表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

わけもなく悲しい時

作者: 夏目 碧央

 わけもなく悲しくなる事がある。

 更年期か、と思ってみたりもする。更年期には女性ホルモンの急激な減少に加え、子供が巣立ってしまった寂しさから、いわゆる空の巣症候群も同時に起こり、うつ状態になる女性が多いとか。

 だが、悲しくなった時には必ず理由がある。少し前の会話で冷たくあしらわれたとか、Xでリプライしたのに「いいね」すらしてくれなかったとか。

 頭では悩む必要はないと納得しても、心が追いつかない。たくさんのちょっと悲しい事が次々と起こると、いつも悲しくて、何が悲しいのか分からなくて、だから「わけもなく」と思ってしまう。そしてうつ状態になる。

 何か悲しいと思ったら、何が悲しいのか、ちゃんと考えよう。本当は納得しきれていない自身の心に言い聞かせるように。


 リプしてくれないのは、考えが違うからだろう。的外れだったのかもしれない。もしかしたら、親しくもないのに話しかけてくるなよ、と思われたのかも。色々恥ずかしくなって、リプを消しに行った事もある。

 だが、もしかしたら、後でリプを返そうとしてうっかり忘れただけかもしれない。真実は分からないが、もし忘れただけだとしたら、そんな事でくよくよ悩んでいるのは馬鹿らしい。そう、私だってそのリプした相手が誰だったのか、忘れてしまっているのだから!

 ここまで考えて、ようやく心が納得する。思い悩む必要はないと、やっと心が軽くなる。ほらね、うつなんかじゃなかった。一つ一つ、放ったらかしにしないで考えよう。嫌な事はあまり考えたくないけれど、よく考えた先には、幸せな気持ちが待っているから。


 後日、リプをした相手を思い出し、見に行った。すると、私の他にも二、三人がリプしていたが、どのリプにも投稿者はリアクションしていなかった。つまり「いいね」すらしていなかった。

 なんだ、私だけではなかった。つまり、その人は「そういう人」だったのだ。投稿自体は「~ですか?」と問いかけていたのに、返事をしてくれても無視するのか。ちょっと呆れたけれど、不思議と「そういう人」なら安心した。自分だけが無視されたと思うと悲しい。人間、仲間外れや孤独が辛いのだね。仲間がいれば、自分ひとりでなければ何だって怖くない。対面だろうがネット上だろうが、基本変わらないようだ。


 わけもなく悲しい時、大抵それは人間関係のいざこざ。そして考え過ぎなのである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ