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第二十二話 愛

 さっぱりしたー。僕がお風呂上がったら、僕がホテルとかでお風呂上がりに飲むのが大好きな、コーヒー牛乳の売っている自販機を見つけた。やった!最高だ。学校の宿泊行事でコーヒー牛乳風呂上がりに飲めるとか最高だろ。

 ピッっと音を鳴らしてコーヒー牛乳が出てくる。やった。部屋に帰ってのもう。

 そんなことを思っていたら後ろから声がした。 


「遥希さん、コーヒー牛乳、好きなんですか?」


「そうだけど。葵さんは?」


「私も好きなんですよ。少し座って話しませんか?」


「いいけど」


「私、そういえば思い出したんですよ、遥ちゃん」


 そう呼ばれて、僕は小さい頃に近くの公園で遊んでいたこの名前と声を思い出した。

 思えば小さい頃、夏姉ちゃんがいない時にいつでも僕の味方でいてくれたのは葵ちゃんだった気がする。

 懐かしさが込み上げてくる。緑の芝生。どこまでも青くて広い空。その下でひなたぼっこをしたり、鬼ごっこをしたり、楽しかった日々の記憶がどんどん蘇ってくる。


「あおい……ちゃん?」


「うん、そうだよ。はるちゃん!」


 その言葉を聞いた瞬間、僕の目からは涙が溢れていた。


「あおいちゃん。うぅ、睡蓮寺さんだったなんて、よかった。よかったよ。急に引っ越しちゃうし、苗字はわからないしで、もう会えないと思っていたよ。」


 そう言って、僕はカッコ悪いと思いながらも泣いていた。

「夏姉ちゃんんもいなくて、怖いことがあって。もうどうしようかと。」


「大丈夫、大丈夫。私が守ってあげるから」

 

 葵ちゃんの言葉は、辛く孤独だった自分の心を。優しく包み込んでくれるようで、長く時がたった今も、その優しさは変わっていないのだと思った。そして優しく、頭も撫でてくれた。もう強がらない。辛くなったら誰かを頼ろう。あぁもう葵ちゃん大好きかも。


「何があったのか、教えてくれる?」


 僕は、昨日の夜に何があって、どうして倒れたのかを説明した。


「そうだったの、遥ちゃん。でももう安心だよ。旅行のうちは私も彩那ちゃんも力になるし、翔くんもいるでしょ」


 そうだ。僕には特に怖いものもなかったのだ。みんな仲間で、優しい。そんな日常が好きだ。

 もうあいつはこうだとかなんだとか、そういうのは嫌い。楽しくやろう。


「あ、ありがとう葵。ごめんね。こんなカッコ悪くて。」


「カッコ悪くなんかないよ。私はどんなはるちゃんも好きだから」


 あぁなんていい人なんだろう。もう結婚したいわ。



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