

「いや、お前も大分あれだからな」

「妹最高ー!! お兄ちゃんはいつでもお前のことを思ってるからな!」

「いや、お前。よくそれで俺に愛がどうの言えたな!」


相も変わらず、この変態ブラコン男は妹のいると思われる私立中学のほうへ思いを馳せていた。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「相変わらず、修二君は面白いね」

「いや、あいつのブラコンは筋金入りだな。もう助からん」


放課後。

今日もひと悶着あったが、無事にモカと帰宅できることにほっとしつつ、下校する。


「でも、大丈夫?

その……クラスで」

「ああ、心配するな。全然平気だよ。修二のやつもいるし、にぎやかなぐらいだ」

「そっか。よかった」


そう言って、大きな胸をなでおろすモカ。

ああ、やっぱり俺


「それじゃ、ここまでだね」

「あれ、もうモカの家についちまったのか」

「ジュウ君と一緒にいると、時間が過ぎるのが早いね。

今日の宿題。数学出てたんだよね? あの先生、宿題忘れると怖いから忘れないようにね」

「ああ。

いや、その……今日も電話かけるよ。また、わからんところあるかもしれんし」

「もう、ジュウ君なら大丈夫だよ。

それじゃ」


そう言って、家のほうへと向かっていくモカの背中に、つい


「好きだ」


修二のやつにその話題をしたからだろうか。

つい口からこぼれてしまった。


「……!」


ああ、くそ。

今日言うつもりじゃなかったんだけどな。

ただ、出てしまったものは仕方ない。


「好きだ。モカ。付き合ってくれ」


今までの告白に比べれば、勢い任せのそれ。

場所も選んでいない。

雰囲気も唐突すぎる。

だけど、多分、一番心のこもったそれに、モカは


「む……無理~~。

ごめん~~」


やはり、いつも通りの結果に終わってしまった。

はぁ。

わかってはいたが、やはり心に来るな。


「ごめんね。ごめんね、ジュウ君」


泣きそうな目をしながら、必死にこっちを慰めようとするモカ。

これじゃ、どっちが告白したのかわからなくなってしまいそうになる。


「大丈夫。それで理由って……やっぱり」

「うん。ごめんね」


そう。

俺が何年も何回も告白を失敗している最大の原因。

それは


「やっぱり、私なんかがジュウ君と付き合うなんて恐れ多すぎて無理だよ~~!!」


この幼馴染が、俺を好きすぎるということである。


「もちろん、ジュウ君から告白されるのはすごく嬉しいんだよ。今にも天に昇りそうなほど体がふわふわするし。本当に、ジュウ君のその真剣な表情も、そこから放たれる言葉も、何より嬉しいし。

だけど」

「だけど?」

「やっぱり、私なんかとジュウ君が釣り合うわけなさすぎて無理だよ~~」


そう、これである。

街を歩けば芸能界のスカウトがひっきりなし。

学年最上位の頭脳。

一緒に登校するだけで、世の男どもから俺が嫉妬の炎を燃やされる。

そんな、わが最愛の幼馴染は、どういうわけかこんな凡人の俺を過大評価しすぎているのである。


「私なんて背も小さいし、ジュウ君みたいにかっこよくないし、ジュウ君みたいにかわいくないし、ジュウ君みたいに……」

「はいはい。わかったわかった」


最初は、当然、体のいい断りの言い訳かなとも思った。

ただ、会話するうちに気づいた。

「あ、これガチだ」と。


「大体、なんで私なの?」

「いや、だって、モカめっちゃ可愛いし。話も合うし。優しいし」

「そんなの、ジュウ君のほうがずっとかっこいいよ。ジュウ君が話しかけてくれるから私助かってるし、ジュウ君のほうがずっと優しいよ。

だから、やっぱり無理だよ」

「どうしても?」

「……えっとね。それと、これはあんまり言いたくなかったんだけど」


なんだ。

なんだ?

もしかして俺、なんか変なことやっちゃったパターン?


「私、ジュウ君に嫌われたくない」

「は?」


いやいや。

なんでそうなる?


「もしね。もし、仮にね。ジュウ君と付き合ったらね。

私、絶対重くなる。

ジュウ君がほかの女の子と話してるだけで嫌な気持ちになるし、クラスの用事とかでも、ついていこうとしちゃうだろうし」

「いや、それぐらいなら……」

「あと、LINEの返信が遅いと嫌になるし、毎朝ジュウ君の家まで行っちゃうかもだし、ジュウ君のプライベートまで一緒にいようとするよ」


うお。モカのかわいらしい瞳から一瞬光がなくなった。

いや、だが、モカとそれぐらい一緒にいられるなら、喜んでと思うのだが。


「それにね。

なにより、ジュウ君にほかの好きな人ができたときに、絶対応援できなくなっちゃう」

「いや、それこそないから。

俺、何年お前一筋だと思ってるんだよ」

「でもでも。

ジュウ君みたいな人、みんな放っておくわけないもん。絶対、私なんかよりすごい人がジュウ君を好きになっちゃうって」

「何があっても俺はお前一筋だって」


ありえない仮定の話をされても


「ジュウ君と私じゃ月とスッポン。いや、月とホコリだよ。私がジュウ君を束縛する彼女なんて、絶対力不足だよ」

「俺のほうが絶対釣り合ってないだろ」


なぜ、こうなる。


「大体、100億パーセントないけど、俺に彼女できたらモカどうする? 嫌だろ」

「嫌じゃないよ。……まあ、少し相手の人を調べはするかもだけど。

でもでも、私以上にジュウ君を愛してて、立派な人なら何も言わないよ」

「いねーよ。そんなやつ」


いろんな意味で、この幼馴染以上がそういてたまるか。


「朝だって、俺が誘わなかったらどうする気なんだ」

「それは、ジュウ君の後ろを気づかれないようについていくよ。

ジュウ君が彼女さんと幸せにしてるかなって様子を見ながら、ちゃんと見守って……」

「ああ、もう泣くな。仮定だから。しかも絶対ありえない仮定だから」


泣くほど、俺に彼女ができる姿が嫌なら


「やっぱり付き合おーぜ。な? そしたら毎日堂々と一緒にいられるしさ」

「……うー……」


モカはそう言って少しうねった後


「やっぱり無理だよ~~。ジュウ君が私なんかと付き合っていいはずがないよ~~。

ジュウ君、大好き~~」

「なんでそうなる!!」


幼馴染の愛が重すぎる!


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


PS.

結局、本日も付き合うことはできませんでした。

この話を修二にしたところ、くそほど笑われた。

次こそは。

もう少し作戦を練って、次こそは

幼馴染の愛に勝って、付き合ってみせる。


重すぎる幼馴染の話でした。もし反響がよかったら次は妹の話も書いてみたいですね

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