デートとおしゃれ
それから数日後の休日のことだ。
私は夏希とデートに出かけた。
彼女のワンピース姿はとても可愛かった。しかし、彼女曰く、
「澪は大人っぽい格好できていいよね~」
「そうかな」
「そうだよ。おしゃれはやっぱりそのくらいじゃないと幅が広がらないよ。それに……私今度ヒール履いてみようかな」
夏希は大人になりたいのだろうか。確かに今、後ろから抱きついたら、恋人のようには見えないのかもしれない。見た目的には姉妹辺りだろう。
「ぎゅう~~~」
「へ!?」
試しに後ろから抱きついてみた。
夏希から変な声が出たかと思うと、固まっているようだ。
そうだよね。外だし、いきなりだし、そりゃあ固まるよね。
「夏希はそのままでいいよ」
「う、うん。それだけのために抱き着いたの?」
「暑かったから」
「……」
私は目線を逸らしつつ答えた。その反応に怪訝そうな眼差しを送り付けてくる彼女はこう言う。
「今度からはちゃんと言って」
「そうする」
「ほんと~~~?」
「言えばやらしてくれるんでしょ」
「澪、ちょっとヤラシイよ……」
そう彼女と笑いながら歩道を進んでいく。
「そう言えば、今日新しい口紅つけたんだよね」
「え、ん~。確かにちょっと薄い気も……」
気づかれてなかったか……。ちょっと残念だった。
私のそんな感情を読み取ったのか、夏希はあたふたしながら、
「きょ、今日、ちょっと、そう。まぶしいから、よく見えてなかったっていうか……その、……ごめん……」
「大丈夫、そんなに気にしてないよ。それに、ちょっと大人っぽくなってみたいなら、こういうところから始めてみてもいいんじゃない」
「こういう?」
「そう、リップとか、気づかれないような薄いピンクの口紅とか」
「そうなのかな。でも、澪が言うならそうなのかも!」
いつもの調子に戻った夏希は目をキラキラ輝かせながら話に食いついた。
私もちょっと夏希の大人っぽくなった感じに興味がある。
それに、ヒールとかよりは格段に楽だろうと思うから。
「じゃあ、今度選んで買ってあげるよ」
「え、いいの? 高くない?」
「平気平気、夏希にあげたいし」
「ありがとう~。えへへ、そしたら、澪からの初めてのプレゼントだね」
そうか。今までプレゼントは渡したことなかった。それは盲点だった。ただ確かに、彼女はおしゃれに興味がないわけじゃなかったけれど、そういうものを買いあったりはしなかったし、髪も短めだから小物をプレゼントする機会もなかなかなかったのだ。
「澪からのプレゼント、早く欲しいよ」
「また今度ね。今日はプラネタリウムに行く予定なんだから」
「そうだよね。でも、またデートできると思うとワクワクだ」
「デートなんていつでもしてあげるのに」
「いいの」
彼女は少し先を歩く。
高揚で心臓の鼓動が速くなるように、彼女の歩く速さが上がる。
それにしても口紅のプレゼントか……。私と夏希は恋人同士。ならその意味はきっと、『キスがしたい』になるのかもしれないけれど、彼女は気づいていないようだった。
夏希はまだまだ精神的には子供から大人になる段階なのだろう、と私は思いながら先を行く彼女を追いかけた。
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