90.俺そんな歳じゃないから!
「なんで俺に鋭い視線を送ってくるんだよ……」
エリサたちに、俺は苦笑しながら言う。
睨めつけるなら変なことを言っているダークハートさんだと思うんだけど……。
「いや、カイルを信頼はしているんだけどね?」
「わたしたちも有名になりましたし、もしかして魔王様に……って」
は……?
どういうことだ?
俺は一瞬理解ができなくて、その場で固まってしまう。
だが、少し時間を置いてやっと理解できた。
「馬鹿! 手ぇ出してないから! 俺そんな歳じゃないから!」
「浮気なんて信じられない~!」
「浮気はダメですよ! 全く!」
おいおい……俺をなんだと思っているんだ……。
全く……でもまあ、今まで以上に二人と仲良くなった証拠……ってことになるのかなぁ。
からかうっていうレベルは超えているとは思うけれども。
「ふはははははは! 浮気も何も、妾はカイルの本妻だからな! でもでもカイルに会えて妾嬉しいのじゃぁ!」
そう言って、ダークハートさんが俺の手を握ってくる。
しかし……この子が魔王様なのか?
どう見たって……なんていうか、子どもにしか見えない。
なんならエリサたちよりも幼く見える。
何かの間違いじゃなかったり……しないよな?