プロローグ1
2022年11/26、少し修正しました。
ぬるい風が頬に触れて目が覚める
眩しい日射しと木々の擦れる音
瞼をゆっくりと上げるとそこは一本道のある森の中だった
可笑しな感覚に晒される
自分はしっかりと自分の二本の脚で立っている
だがその事に今さらながらに気づく
自分が力を入れていなかった事を次の瞬間には倒れそうになって
それを防ぐため自分の意思でやっと、ふらつく体に意識を割いて立つための指令を脳が送る
そのおかげで無事に尻もちを着かなくて済む
仁王立ちから頭を左右に振り周りを確認する余裕も出てくる
ここでふと疑問に思う
思案しなければならない
覚醒と共にこの状況を全く理解出来ていない自分がいた
そもそも己が誰なのかも分からない
直後、全身に電気ショックを受けたような痛みが走る
走馬灯のように想起するフラッシュバックが脳内を駆け巡りパンクするように這いずる
思い出したのは『神との邂逅そして契約』それは以前の自分に因る使命にも似た呪い染みた一連の全ての記憶だった
電気ショックの激痛とフラッシュバックによる不快感のような物に歯を食いしばり耐えて得たモノは混乱と悲観
伴ったのは痛みに苦しみ
呼吸を繰返す事でしか、ない交ぜの感情を誤魔化す事が出来ない
行き場の無さのみ
自分は、いや彼は飛んでも無い置き土産をくれたものだ
過去の自分をぶん殴ってやりたい、そんな衝動に駆られながらも確かにある
この実感出来る
つい先ほど起きたであろう
あっただろう
出来事を思い出す事しか出来ないでいた
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思い出せるだけで最古な記憶は上も下も左も右も何も無く、ただ白くだだっ広い空間に左肩を壁に預け首をキョロキョロと動かしながら他にも同じように人がいる事を眺め安堵したりと忙しなくしている自分だった
それだけで彼がそれなりに混乱しているのが分かる
位置情報的に彼はそんなに人影から離れては無いが前も後ろも確認が出来る
尚且つ左部分の壁に陣取り、誰にも話し掛けられないように距離を保っている
100以上500未満の人間は確実に居るであろうことが少し見渡しただけでも分かる程には集められていた
そしてそれを許容するだけの広さを持つ、この謎の施設?場所?も気になってくるところではあるが、そこで先頭の方が騒つきを起こしているのを察知して自分の首は周囲と同じようにそちらに向いた
発光しシルエットが暈けた人の姿をしたソレは人垣を裂いて進み中央に来ると咳払いを1つすると喋りだし、ゆっくりと浮遊する
声は男性や女性に老人から子供それでいて、いくつもの声が重なりそのどれもが機械で加工したような音声で時にはノイズさえ聞こえてくる
「「「ワタシが君たちをココに喚んだ。
そして君たちを贈るモノだ、そうだな、面倒だが1人1人要望は聞こう。
そしてその要望に沿った能力を得た君たちは今までとは違う別の世界で生きてもらう事になる。
悪いが拒否権はない。
それに、そうだな、、、、もう無理だ。
ココに来ている時点で元の場所には戻れないし、例え戻れたとしても身体が無い。
時間・時代が違う等と今言っただけでも問題点は沢山山積み出てくる。
そうだな、だからと言う訳ではないのだが、そちらの要望は出来る範囲で限り、善処すると約束しよう。
そうだな、分からない事の質問にも答えよう。」」」
神?のようなモノが喋り出すと悲鳴が聞こえたり、怒号や泣き出す者、皆がそれぞれの反応を見せていた
そこで勇気のある青年が、いや違うのだろう
スクールカースト等で謂うところの上位にいる風体の好青年が知り合いを代表してなのか、挙手し質問を口に出し始める
ここで自分が思ったのは自分は1人だったが中には知り合いと同時なのか、それもとここでたまたま合流したのから分からないが一先ずそれなりに知り合いと塊っている者もいるという事ぐらいだった
その後は神と他の人達も質問をしていく
好青年が最初の勇気ある行動が一役買っているのは大きいだろう
最初は恐れ恐れだったモノは徐々に会話はスムーズへと変化して受け答えは一対一から会議のように、それで居て和やかに進んで行った
要点を纏めると
1、私のことは神と思ってくれていい
1、パラレルワールドとも又、違う世界に何の弊害もなく無事送り届けると誓う
1、その際に超常的な力を授ける
1、要望を聞き・加護を授ける
1、能力の確認方法などは君たちに最もポピュラーなゲーム等の仕様にした事
(個々によってイメージで違ってくるかもしれない、らしいが大した違いは無いらしい)
1、別の世界では私は基本干渉しない
1、その世界で生きていく中で使命などはこちらからは特に無く用意もしていないので好き勝手にしていい
1、ただしその世界にとって害悪のある事象・行動を起こすと看過できない
1、その場合、ステータスから加護までが失われる
1、最後になるが、ここでの時間はそうだな、君たちの知っている現象と異なっているのでいくら経過しても問題ない
もちろん、そうだな霊体のようなモノと思ってくれていい
よって、お腹も空かないからゆっくりと能力なんかについて熟考してくれて大丈夫だ
相談も各々で引き続き行って良い
簡単にまとめるとこんな感じだった
案外優しい
そんな感想が今の自分には浮かんだ
神対応だ、神だけに
しかし過去の彼には笑える状況では無かったらしい
質問には参加せずに聞く事に、やはり専念するようだ
質疑応答が終わるとテンションを上げた者達の一団の彼に近かった付近のメガネを掛けた芯の細い男が仲間内で早口にまくし立てながら言っているのが漏れ聞こえて来る
どうやらチートだのテンプレだの異世界転生だ!っと聞こえてくるが要領は得ない
確かに、そんなのが流行っているのを見聞きした気がするが深くは思い出せない
引き続き彼は周りを観察しては一つでも多くの情報を得ようと務める
そうこうしていると場面は進展した様で神に対して一つの列を作っては
(列に並ばずに静観してる人達も一定数おり
もちろん自分も、そこには並んでいない)
1人1人が思い思いのステータス等の希望を訊いて貰っているようだ
それが終わると何処かに転送されて行っている
中には仲間を待って一緒に送られている人達までいる
不思議な光景だ
どうやらこのまま此処に居ると神との会話が聞き取りつらい位置になってきてしまったようだ
少々名残惜しい感情は、かれこれ1時間以上も肩や背中を預けたこの場所とお別れする
近くに移動するため背を浮かす、同じようなスポットに居座ると又、会話を盗み聞き始めた
彼等は元々の仲間内での会話や、ここで初めて知り合った者同士だったするのだろう
状況を整理するにお互いに、この心細い状態を少しでも落ち着かせようと本能的に取っている行動なのだと納得している彼がいる
集まりを作って時間を潰しつつ彼らは自分の分を楽しそうにしたりしては待っている
中には自分のように情報収集している人もいるが単独行動をしている者は少なかった
少し寂しい思いをしながら
(行き遅れた後悔や焦りと共に)1人、聞き耳を立てる
やがて異世界に転送され人数がまばらに減っていき、列も止まったり、一旦終わったり、また動き出すのを繰り返して残りはあと自分を入れて数十人になっていた
予習と妄想は完璧と言って良いだろう
そろそろ頃合いだと覚悟を決めると唾を飲み込み喉が鳴る
この空間ではお腹は減らないらしいが、なんだが無性に水を飲みたい気分だ
そんな緊張の中にあるままに彼は一歩を踏み出していた
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