表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女がわかるまで絶対やめない  作者: ほのぼの日記
26/28

水槽完成

 早速置き場所の相談をはじめた私と夏希。日当たりと邪魔にならない場所を念頭に、ちょうどいい高さの棚の上を掃除し、そこに置くことにした。


「なんでもないただの置き場って感じだったから、ちょうどよかったね」

「でも、ちょっと高いよ。水槽って重いんだよ。大丈夫かな?」

「砂利だけで水は後からだから大丈夫だよ」

「でも掃除の時は水も入っているんだよ」


 とてつもなく心配な顔になっていたので、私は頭を撫でた。私が一番安心する方法だ。


「その時はサイフォンの原理を使うから平気よ」


 サイフォンの原理とは、現地より水を高い所を経由して目的地まで運ぶための方法で、簡単にできる実験の一つだ。


「澪は何でも知ってるの?」

「面白いなって感じたことは記憶に残っているだけで、私にも知らないことは多いよ。むしろ答えのない問題が多すぎてわからないことばかり」


 私はじっとり夏希を見ながら、そう言った。

 砂利もひけたので水槽を協力して、棚の上に置く。ポンプをセットし、金魚を一度違う場所に移したバケツを水槽の近くまで持って来る。

 私はバケツに入っていたホースを取りに行った。

 ホースを取って戻ってきた私は夏希に


「このホースに水を積めて持ってきてくれる? あ、淡水でね」


 と、お願いした。

ホースは掃除用で使っていたため、二メートルそこそこといった程度の長さだ。

 夏希は言われた通り両端を持ち台所に行って水を汲み始めた。

 数分後、夏希が戻ってきた。


「その片方をバケツに入れて」

「うん」


 ポチャリ。

 ホースが沈む。


「で、もう一方を水槽に。ホースが出てこないように押さえておいてね」


 ドバっと水が流れ始め、みるみる水槽に水が溜まっていく。


「おおっ!」


 夏希はその様子を眼を輝かせてみていた。そんな夏希を見ながら私はバケツに入ったホースが水から出ないよう見張る。


「どのくらいまで入れるの?」

「三分の二くらいまでかな」

「へえ~」


 夏希は大体の位置を指で押さえながら、今か今かと待ち構える。


「ハイっ!」


 指を置いたラインまで水が到達し夏希はホースの出口を抑えた。


「ホースそのまま持っててね」


 私は夏希に指示しながら、バケツの方の出口を水上へと持ち上げ、水は先ほどとは逆にバケツへと重力によって流れていく。


「ありがとう」

「この次は?」

「水草を入れて、ポンプを動かしてみよう」

「うん」


 買ってきた水草の入った袋を開け、夏希はせっせと植え込んでいく。

 そしてポンプを作動させ、機械音が響いた後、ぼこぼこと泡を出し始め次第に泡が小さく細かくなっていった。


「大丈夫そうだね」

「金魚入れる?」

「うん。移してあげよう」


 私は夏希に金魚の入った容器を渡した。

 夏希は優しく金魚三匹を水槽へと移した。


「あと、エビ」

「はいっ」


 水槽に移した金魚は元気に泳ぎ始め、エビは水草につかまり、新しい住処を模索しているように見える。

 私もほっと一息ついたが、夏希はそれ以上に嬉しそうに見えた。


「夏希も、ありがとう」

「どうしたの、いきなり!?」

「いや、なんか言いたくなった」

「そっか」


 照れくさそうに視線を逸らし、何処か落ち着かないといったふうな夏希は話題を逸らすように、また遊びに行きたいね、と言った。


「今度は海?」

「そう言えば、そんな話もしたよね。予定考えなくちゃね」

「そうだね」


 私たちは次なる目的を見出した。

 朝から動きっぱなしだったこともあり、ここで一度休憩を挟むことにした。


読んで下さりありがとうございます。

少しでもいいなと思ったら評価、ブクマ、そして感想などお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ