f#02 亜水産業地区・侵攻作戦
『――――あー。聞こえているか?』
野太い声が聞こえるな。
恐らく〝依頼主〟の司令官だ。
『聞こえているなら返事……いや、そのままで居てくれ。あまり、時間が無いものでな』
モニターが次々と表示されていく。
どうやら、本格的に動き始めた様だ。
『手短に話そう。〝依頼の概要〟についてだ』
その言葉が、皆の空気を一変する。
『目標は〝亜水産業地区〟に展開する、敵防衛部隊の排除だ』
マップにエンブレム。
市街地での戦闘は慣れている。
『知っているとは思うが、あそこは《アバランチ》にとっても重要な都市だ』
フラッグが出てきた。
まさかと思うが。
『その為、提携先である《財団》と手を組み、必死の抵抗をしているのが現状だ』
「うわぁ……」
キツいのは分かるが、それは私のセリフだろう。
『ま、ただで壊滅させろとは言わない』
また、市街地のマップになった。
『出来る限り、敵の防衛機能を奪って欲しい。あとはこっちで何とかしておく』
つまり、主力を突入させる為に破壊しろと。
『また、《管理者部隊》の存在も確認されている。見つけ次第、どう対応するかは任せる。必ず撃破しろよ』
――――情報通りだな。
《十七番目》。
『説明は以上だ。……決して負けるなよ』
こうして、通信が終わった。
「……ま、そう言う事だ」
ハルターが立ち上がった。
「誰がこの〝イベント〟を起こしたのかは知らんが、これは好機だろう」
そのままモニターに近付いている。
「頼む。俺たちの名前を、刻んではくれないか? この偉業を、成し遂げたいんだ」
「ハルターさん……」
とても真剣な眼差しだから、非常に感銘を受けているのだろう。
彼の言葉からして、本気で望んでいるのも分かる。
だけど、私からすれば、ただの――――《火遊び》だ。
「分かりました。全力でお手伝いさせていただきます!!」
「…………」
どう答えを出すか、迷ってしまった。
やはり、感情は邪魔だな。
「分かるよ、Mii。どれだけ無謀な事を言ってるのかは、重々承知の上だ」
勘違いされてしまった。
「君たちの腕も分かっている。だからこそ、確約しなくも良いんだ」
「……分かっているさ」
これ以上、私の為に時間を割く訳にはいかない。
「ただ、少し迷っただけだ」
正直に話そう。
少し遠回りな言い方しか出来ないが。
「必ず撃墜しよう。それが皆の為にもなるからな」
それが私の本心だ。
「Mii……ありがとう。必ず役に立って見せるさ」
ああ、そうだな。
その気持ちだけで、十分だよ。
「……時間だな」
ハルターの手元が光った。
ウィンドウ画面が出てきている。
「さぁ、行こうか。俺たちを待っている」
これは負ける訳にはいかない、か。
当然だな。
私にも、引けない理由がある。
「……皆さん、ご武運を」
ああ、行ってくる。
言葉をするには難しい立場だが、彼女の安寧を誰よりも願っている。
そうだろう、私は――――――
いや、今は止めておこう。
格納庫に向かって、準備を進めるのが先決だ。
「……これか」
輸送ヘリ〝ノクターン・クラス〟に取り付けられている。
確かに最良の手だ。
あの機動性と装甲があれば、目標地点まで送り届けられるかも知れないな。
『システム、起動――――』
目覚めろ、私の《スフィアロイド》。
『認証開始、、、ユニットの接続を確認しました』
「…………」
『各種の動作に問題はありません。認証完了』
暗い影に潜む様な、イメージカラー。
フードの様な形状とした、メインカメラに光を灯す。
『起動します』
周りの視界が開ける。
準備完了だ。
「……ん?」
〈 ???
『……こちら、ハルター。聞こえるか?』
「……聞こえるさ」
通信が入ってきたな。
急いでフレンド登録しないと。
〈 ???
『そうか、良かった。突然の通信で悪かったな』
「大丈夫だ」
僚機として雇われているんだ。
知っていもおかしくはない、か。
「それより、ハルカは?」
〈 ハルター
『まだ、準備に時間が掛かるそうだ。それまでに装備を整えるぞ』
「了解」
装備か。
事前に持ってきた突撃銃と、銃剣だけで良いか。
後は臨機応変に、戦況を見極めて、だな。