127.時代は筋肉だぜ!
【★あとがきに大切なお知らせがあります!★】
俺はにやりと笑い、両腕を海に突っ込む。
もちろん魔法は使っちゃいけないし使うつもりもない。
魔法はコントロールできないのだから当然であるが、けれども方法がないわけではない。
筋肉――己の腕なら自由に力の加減だってコントロールできる。
「ぬぅ!」
水面に浸かっている腕を思い切り引き上げる。さながら水を掴むかの動作で、思い切り波を立てる。
「あれ? なんか一気に水面が低くなった?」
「でも……波が引くにしては少し……」
「お主ら違うぞ! カイルじゃ!」
お前らが気がつく頃には遅い。俺の攻撃は既に始まっている。エリサたちに向かって波が思い切り押し寄せてきていた。
「こ、これは……! 《障壁》を展開したところで、足下をすくうような波じゃから防ぎきれない……!」
「ユイィ! に、逃げなきゃ……! もぎゅ……!?」
「間に合いません――ぶぎゅ……!」
エリサたち三人は見事波に揉まれ、完全に行動不能状態になっていた。
「も、もう! カイル強すぎ!」
「魔法よりもヤバいですよぉ~!」
水面から顔を出して、エリサたちが頬を膨らませて不満そうに叫ぶ。
「ふはははは! 魔法なんかよりも時代は筋肉だ! お前ら甘すぎるぜ!」
半ば言っていることがリエトン伯爵のようで、自分で自分の発言に笑ってしまいそうになる。きっとリエトン伯爵がここにいたらハイタッチを交わしながら決めポーズをしていただろう。
「ぷはぁ! なんじゃ今の!? ヤバすぎるじゃろ!」
ダークハートも水面から顔を出して騒いでいる。
これがオッサンの本気だ。魔法だとかなんだで騒いでいるようじゃまだまだ甘い。時代はやはり【晩成】だぞマジで。
「さぁ! 俺も混ざってやるよ! 魔法ごときで俺に対抗できると思うなよ小童どもが!」
パンと正面で手を叩き、にやりと笑う。久々の遊びなんだ。こっちも全力でやらせてもらう。
「俺を倒せたら飯でも奢ってやるよ! かかってこい!」
この遊びに勝ち負けがあるかどうかは分からないが、まあ俺がギブアップだと叫べばそれで負けということでいいだろう。そんな俺の発言を聞いてか、沖の方にいる三人の目が変わる。
「マジで言ったなぁ? ちゃんと奢って貰うからね!」
「わたし、本気になったらすごいんですからね! あまり舐めない方がいいですよ!」
「勝負事は大好きじゃからのう……遠慮はせぬぞカイル!」
もちろん俺は何事も本気だ。遊びだからって手を抜くようなくだらない大人なんかじゃ決してない。
しかし、今回は三人の相手をしなければならない。少しでも油断をすれば、彼女たちの攻撃によって何もできなくなるだろう。油断はできないな。
「カイルよ! あまり……油断はせぬようにな!」
ダークハートが叫んだかと思えば、おもむろに両手を水中に突っ込む。また何か水の球でも飛ばしてくるのだろう……そう思っていたのだが。
「な、なんだ……? 体が沖のように引っ張られている……?」
波が引いているのだろうかとも思った。けれど、少し様子がおかしい。明らかに俺のところだけ波が沖へと進んでいる。
……このような現象に心当たりがある。
離岸流だ。波打ち際から沖合に向かって流れる局所的な波のことである。しかしこんな自然すらも味方に付けるような荒技……人には決してできるものじゃない。
「そんな人外染みた技が……!?」
なんて言うと、ダークハートはこちらを見てドヤ顔を決めた。
「くっくっ……! 妾――人外じゃからの」
マジかよ……自然現象を魔法で引き起こすだなんて聞いたことがない。やはり彼女は魔王であり、人外であるようだ。俺は抗おうとするが、けれども波の力が強すぎる。呑まれはしないが、体がどんどん彼女たちがいる沖へと引きずり込まれていた。
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