表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/127

22.国王との面会

「にしても、カイルさんはお強いんですよねぇ。なんでも、一撃で魔物を葬り去るとか」



「ええと、俺が強いわけじゃなくてユニークスキルが強いんです。俺は別にただのオッサンですよ」



「そんな謙遜しないでくださいよぉ。普通の冒険者なら三十で引退するのに、カイルさんは歳を取るたびに全盛期を塗り替えていく。素晴らしいですねぇ」



「いやいや……」



 俺は別にすごくはない。


 すごいのは俺が持つスキルで、俺に価値があるわけではない。


 けれど、そう言ってくれるのは嬉しい。


 この女性が誰かは知らないが、褒めの言葉はありがたく受け取っておく。



「ここが王の間。少し待ってくださいねぇ」



 言いながら、お面の女性は軽くドアをノックする。


 返事はないが、何か少し頷くとこちらに顔を向けた。



「大丈夫らしいですよぉ」



「え、返事ありました?」



「ありませんでしたが、問題ありませんよぉ」



「ええ……」



「だ、大丈夫なの?」



「大丈夫なんですか」



 困惑していると、二人が耳打ちしてくる。



「いや、俺には判別できねえよ……」



 もしかしたら彼女には何か感じるものがあったのかもしれないし。


 俺は本当に何もいえない。



「準備はいいですかぁ? いいですねぇ」



 言って、俺たちの返事も聞かずにお面の女性は扉を開く。


 ギギギという擦れる音とともに、扉がゆっくりと動く。


 綺羅びやかな内装に、部屋を照らす炎がゆらゆらと揺らめいていた。



「ようこそ。まさか、お主がこの依頼を受けるとはな」



 玉座の上に座っている人物が俺を見て、薄く笑う。



「お、お主って俺を知っているんですか?」



「知っておる。お主のような人間を、国家が把握していないわけがないだろう」



「え、ええ……」



 俺は頬をかきながら、苦笑を浮かべる。



「国王様に認知されてるの!?」



「すごくないですか!?」



「お前らは少し落ち着こうな……」



 にしても、どうして国王様が俺のことを認知しているんだ。


 俺は別にそこまで有名じゃないと思うんだけど。



「お主は高い能力を持っているのに、地位を求めない。幾度となく、お主に勇者になるよう勧めるようギルドに依頼していたが、全て断った。そんな人物を忘れるわけがないだろう」



「……?」



 そんなことあったけ?


 いや、待て。なんか今思い出せばあった気がする。


 なんか受付嬢さんに勇者になりませんかとか言われてた気がする。


 あの時は冗談で言っているのかなと思って、適当に流したような……。



「しかし……我は見てみたいものがある」



「それは?」



 俺が聞いてみると、国王様は深く頷く。



「お主の実力をこの目で見てみたいのだ。お主の実力を見るのは、依頼を受けてくれた今しかないと思っている」



 そう言いながら、国王は指を弾く。


 すると、奥から武器と装備を身に着けた兵士たちが何十人も現れた。


 ちょっと待て。俺、どうなんの?



「二人は危ないからこちらに来ましょうねぇ~」



「え、ちょっと!?」



「待ってください!?」



 お面の女性に引きつられ、二人は遠くの方に避難していく。



「この兵士たちを倒してみろ。やれるな?」



「……マジでやるんですかって聞いても、俺は退けない理由があるしな」



 俺は拳をぐっと握り、国王様を見る。



「それじゃあ、後で俺の話も聞いてもらっていいですか?」



「もちろんだ」



「それならやりましょう」



 数多くの兵士を見て、ぐっと構えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ