第八話 昼食
今、僕は箱根のキャンプ場にて飯盒炊飯、いわゆるカレー作りの説明を受けている。
「それぞれの役割を分担して協力して美味しいカレーを作ってくださいね」
先生からの説明が終わった。キャンプ場は晴れていて、でも雨上がりだからかちょっと地面は湿っていて歩きづらかったりした。森の緑が綺麗だったので虫がいそうで少し嫌であった。
「それでは、班を決めてなかったので、適当に五人組を作ってください。人があまったら、入れてあげてね」
説明が終わった途端に翔が話しかけてきた。
「遥希、俺とくもうぜ!」
翔はマジでいいやつだなぁ
「いいよ、翔、あと桜も一緒に組もう」
「遥希が言うならいいぜ」
「遥希ー私も入れてよー」
彩那が言ってくる。なんか嫌な予感がする。もう一人知らない声がした。
「あのー私も一緒のチームに入ってもいいですか?」
その子は黒髪で、身長160センチくらいで顔立ちが良く、スタイルのいい子だった。
「こら、私の彼氏が他の女の子に見惚れているんじゃないの!」
彩那が耳を指でつまみながら言ってくる。
「いたいって、いつまでつまんでんだよ。んでこの子の名前は?」
「私の小さい頃の友達で、今も同じクラスの睡蓮寺葵」
「よろしくお願いします。」
「この子と翔さんと遥希と桜ちゃんでいいね?」
「はーい」
睡蓮寺……名字に聞き覚えとかはないけど名前の葵は小さい頃よく近所で遊んでた子と同じ名前だし、なんか雰囲気も似てたんだよな。
「なぁ睡蓮寺さん、僕とどっかであった覚えとかない?いやなかったらないでいいんだけどさ」
「ないと思いますけど……」
「そ、そうか、ごめん」
「何よ遥希、浮気?」
「ち、違うよ。」
この班、大丈夫だろうか、なんでお試しの彼氏でそんなにうるさいんだろう、彩那さん……
そういえばっと思って翔に質問する。
「なぁ翔、彼女は?」
「絶賛喧嘩中!」
「マジか」
女子二人が言う。
「翔さんて彼女いたんだー」
「まぁそれはそれとして、役割分担しようぜ!俺、火おこしするわ」
「あとはカレー係二人と飯盒炊飯係二人ね」
「じゃあ私は彼女なんで翔と一緒にカレー係しまーす!」
そう言って彩那に押し切られ、僕はカレー係をすることになった。
彩那はマジで何を考えているかわからない、普段みんなといる時は笑顔で人懐っこい感じにしているけどみんなといない時に怖い顔しているし、仲良くなった時に笑顔で悪口を言われた時には背筋が凍りつくかと思った。
そんな中、風が強くなってきた。翔、火おこし大丈夫かな。




