表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/30

番外編 翔

 中一の春、その日僕はいつも通り、好物である購買のあんぱんを買いに列に並んでいた。


「すみません、あんぱんとミルクティーください。」


「あいよ。350円ね」


 あぁー僕であんぱん売り切れかー、とか思っていた。まさかこの購買での出会いが、将来の親友との出会いとも知らずに。


「いやあちゃー、売れちまったかぁ」


 列の後ろから、そんな声が聞こえる。僕のことかな?

「君もあんぱん好きなの?」


 僕はクラス一の陽キャになりそうなそいつに、そう声をかけた。

 当時の僕は翔のことをただの陽キャだとしか思ってなくて、そんなに僕にとって大事な親友になるなんて思ってもいなかった。


「いや、そうなんだけど。ごめんね、聞こえちゃったか。」


 半分食べない?屋上で。

「いいのか?じゃあ代金は半分払うから食わしてくれ!」


「別に代金はいいよ、大したことないし」


 陽キャに媚びでも売っておけばいいと思っていた。ただそれだけだった。

「いやそれじゃ俺の心が許さねぇ、ってもんだよ。一緒に食べよ」


 こうして僕たちは屋上に上がった。


「そういえばさ、俺たち同じクラスだったのに全然喋れてなかったよな。」


 分けたパンの片方を受け取りながら、翔はいった。

「そうだね」


「なぁ橘くんってコミュ力あるでしょ。俺がみたらわかるんだよ。なんでコミュ力高いのに友達増やさないの?友達って多ければ多いほど楽しいよ」


 それを聞いて、やっぱりただの陽キャだなと思った。別に僕は陽キャは嫌いでも好きでもない。どうでもいい。

「別にたくさん友達作ったら作ったで、後でめんどくさいし。数人仲のいい親友がいれば、僕はいいかな」


「じゃあ遥希くん。君小学校の時に何かトラブルあったでしょ。俺だからわかる」


 僕は翔の口からその言葉を聞いて、ハッとした。なんでお前が僕の過去について知っているんだよ。

「なんでわかるの?」


 翔から僕への呼び名が名前呼びになったことも気にせず、聞いた。

「ぼくも、僕も同じだからさ。ちょっと前の僕と、遥希は同じ目をしている」


 こいつは、危険だ、とも思ったが、賭けてみようとも思った。翔に。それから僕は自分の小学校での隼人とのトラブルや、彩那との恋愛のことを全て話した。翔は真剣に聞いてくれた。


「そうか、じゃあ僕の話も聞いてくれるかな」


「僕は昔は、こんなに積極的な性格じゃなかったんだよ。見た目も違った。そんなある日に数少ない友達だと思っていたやつが、僕の悪口を言っていたのを聞いてね。すごく悲しくなったんだ。それが悔しくて、イメチェンしたらモテたから、そいつの好きな人を彼女にした。まぁ別れたけどね。」



 そうだったんだ、形は違えど、翔は同じ思いを背負っていることを知った。だから親友になることにした。


「翔、僕と親友になってよ!」


「おう、遥希!」


 これが俺と遥希の、初めての出会い。ここから遊びに行ったり他にも一緒に過ごしたりして、仲良くなって今に繋がる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ