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2.【晩成】の覚醒

「レベルが不明……そしてなにより全てのステータスが限界突破しています。あ、これ冒険者全盛期の平均ステータスね」



「え、ええ」



 医者はそう言いながら、俺のステータスと平均のステータスを並べる。



 ――――――――――

 名前 カイル

 レベル 不明

 攻撃力 15356

 防御力 12352

 魔法攻撃 13462

 魔法防御 16423

 ――――――――――



 ――――――――――

 冒険者平均ステータス

 レベル 50

 攻撃力 130

 防御力 120

 魔法攻撃 100

 魔法防御 85

 ――――――――――



 な、なにこれ。


 これが冒険者全盛期の平均ってマジで言っているのか?


 それで俺のステータスの方もマジで言っているのか?



「それでですね、私の方で原因を探ってみたんですよ」



「その……原因とは?」



 俺はすぐさま現実に帰る。


 やはり呪いか。俺は呪いに侵されているのか。


 ゴクリとツバを飲み込み、死を覚悟する。



「成人の日に行われるスキル鑑定の儀を覚えていますかね?」



「スキル鑑定の儀……ですか?」



 スキル鑑定の儀とは、成人――二十歳になった人間たちに行われる儀式である。


 そこで、人間は一人一つユニークスキルを得る。



「ええと、すみません。十年も前のことなんで覚えていませんね。確か俺が手に入れたスキルもよく分からないものだったので、内容も忘れちゃいましたよ」



 スキル鑑定の儀は手に入れるスキルによっては人生を大きく左右される。


 しかし、その後手に入れることができる魔法で、職業を選ばない&努力をすればある程度どうにかなった。


 だから俺は自分が得たスキルなんてものは覚えていなかった。



「そうですか。ちなみに、あなたがその時に得たスキルは【晩成】です」



「ああ、確かそんなものだった気がします。懐かしいなぁ」



 確か神官には【能力は不明】と言われていた記憶がある。


 だから努力で得られる魔法でどうにかしなさいと言われていた気がする。



「でも、そのスキルが今更俺に何か関係あるんですか?」



 能力が不明のスキルなんて、今更関係してくるとは思えない。


 しかし、医者は静かに語る。



「精密検査の結果、ユニークスキル【晩成】が覚醒していることが分かりました」



「覚醒……? それはどういう」



 医者に尋ねると、医者は腕を組む。


 何か真剣に言いたげなようだった。



「このスキルは【一日にちょっとずつステータスが上がる】というものでした。スキル鑑定の儀から十年が経過し、このスキルの力が強まったからこそ、不明だった能力が検査によって発覚したものだと思われます」



「え、つまり俺は?」



「塵も積もれば山となると言いますが、まさにその通り。あなたの体は【晩成】の覚醒により、人間を逸脱しました」



「……は?」



 余命宣告でも呪いでもなく、俺に宣告されたのは【人間からの逸脱】であった。

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