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幽霊退治 後編

「……勘違いですか?私が一体何を勘違いしていると」


カガチの言っている意味がわからずそう聞き返す。


「南雲さん。貴方は理沙さんが浮気したとおっしゃっていましたが、そんな事実はありません。理沙さんは浮気なんてしていなかったんですよ」


「嘘だ!!俺は自分の目で見たんだ!!」


カガチの言葉を即座に否定する。


そんなはずないと。


だって、あの日理沙が他の男と楽しそうに歩いているのをこの目で見たのだから。


「確かにあの日理沙さんは男の人といました。でも、貴方は理沙さんが不貞をはたらいたのを見たのですか。歩いているところを見ただけですよね」


その言った通りで何も言えなくなる。


「貴方が見た人は理沙さんの浮気相手ではなく、花屋の店員さんです」


「花屋の店員?」


「はい、そうです。毎年、理沙さんは貴方の誕生日にプレゼントを二つ渡していますよね。その内一つは毎年フラワーボックスだった。違いますか」


「……そうだが、それと何の関係がある」


カガチが次何を言おうとしているのかがわかり、頭の中でその言葉を墨で黒く塗り潰す。


そんなわけないと。


「理沙さんは毎年貴方の誕生日プレゼントをその店員さんにリクエストしてたんです。箱、瓶の形から花、色、全て自分で決めたのを作って貰ってたんです」


「……だからなんだ?それが浮気してない証拠にでもなると?」


「……花にはそれぞれ意味があるのは知ってますか?理沙さんが何故毎年貴方に花を贈っていたのか考えたことはありますか」


カガチはまだ理沙が浮気していないことを認めようとしない南雲に腹を立てる。


彼女がどんな気持ちで毎年花を贈っていたのかと。


それを知っているから余計に許せなかった。


「貴方が一度でもその意味を考えていたら、その意味をわかっていたなら理沙さんが浮気していたなんて思わなかったでしょう」


カガチは理沙の過去を覗いたときどれだけ彼女が南雲を愛しているかを知った。


最後の日、理沙は南雲にフラワーボックスを渡そうとして拒否されたときの悲しみがどれだけのものだったか、その感情が自分の中にも流れ込んできて泣きそうになった。


「赤い薔薇の花言葉は貴方を愛しています。カリンの花言葉は唯一の恋。桔梗の花言葉は永遠の愛、変わらぬ愛。かすみ草の花言葉は幸福。ブーゲンビリアの花言葉はあなたしか見えない。赤いカーネーションの花言葉は真実の愛、純粋な愛。青いカーネーションの花言葉は永遠の幸せ。ルドベキアの花言葉はあなたを見つめる。千日紅の花言葉は永遠の恋、色あせぬ愛、変わらない愛です。この花達には他の花言葉もありますが彼女が貴方に込めた花言葉はこれでしょう」


店員と花を決めているとき花言葉を確認していたのを思い出す。


「それと薔薇とカーネーションには本数にも意味があります。九本の薔薇はいつもあなたを想っています、いつまでも一緒にいてください、です。カーネーションは一本では、私の運命の人は貴方です。四本では貴方を一生愛し続けます、という意味があります。……これを聞いても貴方はまだ理沙さんが浮気していたと思いますか」


カガチの問いに漸く南雲は自分が最悪な勘違いをしていたことを認めた。


南雲の両目からは大量の涙が溢れ落ちどれだけ後悔しているのかが見てわかる。


「……貴方が理沙さんが浮気していると思ったのはある人からそう言われ店員さんとの写真を見せられたのがきっかけですよね」


「……はい」


カガチの問いに南雲は頷く。


南雲はその人から理沙の浮気を聞くまではそんなこと思っていなかった。


理沙が浮気するなど信じていなかった。


最初は南雲もだって信じなかった。


でも、写真を見せられたら信じるしかなかった。


その写真に写っている理沙はとても幸せそうで自分だけが見れることができると思っていた特別な笑みをしていた。


「南雲さん。どうして理沙さんではなくその人を信じたんですか?」


ユリには理解できなかった。


愛した人より他人の言葉を信じれる南雲のことが。


「……」


南雲はユリの問いかけに何も言わなかった。


南雲自身どうして信じたのかわからなかった。


ただ、あのとき理沙が浮気していると聞かされ妙に納得してしまった自分がいたのを覚えている。


自分が愛されることなんてやっぱりありえないんだと。


南雲は両親から虐待を受けていた。


弟は愛されて自分だけは暴力を受ける毎日。


その過去のトラウマのせいで愛を信じきれなかったのかもしれない。


同情はするが、南雲のしたことは許されることではない。


「南雲さん。貴方に言わないといけないことがあります」


カガチは理沙の言葉を今ここで伝えることにした。


今でなければいけないそう思った。


ユリの方を見ると好きにしろと目で言われた。


「私はあなたの全てを許します。だからもう一度桜の咲く季節にまた出会いましょう」


理沙は涼介の夢の中ではずっと「どうか、彼を助けてあげてください。私は憎んでないと幸せだったと伝えて欲しい」と泣きながら訴え続けていたが、カガチが理沙から聞いた言葉は涼介が聞いていた言葉と違っていた。


カガチが理沙からの伝言を伝えると南雲は理沙と出会ったときのことを思い出した。


桜の花びらが舞う中一人立ち尽くす理沙を見て恋に落ちたあの日を。


カガチの言葉がどうしても理沙が言った言葉の気がして胸が握り潰されそうな程痛む。


理沙はもう一度最初からやり直そう、とそう伝えているのだと。


「……南雲さん。もうすぐここに警察が来ます。貴方の口から話して頂けますね」


「……はい」


ユリの問いに南雲は頷く。


南雲が自白すると約束するとユリはアザミに終わったとラインする。


暫くするとアザミがきて南雲に声をかけた後死体遺棄を認めた南雲の腕に手錠をかけ連行していき事件は解決した。


「これで漸く終わったな」


カガチが腕を伸ばして今回は大変だったと笑いながら言う。


「いや、まだだ。忘れたのか。俺達の依頼は幽霊退治だ。彼女がもう依頼人の前に現れないか確認するまでは終われない」


ユリの言葉でそうだったと思い出す。


カガチは確認なんてどうすればいいかわからず困り果てる。


カガチは理沙と約束をし守った。


今度は理沙が守る番だがそれを確かめる方法はない。


「どうやって確かめるんだ?」


カガチの問いにユリはニッコリと笑う。


その笑みでカガチは全てを察し「ですよねー」と言うことしかできなかった。


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