17.は?(死)
「お久しぶりですね。【晩成】の調子はいかがですか?」
「いや、それよりもさっき飛び出してきた少年は一体……」
「ああ。彼は解除不可の呪いにかかっていまして。よく来るんですよ、ああいう方。カイルさんが来たときも私、余命宣告の準備をしていましたからね」
「ははは……笑えませんね」
「ここは笑うところですよ?」
「どうやって笑うんですか」
「それにしても、今日は女の子を二人も連れているんですね。出世しました?」
医者は背後にいるエリサたちを一瞥して、くすりと笑う。
「いや、彼女たちは仲間です。この前の診察結果が呪いとかデバフじゃなかったので、新しくパーティを組んでみたんです」
「ほう。それはいいことですね。ソロで活動するよりも、誰かと活動する方が有意義なものです」
医者は満足そうに笑い、ふむと顎をさする。
「して、今回はスキルは関係なさそうですね」
「見ての通り……腰をやっちゃいまして」
「腰ですか。確かカイルさんって三十でしたよね。駄目ですよ、力が有り余るからって無理しちゃうと」
そう言いながら、医者は俺をベッドへと誘導する。
俺は誘導されるがままベッドへと移動し、色々と施術をしてもらうことにした。
「私、こういうのも得意でしてね。自称なんでもできる医者なんですよ」
自称って……これも笑うところなのか?
施術してもらっている本人からしたら全く笑えないんだけど。
ただただ怖いんだけど。
「すごいわねー」
「ですねー」
二人は感心しながら見ているみたいだし。
どこが感心できるんだよ。
この人自称だぞ。
「それに痛え……!」
俺は悲鳴をあげながら、施術を耐え抜いた。
ゆっくりとベッドから起き上がり、軽く伸びをしてみる。
色々と文句は言っていたが、わりとマシになった気がする。
まだ痛むが、動けないほどではない。
「……本当にマシになったわ」
「ね? 病院怖くないでしょ?」
「全く、怖がりなんですから」
「ははは。ごめんごめん」
俺は笑いながら、医者の前に座る。
さあて、後は湿布でも貰って帰るだけかな。
「カイルさん」
「はいはい」
「このままだと、余命一週間ですね」
「は?」