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ロゼ 4

「ようやく来たな」


車の音が聞こえロゼが帰ってきたのがわかった。


そうアザミが呟くとユリが玄関まで走っていきロゼを出迎えに行く。


少しして「ただいま」という声が聞こえた。




「ただいま」


ソウにお礼を言って見送ったあと家の中に入る。


「おかえりなさい。ロゼさん」


「ユーリ。カガチとは仲良くしてたか?」


冗談のつもりで言ったのにユリの反応を見て、喧嘩したなと気づく。


「まぁ、それはいいや。それより、新しいペアの人はどう?」


「普通にみえる」


「そう。それは楽しみね」





「初めまして、悲願花社長のロゼです。いつもアザミがお世話になってます」


「五六慎二です。いえ、どちらかといえばお世話になっているのは僕の方です」


「そうですか。それでどこまで話したの」


挨拶は終わったから本題に入る。


「二人のことは話した。後はお前だけだ」


ロゼの質問にアザミが答える。


「そう、ならいっか。ところで、彼の呼び名を決めよう」


自分のことは別に教える必要はないだろうと思っていたので話を変える。


「呼び名ですか?」


苗字では駄目なのかと思う。


「そう。ここにいる全員アダ名だから。本名では呼ばないのがルールなの。だから、アザミって呼ばれてるでしょ」


「確かに」


アザミの本名は藤堂時雨。


二人に何故アザミと呼ばれているか謎だったか今納得した。


「あ、二人は名前でいいよ。仕事中にアダ名で呼んだらふざけてるって思われるしね」


「なるほど」


「で?なんて呼ばれたいかある?」


ロゼが尋ねると五六は少し考えてからこう言った。


「僕の苗字を普通に読むのはどうでしょう。ごろく、と」


「わかった。よろしくね、ごろく」


優しい笑みを浮かべる。


「はい。こちらこそよろしくお願いします。ロゼさん」


ロゼにつられて笑みを浮かべる。


「これをあげるわ。これから私達の役に立ってね」


花束の中から待雪草を渡す。





「それにしてもご飯ぐらい食べてから帰れば良かったのにね」


五六に花を贈ってすぐアザミの携帯が鳴った。


呼び出しだ。


殺人事件が起きたためすぐに現場に向かえと。


「ロゼ。その前に何か言う事あんだろ」


カガチはロゼの隣に座りムッとした表情をする。


「……ただいま?」


「おかえり、じゃねぇわ!ごめんだろ!」


「なんで?」


「前回約束しただろ!帰国する日は必ず教えるって。迎えにいくからって。それにアザミだけには帰る日教えてたろ」


「(あー、そういえば)」


そんな約束したなと、ぼんやりとその日のことを思い出す。


「悪かったよ。次はちゃんと連絡する」


ロゼの悪びれない態度にカガチは露骨にため息を吐く。


前回も前々回もそのまた前回も、そう言って一度も連絡したことがない。


毎回忘れる。


半ば諦めかけているが、今度こそはと信じてしまう。


信じなければ怒ることもないが。


「カガチ。それくらいにしろ。ロゼさんは疲れてるんだ。休ませてやれ」


「お前は相変わらずロゼに甘いんだから。こういうときにビシッと言っとかねぇと」


ロゼは二人のやり取りを見てソウの予想は外れたなと笑う。


「ロゼさん。良かったらこれ食べてください」


カガチの言葉を無視してショートケーキを机の上に置く。


「(こいつ)」


ユリに無視され睨む。


本人は至って真剣だが傍からみれば変顔をしているように見える。


「いいの?これ、ユーリのなんじゃ」


ユリはよくロゼのために甘いものを買ってくるが、今回は帰ってくるのを知らない。


自分用に買ってきたのを貰うのは気が引ける。


「いえ、それはアザミさん用です。今日来るって知っていたので買いましたが、ロゼさんが帰ってくると教えてもらったのでロゼさんにあげようともってとっておいものなんで大丈夫です」


にっこりと微笑む。


カガチはユリの言葉を聞いて納得した。


今朝早くケーキ屋に行ったのに何故アザミに食べさせなかったのかと疑問だったが、ロゼの為と聞いてアザミに同情する。


「あ、そうなの。なら遠慮なく」


アザミ用だったと知り遠慮なくケーキを食べる。


「それで、そっちは上手くいったのか?」


アメリカでの護衛任務の事を尋ねる。


「勿論よ。これも手に入れたしね」


USBを見せる。


「中はもう見たのか?」


「それがパスワードがかかっていて見れなかったのよね。これはアオイに任せるしかないわね」


「明日アオイさんのところに行くのか?」


カガチの問いにロゼはそのつもりだと答える。


「早く中身が何か知りたいしね。それで、私がいない間ちゃんとやれた?」


「はい。どの依頼も完璧にこなしました」


カガチが答えるより先に言う。


「そうだ、そうだ。俺達は完璧にこなした」


口元を尖らせて言う。


「そう。二人共よくやった。偉いぞ」


ロゼは二人の頭を撫でる。


ユリは恥ずかしいが嬉しくて頬が緩み、カガチは子供扱いされたことにムッとした表情をするが手を払い退けることはせず好きにさせる。


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