帰宅と水着
私は家に帰ってきた。当然彼女、夏希も一緒だ。だってここは学生寮のシェアハウス、その一つなのだから。
「ただいま~~」
「ただいま~」
学校からさほど遠くはないが、夏ともなれば暑い。すぐさま制服が汗で透けてしまいそうだった。
私は別に構わないが、夏希の透け肌を見ていいのは私だけにしたい。
「手洗いうがいしてこようっと」
「そうね、私も」
そうして、手洗いうがいを済ませた私たちは、お互いの部屋に一度戻った。
よし、行こう!!
「えっ……」
「部屋をガチャッと開けるとそこには夏希の裸があり、私は思わず押し倒してしまう」
「そんなナレーションしてないで早く扉閉めて!!」
「そうよね。じゃあ」
私は夏希を押し倒した。
飢えた獣のように舌なめずりをわかりやすくすると、夏希は思わず身体をよじらせる。
この子は本当にかわいい。それが誘っているようだとは気づいていないところがまたいい……。
「この下着も可愛いね」
「あ、ありがとう??」
「思わず押し倒しちゃったよ」
「いやいや、わざとでしょ」
「そう、私が学校で我慢しお預けを食らった。夏希も同じ感覚を味わうといい」
「ちょっと怖いんだけど…‥。それにキスするんじゃないの?」
なんだ。思ったよりも好感触。いや、すでにお預けを食らっているのは私だけじゃないようだ。だが、これは新たな新境地を開拓できるかもしれない。
その名も。
「じゃあ、まずは水着に着替えて写真撮らせて!」
私は目を輝かせて言った。
「え、え~~~~!?」
「そんなに驚かなくてもいいじゃん」
「いきなりそんなこと言われたら、驚くよ」
「夏だよ。水着を着る機会なんて、夏しかないよ。今しかない好機逃す手はないでしょ」
「大体、水着なんて持っていない……」
「大丈夫、私が夏希にぴったりな水着を買っておいたから」
「用意周到。どうして澪はそんなに段取りがいいの!?」
訝しげに見つめられて、少し考えた私はこう答える。
「夏希の可愛さを逃さないため?」
その答えに、夏希はこれでもかと顔を赤らめる。
その反応をみて、私は用意しておいてよかったという感覚を覚える。ここまでは読み通り。
して、後することと言えば……。
「じゃあ、これに着替えて」
私は後ろ手に隠していたひらひらの付いた水着を差し出す。
夏希はしばし、うう~~~と唸って、結局断れずに、渋々着替えていく。
「なんということでしょう。目の前で恋人が着替えているこの風景。これには背徳感よりもお預けをされているような感覚まであるなんて……」
「いや、全部声に出てるよ」
ちょっと引いたような夏希の視線。でも痛くない視線。この関係だから感じられるものか。
「着替えたけど……私だけ水着ってなんか不公平」
むくれ面になった夏希も可愛い。私より小柄で、まだ育ち切ってない小柄な胸。色白な身体は子供っぽさを残しながらも、きめ細やかな肌はどこか妖艶だ。
「澪の水着はないの?」
「私は白いビキニがあるけど」
「見たい!!」
ならばしょうがない。着替えるか……。夏希のお願いを断る理由もないし。ということで部屋に戻って水着を取ってきた私はサクッと着替えてしまう。
その平然とした態度に納得いかないとばかりに、夏希が少し残念そうに、
「その余裕はスタイルか……そのスタイルのせいなのか……」
「そんなにいいかな?」
「いいよ。胸もあるし、背もあるし、スタイル抜群だよ!!」
「確かに、店員にも黒髪ロングでそのスタイル。しかも白ビキニなんてお客様、悩殺する気ですね。なんて言われたけど……。そんなに?」
「されちゃうよ。男なんて一殺だよ」
私はちょっとあきれながらも、夏希が心配になる理由もこれのせいかとも思う。
なので、
「私は夏希しか見てないけどな~~」
「うえっ!?」
他は眼中にないことをしっかり伝える。
「夏希は胸を大きくしたいの?」
「え、えっと……まあ、ちょっとは、ね?」
「そっか……。じゃあ、揉んであげようか?」
「揉みたいだけじゃ……それに、それは迷信じゃないの」
「揉みたいけど?」
私は内心ドキドキしながらも、平然を装ってそう言った。ただ、揉んで大きくなるかと言われれば、なるだろうと私は答える。胸は肉の塊なんて言ったりするけれど、何も肉だけで大きくなるわけではない。ちゃんとした揉み方をすれば大きくすることも可能だろう。
だけれど、それを夏希が知る必要はない。もし知ってしまってその手伝いを私が出来れば、一石二鳥と言えなくもないが、もし胸の大きくなった夏希がそのままの体型で成長したならば、きっと小悪魔的魅力を放ち、男どもが放ってはおかないだろう。
それは断固拒否だ。
「揉んでみる?」
「う~~ん……後でキスしながら、かな。先に写真撮影しよう!」
「あ、忘れてなかったのね」
「もちろん!」
そうして私はスマホを制服のポケットから取り出した。
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