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彼女がわかるまで絶対やめない  作者: ほのぼの日記
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原稿 後編

 お風呂できれいになった身体を見ると、彼女の痣が余計に目立つ。痛々しい傷跡から、黒く青くなった痕まで、それはいたるところにあった。


「あなた、今まで何人に買われたのですか?」

「3人」

「そう。安心なさい。今からミカンが仕えるべき主はこの私だけ。よく覚えておくのですよ」


 こくり。彼女は静かに頷く。

 そのまま、ミカンは裸の状態で、ミユの部屋へと連れていかれ、彼女のお姫様のようなベッドに寝かされ、いや、押し倒され追い詰められるように詰め寄られて、耳元でミユがささやいた。


「ミカン、あなたの血を貰うわ」

「え!?」

「大丈夫、痛くないから。私たちオオカミ族の末裔はドラキュラと言われ、噛み傷にもいくつかあるの。今回はその中でも血を吸うための、いえ自分のものであることを示すためのものであなたを傷つけるものではないわ」

「は、ひっ」


 首筋に歯を立てられ、ミユの手で視界をふさがれたミカンは恐怖を感じながらも抵抗はしない。それは以前の奴隷としての知恵かもしれないし、今の言葉を信じただけかもしれないけれど、ミユにとってそれは好都合であった。


「これで、あなたは私のものよ」

「あ、んっ」

「あなたの血の味がするかしら。こうやってキスをして私の性とあなたの血を混ぜて飲ませることで、主従の関係になるのよ。どう熱くなってきたかしら。もうこんな大仰な首輪なんていらないわよね」


 そう言ってすっと首輪を外してしまう。ミカンは自分の手で決して外せなかった首輪がいともたやすく壊れたそのさまを見て、それを恐ろしく感じ、またその感覚が消えるほどの熱さを感じた。


「契約直後は一時的に催淫状態のようになるの。でも、私とキスしてれば治まるから、大丈夫よ、ミカン、私を受け入れなさい」

「ふう、んっ……んっっ…‥」


 暫くすると、すっとミユは身体を引き、ミカンの求めを手で制する。


「待って。従者が、メイドは主人にしてほしいことがあるならちゃんとお願いしてくれなかきゃ。今から甘やかしすぎてはだめよね。さ、お願いしてみて?」

「お願い……」

「そう、言ってみて」

「わ、わたしと、きす、してほしい、です」

「お願いしますとか、いろいろ足りないけれど、まあ、いいか。でも先にもう少し血を頂いちゃいましょうかね。言い、ミカン。あなたは私に血を渡し、メイドとして仕えることで契約を維持しているの。だからこの二つを疎かにしてはダメよ。もし疎かにしたら、今度は痛いかもしれないわよ」

「はい」


 ミカンはコクコクと頷きながら、うるんだ瞳でミユのことをせがむ様に見つめる。こんな子が奴隷として捨てられるなんて、もしかしたら奇病にでもと思ったが、もうその心配もいらない。彼女たち、ドラキュラの末裔の血は薄くはなっても万能薬としての効果は残っている。だからオオカミ族の中には病で死んだ者はいない。


「さ、続きをしましょ」

「ふっ、ん……」


 それからまた彼女たちは両手をしっかり繋ぎ、快感が収まるまでキスの味を覚えるまで、キスの快感に酔いしれたのだった。


 という同人誌の原稿を読み終えた私は咲姫に


「これ、読み切りじゃないでしょ」

「冬に続編出したいね」


 そう言ったら、彼女はそう言った。

 これはなかなかスケールのでかい話になったなと思った私だけれど、全体的なことは置いておいて、


「夏希はモデルやってもらうと思うけど、やれそう?」

「澪が相手なら、いいよ」

「それじゃあ、夏希さんがオオカミ少女で、澪殿が奴隷ちゃんでお願いね」


 そういう配役か、と私は思ったが、訂正は声に出る前に脳内で待ったがかかった。なぜなら、夏希のケモ耳姿が拝めるかもしれないから。


「もちろん衣装は?」

「持参のものでなんとかしますとも」

「あ、私メイド服なら持っているよ」

「澪、何で持っているの!?」

「一年生の時学祭で使ったんだよね。少しピン止めすれば夏希も切れると思うから使ってみよ」

「では、これで進めさせていただきます」

「はい」


 咲姫は一目散に食器をシンクに運ぶと部屋に戻っていった。

 私たちも食器を水に浸し、咲姫の後を追った。


読んで下さりありがとうございます。

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