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幽霊退治 前編

「俺はカガチ、こっちはユリと言います。改めて依頼内容をもう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」


男を依頼を受ける部屋まで案内し、自己紹介をしてからもう一度依頼内容を尋ねる。


さっきのはきっと疲れて幻聴が聞こえたのだと、幽霊退治なんてそんなはずないと無理矢理自分を納得させた。


「はい。幽霊退治をお願いしたいのです」


男がそう言うとカガチはやっぱり幻聴ではなかったと頭が痛くなる。


「……えっと、その幽霊退治なら専門家の力を借りた方が、イテッ」


話している途中でユリに腰を思いっきりつねられる。


カガチが文句を言おうとしたが、ユリの目が怖くて「やべーー、怒らせた」と慌てて目を逸らす。


ここ悲願花では黒い彼岸花を持ってきて依頼した人のは断らないという決まりがある。


勿論カガチもそのことはわかっていたが、霊感のない二人にはどうやって退治すればいいのかわからない。


専門家に相談する方が早く解決するはずだと思った。


「……俺もそう思いました。何人かに相談しましたが、金だけ取られて……」


「(それで俺達に泣きついてきたのか…………だからってアザミさん。これはなしでしょ)」


カガチは依頼人にここに来るよう言ったアザミを恨む。


「わかりました。その依頼お受けいたします。その前に三つの条件を話します。それを守ってくださると約束してもらえるならになりますが、どうされますか?」


カガチがどうするか悩んでいるとユリが依頼を引き受けると言う。


「(な!?まじかよ。いや、まあ、最終的には受けるしかないんだけど……いや、でも、幽霊退治って何をどうすればいいんだ?……そもそも、退治なんて人間にできるのか?)」


内心パニクっていたが表には出さず二人の話を聞く。


「守ります!その条件とは何ですか!!」


男の返事を聞くとユリはその条件を話す。


「……わかりました。守ると約束します。なので、どうか俺の依頼を引き受けてください」


「はい、わかりました」


ユリは頷く。


「本当ですか!?ありがとうございます!本当にありがとうございます」


余程困っていたのかユリが受けると言うと泣いてお礼を言い始めた。


「いえ、気にしないでください。それでは、名前と幽霊のことについて教えてください」


「はい。俺は難波涼介(なんばりょうすけ)と言います。最初は物音がするとか変な音がするくらいにしか思ってなかったんですが、半年前くらいから急に幽霊が見え始めたんです。そこから、ずっと幽霊が何か言っているんです。ここ一か月では夢にまで出てくるようになったんです。お陰で寝るのが怖くて……頭がおかしくなりそうなんです」


涼介の顔は酷くやつれていてクマもはっきり見える。


「半年前から見えるようになったと言いましたが、何かきっかけがあって見えるようになったのではと思うのですが心当たりはありますか」


カガチが尋ねる。


「……すみません。ありません」


涼介は申し訳なさそうに言う。


「そうですか。では、幽霊退治にあたっていくつか質問したいのですが大丈夫でしょうか」


涼介の顔色が悪く今にも倒れそうなので心配でそう尋ねる。


「はい。大丈夫です」


「……わかりました。それでは質問していきます。幽霊を見えるようになったと言いましたが、その幽霊はどんな姿だったでしょうか」


場合によっては本当に自分達の手には負えない。


「……顔はよく見えないのですが腰まである長い黒髪の女性でした」


「女性ですか……その女性は何か言ってくると言ってましたが何を言っていたかわかりますか」


「いえ、たまに声が聞こえるのですが何を言っているかまではわかりません」


涼介は首を横に振る。


「そうですか。夢の中でも女性はずっと話しかけてくるのですか」


「はい。こっちを指をさしてずっと何か言ってるんです。でも、夢では何も聞こえなくて……」


涼介がそう言うと全員黙り込んでしまう。


暫くしてユリが口を開いて涼介に気になっていたことを尋ねる。


「あの、その女性は今も見えているのですか?ここにいますか?」


ユリの質問にカガチは一瞬で全身から汗が吹き出しゆっくりと涼介の方を見る。


「いえ、今はいません」


涼介が首を振って否定する。


いない、と言われカガチはホッと安堵する。


張り詰めていたものが消えドッと疲れた顔をする。


「つまり、ずっと見えているわけではないということですか」


「……はい、そうです」


「その女性は何がきっかけで見えるようになるかわかりますか?」


ユリは念のため尋ねる。


「いえ、わかりません。気付いたら目の前に現れるのです」


涼介にもいつ幽霊が現れるかわからない。


せめて、現れるのかさえわかれば対処仕方もあるというのに。


「そうですか。……あの、他の幽霊は見えたりしないのですか?」


急に女性の幽霊が見えたのに他の幽霊のことは言わないのに疑問をもつ。


「そういえば見たことないかもしれないです。俺が見たことあるのは女性の幽霊だけです」


涼介もユリに尋ねられそういえば女性以外の幽霊を見たことないのに気がつく。


涼介の言葉に二人は顔を見合わせ会話する。


「(なぁ、これって幽霊がこの人に恨みがあるってことか?)」


カガチが先に目で訴える。


「(いや、まだそうとも言えない。可能性は高いが、他の可能性も捨てきれない)」


ユリは首を横に振るとカガチから目を逸らし涼介の方を見る。


「難波さん。貴方はその女性に心当たりはありますか」


ユリは一番肝心なことを聞いていなかったことを思い出す。


もし、心当たりがあるなら女性が涼介だけに姿を見せる理由があるのかもしれないとそう思い尋ねたが、「いえ、ありません。顔が見えなかったので絶対とは言い切れませんが会ったことはないと思います」ときっぱり否定する。


ユリは涼介が嘘を言っているようには見えなかった。


本当に心当たりがないのだと思った。


なら、何故幽霊は涼介だけに姿を見せるのか余計にわからなくなる。


ユリが考えることに集中して黙り込んでいると今度はカガチが質問をする。


「あの、難波さん。女性が現れたとき一番多かった場所とかありますか?」



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