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紹介 2

「……冗談ですよね」


「いや、本当のことだ。それに、俺がこんなくだらない嘘を吐くためだけにお前をここに連れてきたと思うか?」


「(思わない)」


五六はアザミがどういう男か知っている。


だからこそ、余計にわからなくなった。


アザミなら二人の秘密を教えなくてもバレないよう上手く誤魔化すことができたはずだ。


それなのに、教えるのは何か他の目的があるのではないかと疑ってしまう。


「思いません」


どれだけ考えてもわからない以上素直に答えるのがいいと判断する。


「でも、信じられません……」


「そりゃそうだ。こんな話をすぐ信じる奴は馬鹿か能力を持ってるかそいつを知っている奴だからな」


アザミはタバコを取り出し火をつける。


「……だから、この二人が本物だってことを証明してやる」


「どうやって?」


「簡単だ。過去と未来どっちか当てればいいだろ。どっちがいい?選べ」


「じゃあ、過去で」


「だそうだ。ご指名だ、カガチ」


そう言われたカガチは嫌そうな顔を隠すことなくこう言った。


「俺に過去を見られてもいいのか?」


「え……」


「え、って何だよ。自分が決めたんだろ」


「そうですけど……」


そう言われると何も言い返せないが、自分の過去を覗かれるとは思っていなかった。


もし、仮に本当にカガチが過去を覗けるんだとしても今日会ったばかりの人に覗かれるのは嫌だと言って断る。


「じゃあ、しょうがないな。カガチ。俺の過去を覗け。それで、警視庁からここにくるまでの間で俺達が交わした内容を当てろ。これなら、お前も信じるだろ」


アザミは車に乗ってから一度もスマホをいらってない。


寄り道もしてないし、車から降りてもない。


車の中での会話は二人しか知らない。


この条件でカガチが当てたら信じるしかない。


能力は本物なのだと。


「はい」


「じゃあ、頼む」


カガチの前に手を出す。


カガチはその手を握り目を閉じて能力を発動する。




「もういいのか?」


能力を発動したから五分も経っていない。


「ああ」


眉間の皺を伸ばすようにマッサージしながら相槌を打つ。


「それで内容は?」


アザミが問うと隣で五六は目を見開きカガチの言葉を一字一句も聞き逃さまいと集中する。


「最初にアザミさんが俺達のことを紹介すると言ってその会話が終わった瞬間からここにくるまで一言も話していない。アザミさんが拒絶してたから彼からは話しかけられなかったみたいだし」


さっきのアザミの言い方だと、さも沢山の会話をした感じだったのに、まさかの一分で会話が終わったとは思ってもみなかった。


あんな空気でよく一時間以上も耐えたなと少しだけ五六に同情する。


「(まぁ、俺達だったらそもそもあんな空気にはならなかっただろうけど)」


すぐにやっぱり自業自得だと思い直し、当然の対応だと思う。


「当たってる……」


「これで信じたか」


「はい……」


「じゃあ、詳しく二人の能力の説明をするな。まず、カガチは相手の体の一部に触れないと能力を発動できない。物や人間以外の生き物の過去は覗けない。次にユーリは左目で見た人間全ての未来を視ることができる」


「あ、だから隠してるんですね」


話を聞く前はものもらいかなんかで眼帯をしていると思っていたが、未来を視ないようにしていたのかと気づく。


「そうだ。発動条件はあるから絶対に犯人を毎回捕まえられるって訳じゃないが、それでも二人のお陰で解決した事件は多い。これからはお前にも二人のサポートをしてもらう。いいな」


発動条件があるのは本当だが、カガチは物も人間以外の生き物からも過去を覗くことはできるし、ユリも右目からも未来を視ることはできる。


全てを教えるつもりは最初からない。


ある程度の情報だけを教えておけばいいだろうと思い嘘を吐く。


「勿論です」


「それにしても、あいつまだ来ねーな。どこで何してんだ」


ここにきて一時間が経とうとしていた。


それなのにロゼがまだ来ない。


「あ、そういえばもう一人いるんでしたね。どんな人なんですか」


五六の問いにユリ、カガチ、アザミの順でこう答える。


「美人で強い」


「凶暴女」


「クソ生意気な怪物女」


「……え?」


カガチとアザミの答えは似ているがユリとは違う。


一体どっちが本当なんだと困惑する。


「えっと、つまり美人で凶暴で生意気ってことですか」


「違う」

「そうだ」

「そう」


五六の問いにまたも意見が割れる。


一体どっちなんだと余計にこんがらがり、これ以上質問するのはやめようと決める。


「まぁ、人それぞれ意見は違う。お前が自分で決まればいい。俺達が正しいかユリが正しいかを」


「はぁ……」


気の抜けた返事をする。


「でも、一つだけ俺達の意見が同じのがある」


「それはなんですか?」


本当に?と疑いの目を向ける。


「それは、あいつが最強だってこと」


「最強ですか」


「そうだ。だから、絶対にあいつを敵に回すなよ」


作ったような笑みで笑いかけ五六の肩をポンポンと叩く。


「はい」


「それでいい。それにしても、本当何してんだろうな。電話するか」


スマホを操作しロゼに電話をかける。


『もしもし』


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