75.二体目
「さて、次はどいつだ?」
俺は腰に手を当てて笑う。
ひとまずオーガは討伐することができた。
目立っているのはサイクロプスやワイバーン。
特にこの二体がSランク、もしくはそれ以上の魔物だろう。
「おらよっ!」
眺めていると、突然背後から攻撃を仕掛けてくる魔物の姿があった。
咄嗟に体を回転させ回避し、その勢いに任せて蹴りをかます。
Sランク相当の魔物が目立っていたから忘れていたが、普通の魔物もいるんだよな。
普通……といっても、Aランクは確定だろうが。
「雑魚は後で片付けるとして、さて。お前らから来ないなら、俺から行くぞ!」
言って、俺はサイクロプスに距離を詰める。
慌てて敵も身構えようとするが、どうやら間に合わなかったようだ。
俺の拳は既に、彼の腹へと命中していた。
サイクロプスは大きく吹き飛び、地面を転がる。
しかし、すぐに起き上がってこちらを睨めつけてきた。
「物理耐性持ちか」
面倒だなと思い、大きく息を吐く。
物理耐性持ちは俺の天敵なんだ。
本当に勘弁してほしい。
だが。
「魔法はどうだ?」
俺は《ファイア》と詠唱を発動し、眼前のサイクロプスに放つ。
巨大な火球は地面をえぐり取りながら進んでいき、命中する。
噴煙が上がり、相手はゆらゆらとうごめく。
ダメージはどうやら入っているようだ。
どうやら魔法は効果的らしい。
『ギャァァァァァァァァ!!』
「あっぶね!?」
再度、今度は別の魔法を放とうとした途端にワイバーンが攻撃を仕掛けてきた。
大きな翼を俺めがけて打ち付けてくる。
腕で受け止め、そのまま受け流してバックステップ。
「邪魔しないでほしいんだけどな……!」
極力一対一で済ましたいのだが、まあこんなにも複数体の魔物がいたら不可能だろう。
仕方がない。
俺は嘆息しながら剣を引き抜き、逆手持ちをする。
「少し静かにしてろ!!」
そのまま、ワイバーンめがけて投げつける。
剣先は止まることなく進み続け、ワイバーンの足に直撃。
足を貫通して地面に突き刺さり、身動きが取れないようにした。
狙い通りである。
その様子を見たのか、その他モブ魔物たちも怯む。
「よーし。サイクロプスさんはおしまいな!」
俺は手のひらを構え、《ブリザード》を唱えた。
数多の氷の塊がサイクロプスに降り注ぎ、穴を空ける。
少しの静寂とともに、サイクロプスはゆっくりと倒れた。
討伐完了。
「ラストだワイバーン。んで、お前を倒したら怯んで様子を見ている雑魚どもも一気に片付けてやる」
『ギュルルルルルルル……!!』