第二十話 揺らぐ
「なぁ隼人、お前いったい遥希と過去に何があったっていうんだ?」
翔はいつもよりもだいぶ焦ったようにそういった。だいぶ冷静さを失っている。
時はだいぶ遡って一日目の夜、遥希が倒れたところから始まる。
「翔、それより遥希が倒れたんだ、先生を呼びにいくのが先だろう。司、頼んだ。」
「わかった」
くっ、確かに正論なんだがタイミング的に原因はどう考えても隼人にあるだろう。
でも仕方がない、僕の一番の親友の緊急事態なんだ。一旦は遥希の身体を最優先しないと。
「あのー僕には何かできることはないかな。多分二人が言い合いしてる場合じゃなくて、遥希くんに熱があるかとかもうちょっと調べたほうがいいんじゃないかな。」
「そう思うならすぐやれよ!」
「ご、ごめん……」
「いや、俺の方がごめん、言いすぎた。突然何が起きたか受け入れきれてなくて。」
「いや、気持ちはわかるよ、そうだよね」
翔の言うことややることはよくわかる。親友が突然倒れたら気が動転するのは当たり前だ。だけど隼人はなんで倒れた時から顔色ひとつ変えずに冷静に対処しているんだ?まるで自分の正体を明かしたら遥希が倒れるくらいのことがわかっていたかのような動きだ。全部こいつの計算通りなのか?全く、僕はこう言う想像するのは得意なんだよね。怖いとかもはやそう言う感情がないんだよね。でも今の状況だけでは謎をとくピースが足りない。ひとつ仕掛けてみるか。僕の勘の良さに賭けて。
「恋バナの続きしましょうよ隼人。」
「な、お前、こんな時に何を言ってんだよ」
「まぁまぁ翔さん、ここは僕に任せて」
「なんのつもりだ、こんな時に」
「だってあなたは彩那さんのことが好きなんでしょう。僕は彼女について詳しくは存じ上げませんが確か彩那さんは遥希さんの幼馴染で彼女です。それもかかわらず、あなたは彩那さんのことを好きと言った。まぁ彩那さんと遥希さんの噂は僕でも知っているくらい有名。そして過去に何か問題がありそう。このピースを組み合わせてできる答えはひとつ。あなたは」
すごい、俺が冷静さを失っていた中、優はこんなことを考えて、頭を回転させていたのか、こいつ、只者じゃないな。そう思った時に、隼人がさっきまでの冷たい態度から一転、我を忘れてものすごい勢いで怒ってきた。
「ふざけるな!それ以上、それ以上言ってみろ。お前、ただじゃ済まないぞ。この陰キャが」
やっぱりビンゴだな、意外とこの人、弱そうだ。
「いいえ、言います。あなたは遥希さんのことが憎い。そして嫉妬している。この歳にもなってみっともない」
「お前、言いやがったな」
そう隼人がいって手をあげかけたその瞬間に、先生が来た。
「おい、そこまでだ。隼人」
そう先生が言った瞬間に隼人が手を下ろす。
すごい、すごいな優は。ここまで計算通りだったのか。俺は、俺は気が動転して何もできなかった。
「先生、すみません、何があったか、聞かせてもらおうか」
「はい」
その後、遥希は他の先生に運ばれていった。そして俺、優、隼人、司は話を聞かれることになった。
まさか気絶までするとは。相当僕のことが嫌いなんだね。まぁそれもそうか、僕は戦うよ。最後まで、僕が終わるまで舞台の上で舞って、演者としての役目を果たすよ。悪役としての、役目をね。それが精一杯の報いだから。




