表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/127

23.数多の兵士との相対

「しっかし……こんな数の兵士――しかも全員が重装備の相手を俺一人でやれだなんて、国王様は殺す気かよ」



 俺は目の前にいる数多の兵士を見ながら、一人ぼやく。


 普通の人間だったら、こんな状況絶望するしかないだろう。


 俺だって正直かなりキツイ。


 ただ、やるしかない。


 俺には退けない理由がある。


 こんなところで死ぬわけにはいかないからだ。


 三十で死ぬなんて嫌だ。


 もう少し歳を食って、楽しい老後を送りたい。



「それでは――始め」



 国王様の合図とともに、兵士たちが一気に俺に攻めてくる。


 よく見て見れば、相手が持っている武器は全部本物だ。


 剣も槍も、全部人を殺す物である。


 ははは……俺を超人か何かと勘違いしているんじゃないのか。


 やるしかねえけどよぉ!



「はぁ!!」



 俺は拳をぐっと引き、そして一人の兵士が近づいてくる瞬間に装備に向かって一撃を放つ。


 その刹那、兵士の装備がぐらりと揺らめいたかと思うと奥の方へと衝撃波が走る。


 もろに食らった兵士は後方に飛んでいき、他の兵士も巻き込んでいく。


 綺麗に俺が放った一撃に対して、まっすぐと道が切り開いた。



「な、なんだ……!?」



「何が起こった!?」



 兵士たちは動揺しているようである。


 ははは。俺の攻撃で動揺してくれるなんて嬉しい話じゃないか。



「国王様から知らされていたが、これは本当に殺す気でいかねば……!」



 そう言いながら、兵士が俺に向かって剣を振るってくる。



「や、やべ」



 俺はタイミングを間違えてしまい、もろに攻撃を受けてしまう体勢になってしまう。


 いくら体をねじったって、今からじゃ間に合わない。



「当たった――」



 しかし、俺に当たった剣はパラパラと音を立てながら崩れ去った。



「あ、あれ……?」



「え……?」



 俺と兵士の言葉が止まる。


 あ、そう言えば……。



「俺、防御力一万超えでした」



「は、はぁぁ!? 化け物かっ!?」



 俺は苦笑しながら伝えた後、兵士に向かって猫騙しを放つ。


 兵士は耐えることができず、その場に倒れた。



「さぁて。後は十人くらいか。どこからでもかかってこい――」



「も、もうダメだ! 殺される!」



「退避! 退避ぃぃぃ!!」



 拳をぐっと握り、兵士をボコる覚悟していたのだが、兵士たちが必死で部屋から逃げていった。


 え……終わり?


 これでいいの? 国王様、不満だからやっぱり俺との話はなしとか言わない?


 俺は震えそうになりながら、国王様の方を見る。



「素晴らしい!! いや、見事だった!」



 しかし俺の予想とは真反対で、国王様は興奮しながら玉座から降りる。


 そして、俺の手を握ってきた。



「想像以上だ! あの兵士たちは国家で最強と呼ばれる部隊だったのだがな!」



「え、嘘でしょ?」



 俺、国家最強と戦っていたのか?


 そう考えると、恐怖で体が震えそうになる。



「合格だ! ぜひ依頼を受けて欲しいし、お主が言っていた話も聞いてやろう!」



 ま、まあ成功ってことでいいんだよな。


 俺はふうと息を吐いて、安心した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ