花嫁殺し 中編
「あの、私ブランコを落ちた後から何があったのかわからないんです。教えてくれませんか」
本当に何があったのかわからず五六に教えてくれて頼む。
「……フードがナイフを振り上げた後のことを聞きたいということですか」
「はい」
わざわざそれを口に出すなと思ったが、自分が頼んだから本当に聞きたいのかと確認のためにそう言ったのだろうと思い文句を言いたいのを我慢する。
五六はどうしてそんなのを聞きたがるのがと変な目で美鈴を見るが、応援が来るまでは暇だからいいかと思い何があったのかを話し始める。
「あのとき貴方がブランコから落ちたとき、本当なら顔か腕が切りつけられていたでしょう。ですが、今フードを取り押さえている人がナイフを持っている手に石を投げつけそれを邪魔し、犯人を取り押さえたと言った感じですね。私も一瞬のことだったので確かではありませんが」
そう言って五六はその一瞬の出来事を思い出す。
「ん?あれってもしかして不審者?あー、あれが藤堂さんが言っていたやつか」
ボーッとその不審者を眺めているといつのまにかその不審者が女性の前にいきナイフを振りかざしていた。
そこまでいきようやく五六は「あ、これ結構やばいやつだ」とわかった。
気づいてから不審者を捕まえようと走り出すが、五六が走りだそうとした時には既にアザミが犯人を捕まえて女性から引き離していた。
「藤堂さん」
急いでアザミの傍に駆け寄る。
「女性が怪我をしていないか確認してきてくれ」
五六の方を見ずフードを取り押さえたまま指示を出す。
「はい」
五六はアザミの指示に従い女性の所にいき大丈夫か聞いた。
それから少し話したあと女性をベンチに座らせ自分が知っている範囲で事のあらましを説明する。
「つまり、あの人が私を助けてくれたってことですか」
「はい。そうです」
「あの、後でお礼を言いたいのですが」
今は自分を殺そうとした者がいるので近づきたくなかった。
「わかりました。後で藤堂さんのところに一緒にいきましょう」
「ありがとうございます」
応援がくるまでの間、会話はなかったが美鈴は五六が傍にいてくれたお陰で安心することができた。
「では、後はよろしくお願いします」
応援がきたのでアザミはフードを渡す。
「はい。任せてください」
同じ捜査一課の刑事達はアザミにそう言うとフードを引き連れ署に戻っていく。
パトカーに乗るまでフードに「自分の足でちゃんと歩け」「ぶつぶつ何言ってるだ」とか文句を言っているのが聞こえる。
同僚達の声に耳を傾けながらポッケからスマホを取り出しそっちはどうなったか、とユリに電話をかけようとしたら、後ろから話しかけられ電話しようとしたのをやめスマホをポッケに戻す。
「あの、先程は助けていただきありがとうございます」
美鈴は頭を下げてお礼を言う。
「いえ、気にしないでください。頭を上げてください。貴方が無事でよかったです。危ないので家までお送りします」
ユリに電話をするのは美鈴を家に送ってからの方がいいな、と思い先に送ることにした。
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
美鈴は涙を流しながら助けてくれたアザミにお礼を何度も言う。
アザミは美鈴に泣かれ戸惑い困った顔をする。
助けを求めようにも今いるのは五六だけ。
全く頼りにならない男しかいない。
泣いている女性にどうすればいいかアザミにはわからずあたふたするも、何とか車に乗せて家まで送り届けた。
家まで送ると美鈴の婚約者が丁度仕事終わりに帰ってきたときに出くわし事情を説明し、後日また話を聞きにくると言い二人は署に戻る。
「藤堂さん。前言っていた紹介したい人達が教えてくれたんですか」
署に戻る途中にこの事件に関わる前日に言われた言葉を思い出す。
「近い内にお前に紹介したい者達がいる。会ったらそいつらの持っている力に驚くだろうが、そういうものだと受け入れろ。それが身のためだ。ああ、それと一人絶対に敵に回したらいけないのがいるから気を付けろ」
その時は何を言っているのか理解できなかった。
今も理解できてないが、ふとあのときアザミに言われた言葉が頭をよぎった。
勘違いだ、馬鹿馬鹿しいとそう思うのに何故かその人達の力が関係しているのではないかと思った。
「そうだ」
五六が何を聞きたいのかすぐにわかった。
「その紹介したい人達とはどんな人達か聞いても」
「強い子達だ」
「子達とは……もしかして、子供なのですか?」
「いや、全員成人している。まぁ、俺からしたら全員子供のようなもんだ」
「あ〜、そうなんですね。藤堂さんが大切にしている子供達ということですね。会うのが楽しみです。なるべく早く合わせてくださいね」
「ああ、わかった。その為にもこの事件をさっさと解決するぞ」
「はい、藤堂さん」
五六はアザミが紹介したいという人達に会えるのか楽しみすぎて口角が上がる。
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