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18.諦めるわけねえよな

「もう一度お願いしてもいいですか……?」



「余命一週間です」



「冗談ですよね?」



「冗談じゃないですよ」



「死ぬんですか?」



「死にますね」



「……」



「……?」



「なんで地味に微笑を浮かべんだよ! いい歳したオッサンが微笑浮かべながら小首を傾げるなよクソ医者ァ!!」



 俺は立ち上がり、その場で剣を引く抜く。


 そして相手に向けて、キレ散らかした。



「ちょ、ちょっと落ち着いて!」



「剣は仕舞いましょ剣は!」



「ふざけんなよマジで! せめて余命宣告するなら深刻そうに言えよ! なんでかわいこぶって小首傾げんだよ!!」



 俺は後ろから拘束されながらも、剣を振り回す。


 看護師さんが慌てた様子で入ってきて、俺のことを見た後嘆息した。



「余命宣告くらいで暴れているんですか……全く、最近の患者さんは民度が悪いですね……」



「おいそこの看護師! 一回お前も余命宣告されてみろ! それで小首傾げられてみろ! 殺意沸くぞ!」



 俺は剣を看護師に向けて叫ぶ。


 しかし看護師は冷静で、呆れながら診察室から出ていった。


 なんだよこの病院。まともなのいねえのかよ。



「まあ落ち着いてください。私、言いましたよ?」



「何がだよクソ医者」



「クソではないですよ。私はそんな汚いものではなく、ただの医者です」



「そういう意味で言ってねえよ」



「それよりも、私は『このままだと』と言ったんです。つまり、死を回避する方法があるということです」



「……なんだよそれ」



 とりあえず俺は座り直し、相手の話を聞くことにする。


 医者はこほんと咳払いをして、俺の方を見た。



「ひとまず、あなたの状態を説明しますと『呪い』にかかっています」



「俺が、呪い状態に?」



「ええ。あなたに付与されている呪いを確認したところ、魔族の波長を感じました。最近魔族か何かに恨みを買いました?」



「……っ飛ばしました」



「え?」



「最近、魔族をぶっ飛ばしました……」



「ははは。間違いなくそれですね」



 心当たりしかなかった。


 最近俺は魔族をぶっ飛ばした。


 魔族関係の呪いと言われると、間違いなくあれしか思い出せねえ。



「それで……俺はどうすればいいんですか?」



「教会に行って、呪いを解いてもらうしかないですね」



 教会に行って、呪いを解いてもらう。


 あれ、めっちゃ簡単じゃね?


 別に悲観することなんてないじゃん。


 それじゃあ早速教会に行って……。



「簡単な話だと思いました?」



「え、ああはい。だって呪いを解いてもらうだけですよね?」



「私、言いましたよね。この病院には解呪不可の呪いにかかっている人が多いと」



「……え?」



「あなたの呪い、解呪不可です」



「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」



「ちょ、ちょっと落ち着いて!」



「とりあえず深呼吸しましょ深呼吸!」



「できるか! 死ぬんだぞ!? 俺死ぬんだぞ!?」



 落ち着く方が難しいわ!


 どうしろってんだよマジで!



「しかし……もしかしたらの話なのですが」



 そう言いながら、医者は俺の方を見る。



「世界レベルの聖女なら、解呪することができるかもしれません」



「世界レベルの聖女?」



「ええ。なので、あなたは一週間以内にその聖女に辿り着かないと助かりません。しかし、残念な話にはなりますが」



 医者はメガネをくいと上げる。



「余命宣告された全員にこのことは言っています。しかし、皆諦めて現実を受け入れます。あなたはどうしますか?」



 俺は少し考えた後、腕をまくる。



「俺は諦めません。絶対たどり着いてみせますよ、その世界レベルの聖女ってやつに」

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