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緊急事態

利用状況は順調…いや順調すぎた。物珍しいからというのが大きいだろう。

トラブルは多発するわイタズラ被害は発生するわ…。

しかも、リンガルとその隣の村の間に突如として変異ダンジョンとか言うのができたせいで物流が滞り、思っていたよりも商人の利用が少ない。

さらにスタンピードの危険が大きいからと言う理由で再来年…つまり学園入学まで国王陛下への謁見は見送りになった…。


なんなのこの不運。


変異ダンジョンとはなんらかの理由で地中にある龍脈と呼ばれる魔力の地下水のようなものが一箇所に集中し、そこにできたダンジョンが龍脈の魔力を無制限に取り込むことで魔物の発生速度が急増し、スタンピード、つまり魔物の群れが周辺に跋扈してしまうとか。

偶然冒険者ランクA級パーティが領都に3組いて、そのうちの一つ、《天の誓い》が変異ダンジョンを発見したそう。本来なら村から領都まで早馬で一日かかるが、鉄道でたった数時間で報告が済まされたらしい。とても驚いていた。

今はA級パーティの、《天の誓い》と《不死鳥の羽》の二組が攻略に向かっている。


ちなみにティートは今は2台までしか車両を動かせない。理由は線路の総距離にあるらしい。さらに線路を伸ばしていくことによって、ティートが扱える車両も増えていくらしい。僕は今はウォーリア駅の駅長室に設置したスキルと連動しているモニターをステラと見ている。そういえば疑問に思う人もいるかもしれないが、大人はいない。従者の人はいるけど。

だって、説明しても理解してもらうまでに一年はかかりそうだもん。今は余裕がないから、余裕ができたら人材育成もする予定だ。


…おっと、そろそろおやつの時間だな。


「この黄色い四角のが電車の位置なの?」


「そうだよ。お、そろそろリンガルからウォーリア行きが出発するね。」


そんなふうな会話をしていた時、駅長室に通信音が鳴り響いた。

《ピーッピーッピーッ》

《ガチャ》

すぐさま受話器を取る。この通信は…下り9番列車か。ちょうどリンガルを今出るやつだ。

「ティート、どうした?」

『緊急連絡です。変異ダンジョンに挑んだA級パーティは壊滅しました。生き残りは二名です。魔物が溢れ始めています。今すぐに住民避難をさせます!』

「な、なに?」

『そちらには今ステラ様がおりますね。ステラ様、今すぐアルス様と冒険者ギルドに伝えてください!イサムさま。時間がないです。魔物のリンガルへの到達時刻は3時間後を見込んでいます。今ウォーリア駅にいる列車の運転を見合わせ、緊急用の魔石で4両編成の特急用車両を2両召喚できるはずなので、連結させてください。その後、緊急用の連結器を使用し、運転見合わせにする普通列車を繋いで下さい。計算上それで全住民は救えるはずです。』

「ああ、わかった。ステラ!聞いたな!」

「う、うん!行ってくる!」

「魔石も貰ってきてくれ!」

「はい!」

「特急車両召喚は初めてだな…駅アナウンスボタン。ティートはリンガルに避難警報を流しているから手が足りない。僕がやるのか。」

《カチリ》

《ピーッピーッピーッ》

『連絡します。本日、リンガル村でのトラブルのため、3時発リンガル行きの列車より先、運転を見合わせます。払い戻しは券売機にて行うことができます。』

よし、次だ。急がないと。

「《車両召喚》」

ぽんっ

特急は…なんかイメージ通り。あたまは丸っこくなってて、黄色と白のカラーリング。

「《車両遠隔操作》」

がちゃん

よし、連結した。

駅構内から人もいなくなった…あ、上のコンコースに重くたくさんの足音が聞こえてきた。

《駅機能…ゲートフルオープン!》

『冒険者の方々、改札を今だけ開放します。ホームにある車両に乗ってください。』

「おう!」

「なんか新しいの増えてるな」

「急いでくれよな!坊ちゃん!」

冒険者が乗り込んでいるところで連絡が来る

『連絡します。現在怪我人なども発生しております。モーターカーと客車をステラ様が届けた魔石でもう一つ出してください。モーターカーを二つ繋いだ客車2両を私が遠隔操作します。緊急を要するため、権限を使用します…特急はイサムさま、運転してください。通信をきり…ザザザザザ…』

遠隔操作は間に合ったみたいだな。車庫から出庫していたモーターカーと客車に今召喚されたやつが繋がって勝手に走り始めた。


…あ、そっか。人が乗ってないほうが早いもんね。


放送を流す。

『まもなく、臨時上り100号発車します。』

そして普通列車よりも快適に、そして速いスピードで出発していった。





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