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ロゼ 3

「そういえば、会社に戻らなくて大丈夫ですか?」


注文を終えてから気になっていたことを聞く。


「はい。今日は元々午後から有給を取っていたので」


「ああ、なるほど。それなら時間を気にする必要はありませんね。それで、依頼とは何でしょう」


「それなんですけど、実は私ではなく従兄弟がらみなんです……」


「構いませんよ。本人はご了承しているのですか?」


「いえ、してません。本人でなくても大丈夫ですか」


「勿論。代金さえ払って頂ければどんな依頼もお受けしますよ」


心の中では「え、してなの」と突っ込んだが、ぶっちゃけ金さえ貰えれば問題ないのでどっちでもいい。


「本当ですか。ありがとうございます。それで依頼なんですけど……」


廣瀬が内容を話そうとすると丁度定員が「お待たせしました」と頼んだ商品を持ってきた。


「コーヒーのお客様」


廣瀬が手を挙げる。


「メロンフロートのお客様」


ロゼが手を挙げ「はい」と返事をする。


「チーズケーキのお客様」


またロゼが手を挙げ自分だと教える。


「以上でご注文はお揃いでしょうか」


店員の言葉に二人は「はい」と頷く。


「ごゆっくりどうぞ」


店員が去るのを確認してから話を再開する。


「それで依頼内容なんですけど、ある女性に復讐して欲しいんです」


「復讐?」


これまた物騒なことを依頼するなとチーズケーキを食べながら思う。


「はい。やっぱり駄目でしょうか」


「駄目じゃないですよ。その話し詳しく聞いても」


「はい……」


廣瀬はどうして女性に復讐をしたいのかを話した。


話を全て聞き終わりどうして自分に依頼しようとしたのかわかった。


さっきファミレスで容赦なく女を注意したから、自分なら確実に復讐を成し遂げてくれると思ったのだろう。


「……わかりました。とりあえず、従兄弟に合わせてください。今から行きましょう」


少しだけ残っていたメロンソーダを飲み干し伝票を取りレジに向かう。


「え?今からですか?」


「ええ。善は急げって言うし。それにこれ以上その女が幸せでいるのは許せないでしょう」


ロゼにそう問われその通りだと思い、従兄弟に電話をし今からそっちに向かうと伝える。





「えっと、そちらの人は?」


従兄弟の家に着くと知らない女性がいた。


従兄弟の知り合いかと思い声をかけようとしたらロゼに向かって「遅い。そっちが来いと言ったくせに私より遅いとは何事だ」と文句を言われた。


「ごめん。ごめん。思ったより渋滞しててさ」


廣瀬そっちのけで話し始める二人に恐る恐る話しかけた。


「さっき少しだけ話したでしょう。私達が依頼を受けてもいいけど、内容からして知り合いの復讐屋の方が適任かもしれないって」


廣瀬が従兄弟に電話しているときにロゼも葵に電話をして仕事の依頼が入ったが、そっちが適任だから今から送る住所に来て欲しいと頼んでいた。


「ああ。そうでしたか。廣瀬と言います。よろしくお願いします」


「地獄花の復讐代行神楽葵です。こちらこそよろしくお願いします」


お互い挨拶を交わす。


「じゃあ、後は宜しくね。何か手伝えることがあったら遠慮せず連絡してね」


「うん、わかった」


「あの、ロゼさん。本当にありがとうございました」


後輩女から助けてもらい、葵を紹介してくれたことにお礼を言う。


「気にしないでください。あ、でももし彼女に何かされた遠慮なく言ってくださいね」


彼女とは勿論ファミレスで会った女のこと。


それじゃあ、と言って急いで家に向かう。


時刻は十三時五十分。


約束の時間まで残り十分しかない。


これは絶対間に合わないと思い連絡しようにも充電切れでスマホは使えない。


急いで待たせていたタクシーに乗り込みソウのいるところまで行ってもらう。




「ソウ、久しぶり」


タクシーから降りてすぐソウが出迎えてくれた。


「ロゼさん。いつ帰ってきたんですか?」


「十時に日本についた。悪いんだけど送ってくれない?」


あ、これお土産と言って紙袋を渡す。


「ありがとうございます。勿論お送りしますよ。乗ってください」


「ありがとう、助かるよ。それともう一つ充電器貸してくんない」


「勿論ですよ」


充電器を受け取る。


「ありがとう」


暫くしてから電源を入れる。


「てか、ロゼさん。帰ってくる日言ってくれたら迎えに行ったのに、どうして言ってくれなかったんですか」


「ん?アザミから聞かなかった?」


アザミには伝えていたので皆も当然帰国する日を知っていると思っていた。


「聞いてないですよ。アザミさんには言ったんですか?あの二人にはちゃんと伝えましたか?」


「丁度アザミから連絡来る前に依頼が終わって帰れるのが決まったから言ったんだよね。面倒だからアザミが皆んなに伝えると思って誰にも伝えてないんだよね……まずいかな」


「お土産でも渡せば落ち着くと思いますよ。カガチは馬鹿だから。ユリは何か言うかもしれないですけど」


「なら、いっか」


ソウが「よくないですよ」と言おうとしたらロゼのスマホが鳴る。


アザミからの電話だ。


「あー、怒られるかな」


「……何かしたんですか?」


「約束の時間から一時間遅刻で今向かってるってとこかな」


「(説教電話だな)」


声には出さなかったが、帰国初日に何してんだと呆れてしまう。


ロゼのことだから何かあったのかもしれないが、それでも一時間の遅刻は駄目だと思う。


「もしもし」


怒られるのを覚悟で電話に出る。


『ロゼ、テメェ今どこにいる』


声から怒っているのが電話越しからもわかる。


「今ソウの車で向かってる途中」


『何で遅れた』


「依頼を受けて話を聞いてたから。それで、ウチより地獄花の方が適任だと思って紹介してたら、いつの間にか約束の時間過ぎてた』


『……』


依頼を受けていたと言われ、それなら仕方ないと思い怒るに怒らなくなり代わりにため息を吐く。


『あとどれくらいで着く?』


「十分」


『そうか、準備はできてるか?』


「勿論。そのためにわざわざイチイの店で花まで買ったんだから」


家に帰る前にイチイの店に寄ってもらい花束を買った。






おまけ



次の日、廣瀬が会社に行くと昨日一緒にご飯に行った女の後輩の今までの悪事が暴露されていた。


同僚の女性に詳しい話を聞くと、たまたま後輩の男女が同じファミレスにいて昨日のやりとりを見ていたらしい。


女は今まで他の人達にも同じ手で先輩に奢らせていたと会社で話題なり、そのせいで他のも芋蔓式にバレた。


元々女性達からは嫌われていたが、今回の件で決定的になり完全に孤立した。


その話を後輩の男から聞いたときは「悪いことはできないな」と改めて思った。





おまけのおまけ


後輩の女に注意したロゼは廣瀬の会社の女性達から憧れの存在となり、会ったこともないロゼみたいなかっこいい女性になろうとしているとか。

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