プロローグ2 気がついたら勇者になっていて総大将を任されたので仲間を守るため、なんやかんやで元凶討伐を決めた。
【勇者視点】
僕、真壁 健は少し後悔していた。
いつもそうだ、視線や雰囲気に流されていつも損な役回りをしてしまっている。
しかし今回は質が違い過ぎた。
それをわかっていながら僕はゆっくりと、それでいて一刻も早く!
手を上げて確認しなければならない。
鼓動の心臓が鐘の音を鳴らして邪魔をする。
うるさくなるのを実感して躊躇してしまいそうになる。
特に今日は一段と速い気がする、でもダメだ。
あの謎の存在と話さなればならないのだから。
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いきなり足下に魔方陣が現れた見知らぬ場所に居た。
ふと隣を見れば、さっきまで一緒に下校していた同級生の咲希と陵一が目に入り安堵したのも束の間。
自分達と同じようにココに飛ばされた?のか続々と時間が経つにつれて人数は増えていく。
あれからどれくらい何分経っただろうか?
不安がるサキを慰めながら、自分自身の恐怖の感情を無理やり無視していた。
男の僕でも不安なんだ、サキが不安じゃないわけがないんだ。
僕がしっかりしないと、、、、。
リョウイチはそんな僕達を知ってか知らずか、いつものテンションで話し掛けてくれる。
平然を装っておちゃらけているが、そのリョウイチの額には汗が伝っている。
それに時たま、近くの人に接触しては会話をして何か新しい状況の発展にならないかと模索している程だ。
全くリョウイチにはいつも驚かされるばかりだ。
改めて覚悟を決める。
握り拳を作る。
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少し、して周りが落ち着きを取り戻しつつあった頃、急に騒がしくなり、いきなり奥の方から押されて、よろける。
どうやら人垣を分けて何かがやって来たようだった。
そこからは驚くことばかりの連続が続いた。
身体の表面が光って本当に人間なのかも怪しい、そんな存在がそこに居たのだ。
そんな彼の説明は淡々と続いた。
我々の気持ちは余所にして。
そんな中、ここは何処なのかが益々不安になってきた。
死んだのか?
そんな、、、、、、、。
あの無機質な機械のような声に脈略のない棒読みは僕達を不安にさせていくのを加速させる。
隣のサキがとうとう崩れ落ち泣き出してしまった、反対隣にいたリョウイチはどうしたら良いのか解らず困った顔して動揺しているのが見て取れる。
サキが見上げた時、僕と目と目が合う。
その視線には不安を押し退け期待の光を灯している。
僕は咄嗟に頷いてしまった。
リョウイチは僕の肩に手をやり、もう一つの手でサムズアップしている。
どういう意味なんだ?
彼もツラいだろうに、我慢してるのがわかる。
これにボクは無言で笑顔を返して、顔を謎の存在に向き直す。
決意をしようとして僕は、ここ数年の悲しい性の記憶が走馬灯した。
全く、いつもこうだ。
子供の頃から何かあると僕が間に入っている。
ケンカを止めたり、委員長になったり、告白を断ったはず、、、。
君がやった方が良いんじゃないの言葉やオーラに流されて。
ボディブローをモロに貰い倒れた小5の夏の公園。
委員長だからと沢山の事を任されて、部活をする事も出来なくなり、あっという間に何故か生徒会長になっていた中3の放課後。
やんわり断ったはずなに、付き合っている事になっていた高1の春先。
なんだがいつも結果、僕が貧乏くじを引いている気がする。
思い出して、悲しくなって来た。
でもくよくよしても要られない。
謎の人物の話が途切れた、今がチャンスだ。
と思い胃を決して問いかける。
「スミマセン、まず貴方は誰ですか?
神だと思っていい……………………………………………………………………………………………………………………。」
話は続き、やがて異世界へ僕達は飛ぶ準備のためのステータスなんかの事に移行して行くのだった。
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僕達の分が終わる、納得は今だ出来ないが他の選択しは無く残されてもいないのだから、どうしようもない。
やっと開放(っと言ったら語弊がありそうだけど。)された安心感からなのかサキは又、頬を濡らしていた。
涙を拭いすこし素顔を見られるのを躊躇しながらもサキは笑顔でありがとうと言い照れていた。
手を繋いでと、お願いされたけど、そっちの方が恥ずかしくないのかな?っと思わず聞きそうなってしまう。
出かけた言葉を呑み込みOKの意味を込めて右手を差し出す。
サキは顔を真っ赤にして手を取る。
「じょ、冗談だったのに」
「えっ本当?サキ!?」
巫山戯て僕もそれに乗る。
「うっ、、実はホントォ!‥‥‥ありがとう。」
これで少しでもサキが和んでくれたらと微笑む。
「どういたし、痛ぁ」
言葉は遮られリョウイチにチョップをせれてしまった。
その顔は笑っているが少し怖い。
場を弁えろっと目が、訴えている。
サキも申し訳なく思ったのか照れている。
仕方がないからもう一つの手をリョウイチに伸ばす。
最初はリョウイチも何か分からずにいたが、僕の反対の手を見て悟ったのか。
飽きらめた顔でニヤけると呆れたと謐くと、躊躇していた自分の手と僕の手を強引に取ると歩き始める。
サキとそれからリョウイチも合わせて手を繋ぐと、眩しく淡いでいる魔方陣の中に一緒に歩いて行く。
(リョウイチに引っ張られて行く形ではあるけれど)
魔方陣が、よりいっそう強く光だして異世界に転送されるんだと実感したその時。
ふと少なくなっている人垣の中の、そこから少し離れた場所に一人、佇む黒髪を無造作に伸ばし寝癖で跳ねたままなのか手入れをしておらず、やけに白い肌の同い年ぐらいのジャージ姿の男子が目に止まり、何故か気になってしまった。
あちらはこっちに気づいていないようだけど、なんだか無性に惹き付けられてしまう。
なぜだろうか?
僕の目線の可笑しさに気づいたのか、リョウイチが話しかけてくる。
「どうした?もしかして直前になって嫌にでもなったのか?」
嫌味を言っているようで、心配になって声を掛けてくれたのを長年の付き合いから分かってしまう。
反対側でもサキがウンウンと赤べこのようになってしまっている。
その頬は泣いたせいなのかホントにちょっと赤い
「いや、大丈夫だよ、ただ、、、、。」
続く言葉を言おうして僕達は閃光に包まれてしまい、その次のセリフは何処かに掻き消されてしまった。
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