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花嫁殺し 前編

「ふぁ〜、よく寝た」


幽霊退治のせいであまり寝られなかったので最近は昼近くまで寝てしまう。


そろそろ起きないとユーリに怒られる、と頭ではわかっているが二度寝しようと目を閉じ夢の世界にもう少しでいけるというとき「カガチ。アザミさんから協力要請がきた。三十分後にソウさんがくる。それまでに準備しろよ」と布団を剥ぎながら言う。


布団の温かさが急になくなり、冷たい空気で一気に目が覚める。


「何すんだ!俺は寝てたんだぞ。布団を剥ぐなんてあんまりじゃないか。鬼かお前は!」


せっかくのいい気分が台無しになりユリに文句を言う。


「そうか。せっかくお前の分のご飯も用意したんだがいらないということだな」


カガチに目もくれず部屋の外に出て行く。


「すみませんでした。俺が悪かったです。許してください」


ご飯。


その言葉を聞いた瞬間態度を一変させユリに媚びるよう謝りだす。




「それで、今回はどんな事件なんだ」


ソウの車に乗るとユリにアザミからの依頼内容を尋ねる。


「最近世間を騒がせている連続殺人事件。通称、花嫁殺し(はなよめキラー)」


「また出たのか!?」


これで被害者は十三人。


最初の被害者は三年前だが、ここ最近になって犯行が再開され起きる期間が短くなってきた。


このまま犯人を野放しにしていたらまずいと判断したアザミが二人の能力を使うしかないと思って呼んだのだ。


「ああ、そうだ。これが被害者達の資料だ。着く前に目を通しておけ」


タブレットを渡す。


「ユーリはもう見たのか」


「ああ」


アザミから朝連絡を貰ったとき確認した。


「そつか。わかったよ」


カガチは十三人の被害者達の情報を頭に叩き込む。


被害者達は全員もうすぐ結婚する予定の女性達だった。


年齢も出身地も殺された県もバラバラで共通点が何も見つからなかった。


ただ殺された後の格好が同じで犯人は同一人物だと言われている。


女性達は殺された後花嫁の格好をさせられ手にはブーケを持たされて一目の多いところに放置されていた。


警察が未だに花嫁殺しを捕まえられなかったのは、捜索範囲が広過ぎたからだった。


最初は京都、次に千葉、その次は岡山と場所が遠すぎて他の県でも起きるのではないかと捜索の手を広げていたがいつの間にか犯行がおさまり犯人は捕まえられないのではないかとなっていたとき半年前にまた、花嫁殺しが復活した。


ただ復活してからの被害者の五人は全て都内で発見された。


五人の被害者が出ても警察は犯人を捕まえることはできず、悲願花に協力要請をすることになった。


「被害者達の遺体はまだ残っているのか?」


「二人だけ。残りはもう火葬された」


「つまり、確実に見れるのは二人だけか。他の人達がその日に身につけていたものはあるんだろう」


「ああ。アザミさんに確認したがちゃんと保管されているらしい」


「そうか。なら問題ないな。それにしてもアザミさん、大丈夫か。あの件でも忙しいのに花嫁殺しの捜索もしないといけないなんて。刑事は大変だな。ちゃんとやってんのか」


「問題ないと。そろそろ、こっちに連れてくるってさ。この件が片付いたら連れてくると。心の準備をしとけよ」


「へいへーい。わかりましたよ」


ユリはいつもより早口で言うカガチのことが心配だった。


これから遺体から過去を覗きその出来事を見るのだ。


実際にカガチが体験するわけではないがその時の出来事や感情、痛みが共有される。


辛くないはずがない。


本人はもう慣れたと言っているが、こればっかりは慣れるものではない。


ユリも似たような能力を持っているからこそわかる。


未来を見てもうすぐ死ぬ運命の人を助けたら、一人だけで済むのが五人、十人と大勢死ぬことになることもある。


一人を助け大勢を殺すか、一人を見捨て大勢を生かすか。


どちらの選択も辛い決断だ。


今は能力の調整ができるから勝手に視ることはないが、たまに視た未来で人が死ぬ運命だったとき何度も経験したことだとしても慣れることはなかった。


「無理はするなよ。俺もいるからな」


「それはお互い様だろ」


ユリの優しさを感じ少し心が落ち着く。


警察署に着く頃には覚悟はできていた。


「じゃあ、頑張れよ」


「ありがとう、ソウさん」


二人はソウを見送ると警察署に入りアザミが迎えに来るのを待った。


「カガチ、ユーリ」


アザミに呼ばれ振り向くとクマが遠目からでも見えるくらいくっきりと浮かんでいた。


ーー大丈夫なのか?寝た方がいいんじゃないか?


その言葉を何とか呑み込む。


花嫁殺しを捕まえるまではゆっくり休むことなどできるはずがない。


二人がアザミを寝かすにはさっさと犯人を捕まえるしかない。


「アザミさん。案内してくれ」


大切な人が花嫁殺しのせいで大変な思いをしているのが許せず、過去を覗いて犯人を見つけようと思う。


見つけ次第ぶん殴ってやろうと。


「わかった。こっちだ」


アザミは遺体がある安置所に案内する。


「ここだ。入るぞ」


アザミの後に続き二人は遺体のある部屋の中に入る。


部屋には花嫁殺しに殺された二人の女性の遺体がある。


一人は三日前に殺された佐藤明美(さとうあけみ)


もう一人は一週間前に殺された椿沙織(つばきさおり)


カガチもユリも資料で見ていたので名前は知っている。


二人共殺害方法は心臓を刃物でひと突きと溺死と違ったが花嫁の格好をさせられたので、犯人は花嫁殺しだと思われている。


「じゃあ、やるぞ」


カガチは先に三日前に殺された佐藤明美の方から過去を覗くことにし肌に触れる。


「ああ、頼んだ」


ユリとアザミはカガチが死を体感するため本当に死なないよう傍で見守る。


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