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幽霊退治 後編

「あの、君達は誰ですか?」


昨日、警察から元恋人の遺体が二日前に見つかったので一応ご報告という連絡がきて急いで山に向かった。


すると、そこには二人の少年がいて「やっぱりきたんだな」と声をかけられた。


「俺達か?俺達はあんたが埋めた女性を発見した者だよ」


カガチが答える。


「そうですか。それはありがとうございます」


南雲のその言葉にカガチは顔を険しくさせユリは無になる。


「……やっぱり否定しないんですね。それにあなたがそうしておいてよくお礼など言えますね」


南雲はカガチのやっぱりという言葉が引っかかったが、今は無視することにした。


「だからですよ。私がそうしたのに見つけるわけにはいかないでしょう」


カガチの言葉に自分で埋めておいて掘り返すことなどできないと言う。


南雲の言っている意味がわからずカガチは顔を更に険しくさせる。


「私は彼女を愛していました。ずっと一緒にいたいと。将来を約束して結婚するはずだったのに……。彼女は私を裏切ったのです」


穏やかだった顔つきが裏切ったのですで憎しみに染まった顔になる。


悪魔に取り憑かれたような不気味な顔つきに二人は黙って見続ける。


「あの女は私を愛していると言っておきながら、他の男とも付き合っていたのです。私には彼女だけだったというのに。こんなの許されるはずがない。許していいはずがない」


南雲は頭をかきむしりながら当時のことを思い出していた。


「私は彼女の笑みが大好きだった。花のように可憐で美しく優しさに溢れた笑みが。でも、それは私だけに向けられているのではなかった。他の男にも同様に向けられていた。私は胸が押しつぶされそうなくらい苦しくて辛かった。息をするのもやっとでどうしようもなかったのに。彼女は違うと思うと許せなかった」


「……でも、貴方は許した。それは何故ですか」


カガチがそう尋ねる。


「何故って、愛していたから。だから、許した。知らないふりをした。ずっと一緒にいたかったから。殺すつもりなんてなかったんだ」


ここにいたのが二人でなかったら誰も南雲の言葉など信じていなかっただろう。


カガチの能力で警察が来る前に骨から過去を覗き何があったのかを見た。


「事故だったんですよね。何があったのか話してくれませんか。何故貴方が彼女を埋めようと思ったのかを教えてください」


カガチは何があったのかは知っていたがその後の事はわからなかった。


死んだ後のことは見ることはできない。


物と違い生物は生きている間の出来事しか読み取れない。


最後に理沙が見た光景は泣き叫ぶ南雲の姿だった。


「あの日、理沙が死ぬことになった日俺は理沙と浮気相手がデートしているところを見たんです。理沙が浮気しているのは前から知っていました。今までは実際に見たことはなかったら大丈夫だと、彼女は自分の元に帰ってくると言い聞かせていました。でも、実際に見ると許せないものだと思い知らされましたよ。彼女の愛らしい声も可憐な笑みも私ではない誰かに向けられていると思うと腹立たしく許せなかった」


南雲は静かに涙を流し当時の事を思い出していた。


「その日、理沙が私の元に帰ってきてもいつものように迎えに行く気力もなかった。その時だけは理沙の顔を見ていたくなかった。理沙が話しかけても無視をしてしまった。理沙が毎年くれるフラワーボックスを私は受け取らず払い退けてしまった。その時理沙も強く払い退けてしまったせいで頭を机の角にぶつけて動かなくなったんです。私は急いで理沙に駆け寄り話しかけたました。だけど頭から大量の血が流れもう助からないと悟りました。その時ふと頭に過ぎったんです」


カガチの顔が悲しみから狂気へと変わり二人はその表情にゾッとする。


「今彼女が死んだことを知っているのは俺だけ。浮気相手は理沙が死んだことすら知らない。その秘密を隠せば理沙は永遠に俺だけのものじゃないかと。そう思ったら身体中が震えだして心が満たされていったんです。心に空いた穴がどんどん塞がっていく気がしました」


南雲の表情は喜びに満ち溢れ頬が赤く染まっていた。


「それなのに、お前達のせいで理沙が死んだことが浮気相手にもバレた。もう、俺だけの理沙じゃなくなった!!」


南雲はそう叫ぶ。


二人のことを殺したくてしかたないと言っているようだった。


「……元々貴方のものではないでしょう」


ユリが冷たい口調で言い放つ。


南雲はユリの言葉に顔がカッと熱くなっていくのを感じる。


「……お前みたいな若造に何がわかる」


「さぁ、わかりませんよ。わかりたいとも思いませんが。俺は好きな人を冷たい土の中に一人でいさせようなんて思いませんから。でも、貴方は思うんですね。好きな人がそんなことを望んでいると喜んでくれていると思うんですよね。ああ、貴方だけが私の死を知っている。幸せだと。そんな風に思っているんですよね。彼女が喜んでくれていると」


「うるさい!うるさい!うるさーい!お前に言われなくてもわかってる!……わかっているさ。それでも、どうしても他の男には渡したくなかったんだ」


愛していたから、と。


そう呟く南雲の姿があまりにも自分勝手で見るに耐えなかった。


「愛していたら何をしても許されると、そう思っているのですか?もしそうなら貴方のは愛ではありません。ただの自己満足の独りよがりなものです」


ユリの言葉に南雲はただ黙るしかなかった。


その通りだと思ったからだ。


もう自分には理沙を愛する資格などない。


そもそも自分と出会わなければ理沙は幸せだったかもしれない。


そう思い始めていた。


そう思っているのを南雲の表情から察知したカガチは今なら理沙の伝言を伝えても大丈夫な気がして声をかける。


「……南雲さん。貴方は一つ大きな勘違いをしています」


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