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28.ルルーシャさん最高だぜ!

「あら、足りなかったですか?」



「い、いえ! 足りてます! ありがとうございました!」



 俺は必死になりながら頭を下げる。


 いや……いい思いをした。


 オッサン、たまに生きるのが辛くなることもあるんだけど、今のですべて消し飛んだ気がする。


 多分俺、今日のこの日のために生きていたんだ。


 今なら言える。


 お医者様、俺に余命宣告をしてくれてありがとう。


 クソ魔族、お前がしたことは絶対に許されないけど俺に呪いをかけてくれてありがとう。


 生きてて……良かったぁぁぁぁぁぁぁ!!



「こほん……ガッツポーズをしているところ悪いが、話をしてもよいか」



「あ、すみません! 少し取り乱してしまいまして!」



 国王様が咳払いをしながら、俺のことを見据えてくる。


 危ねえ……国王様の前だったの完全に忘れてたよ。


 聖女パワーすげぇ。



「お主たちの功績はかなり大きなものだ。改めて感謝する」



「いやいや! 頭を下げないでくださいよ国王様!」



「畏れ多いですから!」



「恐縮しちゃいます……!」



 俺たちは一斉に国王様を止める。


 さすがに一国の王に頭を下げさせるのはよろしくない。



「王として頭を下げるべきだと思ったからだ。ところで、お主たちに提案があるのだが聞いてくれるか?」



「提案……ですか?」



「現在も魔族は変わらず人間に敵対をしている。それだけでも不味いのだが、なにやら不穏な噂も流れてくるようになった」



「不穏な噂、ですか?」



「ああ。定かではないから、内容はあえて言わない。が、お主たちには引き続き魔族を――魔王軍幹部の討伐を目標にしていただきたい」



 魔王軍幹部の討伐……か。


 国王様直々のご命令だ。


 引き受けた方がいいだろう。



「二人は構わないか?」



「もちろん!」



「ぜひ引き受けたいです!」



「ということです。俺たちでよければ、ぜひとも手伝わせてください」



 そう言うと、国王様は静かに拍手をする。



「ありがとう。しかし何のお礼もなく、お願いをするというのも申し訳ない」



「といいますと?」



「二体目の幹部を倒すことに成功したあかつきには、お主たちを勇者として正式に国家で雇いたいと思っておる」



「本当!?」



「それって嘘じゃないですよね!?」



「おいおい……お前ら落ち着け……」



 俺はどうにか騒ぐ二人を落ち着かせ、国王様の方を見る。



「ありがとうございます。期待に応えられるよう、全力でやらせていただきます」



「うむ。期待している。また何かあればこちらから依頼をすると思うが、それまでは自由にやってもらって構わない。気にはしてもらうが、普段どおり活動を続けてくれまたえ」



 俺たちは頭を下げ、覚悟を決める。


 こんな大仕事を任されることなんて滅多にない。


 全力でやらないとな。



「……へへ。お前なんかが魔王軍幹部を倒せるわけねえだろ」



 ふと振り返ると、ルルーシャさんの隣にいるギアンがせせら笑っていた。



「今、魔王軍内部は複雑化しているんだ。お前如きがどうにかできるかな――ひえっ!?」



 俺が一歩近づくと、ギアンが涙を流しながら後ろに退く。



「誰が勝てないって?」



「そうだよ!」



「ですです!」



「すみません。調子にノリました……」



「あなたはしっかり罪を償ってもらいますからねぇ。覚悟、しておいてください」



「ひ、ひええ……」



 ギアンは体を震わせながら、ルルーシャさんを見ている。


 まあ、あんな脅され方をしたら怯えるわな。



「とリあえず、これが今回の報酬金です。疲れたでしょうから、宿も取っておきましたよ。ゆっくり休んでくださいねぇ」



「ありがとうございます――って重っ!?」



 お金が入った麻袋を持って、俺はあまりの重さに悲鳴を上げる。


 さすがは国家からの依頼だ……報酬金の量が桁違いだ。



「それでは、また会いましょうねぇ」



「は、はい! また! ぜひ!」



「……カイル」



「……カイルさん?」



「ご、ごめんって」



 女性陣たちからの視線が痛い。


 それはともあれ……ルルーシャさん最高だぜ!

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