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79.魔族召喚

「魔族を……召喚した……!?」


 俺は目の前で発生した現象に理解することができず、ただ困惑してしまう。


 召喚士という職業がある通り、人や魔族は魔物を召喚することができる。


 しかし、人が人を召喚することはできないだろうと言われていた。


 知能が高い生物ほど、召喚するのが難しいからだ。


 不可能ではないが、極めて高い技術力が必要だ……という話はあるけれど。


「オレはこういうのが得意でね。幼い頃から、誰かを操るのが憧れだったんだ」


「ははぁ……趣味が悪いな」


「英雄は人の上に立つものだろう?」


「皮肉みてえなこと言うな」


 ぐっと拳を構え、魔族を見据える。


 人数にして十人程度。


 魔族の時点で討伐難易度は飛躍的に上がる。


 それも、ヴォルガンが召喚したものに弱いものなんていないだろうから、恐らくSランクは普通にあるだろう。


 Sランク想定が十人程度か。


 それに、エリサたちとはバラバラ。


「やるしかねえよな」


 二人を早く解放しなければならない。


 簡単には負けないだろうが、連戦が続いたら話は別だ。


 体力の限界まで来ると、油断をすれば死が襲ってくる。


 さっさと、ヴォルガンを殴らねえと。


「それじゃあ、来てくれ。お前がオレの能力に勝てるのか楽しみだよ」


「そうだなっ!!」


 俺は地面を蹴り、一気に魔族の方へと駆け出す。


 走り抜け、一人の魔族の懐に潜り込んだ。


「まずは一人!」


 相手の腕を掴み、そのまま地面に放り投げる。


 衝撃に耐えることができず、魔族は静かに消滅した。


「なんだ? 本物じゃないのか?」


 普通なら倒されても魔族は消滅したりはしない。


 実体じゃないのかとも思うが、確かに触れることはできた。


「魂だけ借りているからな。そっちの方が処理が楽だろう?」


「……最低だな。どこが英雄だよ」


「平和は犠牲の上に成り立つものなんだよ」


「目指すものじゃねえよ」


 先程の動きから見て、恐らく致命傷を与えなくても消滅はする。


 そうすれば、本体は死にはせず気絶程度で済むはずだ。


 少しばかり面倒な技だが、これだけはしっかりとしなければならない。


 ヴォルガンの思想のアンチテーゼにならなければならないと思ったからだ。


「全員、魔法を放つ準備をしろ」


 ヴォルガンが静かに魔族へと指示を出す。


 すると、魔族はゆっくりと手のひらを俺に向けてきた。


「さて、避けることができるかな。カイル」


 数十人からの魔法攻撃。


 これ、普通に考えてめちゃくちゃヤバいな。


 タイミングさえやらかしたら一気に持って行かれる可能性が大きくある。


 だが。


「……やってやるよ!」

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