表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/127

85.俺が選んだ道

「俺、こういうの苦手なんだけどなぁ……」


「まぁまぁ! せっかくなんだから!」


「そうですよカイルさん!」


「でもなぁ……」


 俺は鏡に写る自分の姿を見据える。


 全く似合わない正装だ。


 エリサたちも可愛らしい衣服を身につけて、どこかニヤニヤと楽しげな表情を浮かべている。


 まあ、そりゃ当然だ。


「勇者の称号授与式なんですからね!」


「ビシッとして!」


「……それもそうか」


 俺は大きく息を吐いた後、ぎゅっとネクタイを締める。


 やっとここまで来れたんだ。


 目標だった勇者という称号を得る段階まで来たのだ。


 昔はあんまりそういうのは好きじゃなかった。


 目立つのとかは正直勘弁してほしいところがある。


 でも、俺はここ数ヶ月で様々なことを経験した。


 様々なものを聞いて、見て、失った。


 だからこそ、今がある。


「ふう。緊張するか、二人とも」


 尋ねると、エリサとユイは顔を見合わせて横に首を振った。


「全然!」


「嬉しさの方が勝ってます!」


「そりゃいいこった」


 俺は肩を回しながらくるりと踵を返す。


 鏡に背中を向け、前を向いて歩き始めた。


 それを見て、二人は俺の隣に並んでくる。


「カイルはどうなの? 緊張してる?」


「どうなんです?」


 二人が俺の顔を覗いてきた。


 どこかいたずらめいた表情を浮かべている。


 全く、こいつらは人をからかうのが好きだな。


 俺は嘆息しながらも、少し考える素振りをしてみせ。


「全然。最高な気分だ」


 そう言って、俺は扉を開いた。


 同時に、張り裂けそうなほどの拍手が巻き起こった。


「「「勇者一行のお通りだぁぁぁぁぁぁ!!」」」



「随分と変わりましたねぇ。カイルさん?」


「まあ、そうですね。変わったかもしれません」


 勇者称号授与式が終わり、数日が経った頃。


 俺はルルーシャさんに呼び出されて宮廷の中を歩いていた。


 こうやってルルーシャさんとまともに話したのは久々な気がする。


 それこそ、式典では忙しくてそれどころではなかったしな。


「否定、しないんですねぇ?」


 珍しそうにしながらも、彼女はどこか嬉しそうな表情を浮かべている。


 宮廷内の廊下は静かで、俺とルルーシャさん以外はいる気配がない。


 それもそうで、今は真夜中。


 ほとんどの人間は寝ている時間だ。


「それよりも。どうして急に俺を呼び出したんです?」


「行けば分かりますよぉ。強いて言うなら……やばみ、ですかねぇ」


「はぁ……」


 俺は小首を傾げて、ただただ困惑する。

 

 急ぎの案件だったらしいから、エリサたちを置いて俺だけ来たけど一体なんなのだろうか。


 薄暗い廊下を歩いていると、もう見慣れた扉の前に立った。


 ルルーシャさんは扉をノックした後、ゆっくりと中に入る。


「カイル。待っておった」


 国王様がゆっくりと顔を上げ、俺のことを見てくる。


「どうされました? 急に呼び出しだなんて」


 尋ねると、少しばかり静寂が訪れる。


 深夜の静かな空間。


 しかし、すぐにそれは打ち破られた。


 一つの衝撃とともに。


「魔王から和解の連絡が届いた。カイルよ、歴史が動くぞ」

●あとがき●


これにて第一部完結になります!ここまで物語を描くことができたのも読者の皆様のおかげです!一つの選択、一つの衝撃。そして新たな幕開けを迎えた本作ですが、本編でもある通り今後新たな物語が展開されていきます!


皆様!!!お楽しみに!!!


執筆頑張ります!


【夜分からのお願いです】


・面白い!

・続きが読みたい!

・更新応援してる!


と、少しでも思ってくださった方は、


【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】


皆様の応援が夜分の原動力になります!

引き続きよろしくお願いいたします!


これからも応援してください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ