ブローチ 中編
「アザミさん。もう来てますか?」
集合場所に着くと扉の前でアザミが立っていた。
「ああ、全員いる。後はお前達だけだ」
アザミは扉を開けて中に入るよう促す。
「そう、わかった。……一条さん、行きましょう」
「……はい」
中に入ると六人いてその内五人が男で一人が老婆だった。
楓は直ぐに男達が強盗犯で老婆が持ち主だとわかった。
「おい、一体これは何なんだ。何で俺達をここに呼んだんだ」
一人の男がそう叫ぶ。
「それは自分が一番わかっているのでは。メールが届いたからここに来たのでは」
ユリが冷たい口調で男に言い放つ。
「……あのメールの送り主はお前達か」
男達が戦闘態勢に入る。
「そうだと言ったらどうする?」
カガチが不敵に笑う。
一人の男が殴りかかろうとしたタイミングで「あ、言い忘れたけどこの人刑事だから」とアザミを指しながら男達に伝える。
刑事という言葉に動きを止め焦りと戸惑いが男達を襲う。
「あの、今何が起きているのですか?」
老婆がそう問いかける。
一人だけ状況がのみこめていない。
ここにいる人達が誰なのかわからない。
アザミだけは昨日会っていたので知っているが、その時ブローチが見つかったと言われ明日ある場所についてきて欲しいと言われここに連れてこられた。
ブローチは盗まれた中で亡き夫が最初にくれた贈り物。
ずっと返ってくるのを待っていた。
持ち主が直接返したいと言っていると聞いて会いに来たのに、何故か人が沢山いる。
この人達は何故ここにいるのかわからずアザミを見る。
「それは……」
「俺が説明しましょう」
アザミが説明しようとしたがカガチが遮るように言う。
「こちらは一条楓さん。貴方のブローチをずっと大切に保管し返したいと思っていた人です。そして、こちらの男性達は貴方の家からブローチを含めた高級品を盗んだ強盗犯の人達です」
老婆はカガチと楓と男達の顔を順番に見ていく。
「…おい!証拠はあるのかよ!俺達が盗んだっていう証拠は!!」
一人の男が焦ったように叫ぶ。
残りの四人はバラバラの反応だった。
どうにかして殺そうとする者、顔面蒼白になって後悔してる者、慌てることなく落ち着いている者、どこか楽しそうに笑っている者。
全員性格が違ったが二人の態度で自分達がやりましたと言っているような者だった。
「はい。ありますよ」
カガチは過去を覗いたので犯人が誰かわかるが、捕まえるには証拠がいる。
だがブローチからその証拠を見つけることは出来なかった。
「……は!?」
男達はカガチの言葉にこれでもかと目を見開く。
「貴方達は盗んだ宝石をどうしましたか?売りましたか?保管していますか?」
カガチの言いたいことがわからず男達は顔をしかめる。
「盗まれた宝石の一部が見つかったと言ったらどうしますか?」
四人はすぐにカガチが自供させようとしているのに気づき証拠は無いんだと思いこのまま知らないですと通そうとするが、一人の男は顔を青くする。
そんなはずはないとあんだけ探しても見つからなかったんだから大丈夫だと自分に言い聞かせるようぶつぶつと呟き始める。
「ブローチ」
カガチがその言葉を言うと男はとうとう耐えられないと言った感じで「ああああああ」と叫び声を上げる。
男の叫び声に残りの四人はまさかという顔をして慌てて男に詰め寄る。
男がブローチを無くしたのは事件当日。
十五年前。
その時のブローチが今頃見つかっても自分が持っていたという証拠にはならない。
そんなことはわかっていたが、あの日自分はブローチを素手で触っていた。
もしかしたら指紋が出たのかもしれない。
それに少女にブローチを持っているところを見られた。
その少女がいつか自分が持っていたと証言するかもしれないと。
目の前に女性がカガチ達と入ってきた瞬間、直感で気づいた。
あの日の少女だと。
証拠が見つかったという言葉から男はずっと最悪な可能性が頭に浮かんでいていた。
男がそう思うのも仕方なかった。
男のメールだけ他の男達とは違う文が送られていた。
四人には『お前達が十五年前にした事を知っている。バラされたくなければここに明日の十時までに来い』場所のリンクを貼ったメールを送られていたが、男には『お前がある少女を殺そうとした時の証拠の写真がある。これをバラされたくなければ明日十時までにこの場所まで来い』と。
男は証拠の写真があると言われ、あの日の自分の行動を思い出し怖くなった。
指定された時間にこの場所に来るとあの時の仲間がいてこの中の誰かがあんなメールを送ったのかと疑ったが、すぐに男と老婆がきてこいつらがと疑ったがそんな感じではなかった。
仲間にお前もメールが来たのかと言われ、こいつらも脅されてきたのだとわかり安堵したが振り出しに戻ったと気づき落ち着かなくなった。
それからカガチ達がきた瞬間こいつらが俺達をここに呼んだと直ぐにわかった。
そのせいで、いつ自分の罪が明かされるか気が気でなかった。
「おい、待て。ブローチが何の証拠になる。こいつが持っていた写真でもあるのか」
「はい。そうです」
「そうだろう、ないだろう……は!?」
「ですから、彼がブローチを持っていた写真と、その後何をしたのかの写真があるのです」
カガチの言葉に仲間達は男を見捨て自分達だけでも助かろうとすることに決めた。
男から離れ関わらないというスタンスを取る。
「……あの、もしかしてこの人が私の家から宝石を盗んだって事ですか」
老婆が恐る恐るカガチに話しかける。
「はい。正確に言えば彼らがです」
男達の態度を見て自分達だけでも助かろうとしているのがわかりそうはさせないと睨みつける。
「さて、八田守さん。十五年前のあの日の真実を自分の口から自白し自主するか、俺の口から言って証拠を提示されて捕まるか好きな
方を選んでください」
カガチはこれでもかというくらい強く拳を握りしめ大勝負に出た。
男の出方次第で全てが変わる。
「……俺が、俺達が十五年前のあの日あの日の家から宝石を盗みました」
守の自白にカガチ達全員は心の中でガッツポーズをし喜んだ。
男がゆっくりとあの日どうしてそうしよとしたのか何があったのか話始めた。
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