ご褒美ちょうだい
その後。
私たちは昼食、夕食とご馳走になり、寮に帰宅した。
明日は学校の終業式。終われば、約一か月の夏季休暇となる。夏休みだ。
「明日終われば夏休みか~。澪は予定あったりするの?」
「特にはないよ。外暑いし」
「あはは。澪は…………独り占めできるぞ」
「ふ~ん?」
夏希はすぐにしまったという顔をしたが、私がその言葉を聞き逃すはずもなく、そしてちょっとうれしい。
「予定空けておいた方がいいのかな」
「えっと、その、この前言ってた。海行こうよ」
「海か。でもちょっと遠いよ」
「大丈夫! 夏休みなら次の日のこと考えなくていいんだから」
「それは確かに……ってここは寮で、いろいろやらないと生活できないから」
そう、夏休みと言えど、家事、それに学業をおろそかにするわけにはいかない。だって………‥
「それにしっかり生活しないと私が連れ戻されちゃうよ」
そう、夏希が私をこの寮に連れてくるために、両親を説得するときの条件として、しっかりした生活と学業を今の成績から落とさないという条件を課された。幸い、私の親は心配性ではあったものの、可愛い子には旅をさせよ方針で何事もチャレンジという精神を持っていた。そうして私はこの寮で暮らすことになったわけだが、その成果を見るにあたって、この夏休み明けに訪れる期末テストの成績が一つ目の関門と言えた。
しかし、そうはいっても、夏希との思い出も大切だから。
「そ、それはダメだよ。でも、私も協力すれば、少しくらいいいでしょ」
そんな子犬みたいな目で見ないで……。私が私でなくなっちゃうでしょ!
「もうしょうがないな~~」
「よかった」
「ところで、夏希さん」
「何澪?」
「あれから一週間なんだけど、私頑張ったよね」
「澪、息が荒いよ。だい、じょうぶ?」
ずるずると近づく私に夏希は身を引いて、少し後退る。それを遮るかのように彼女に覆いかぶさった。
ハアハア……。
そう効果音が立ちそうなほど、私の息は荒い。
「キスしてもいいよね」
「いきなり過ぎない!? もうちょっと雰囲気大事にしようよ」
「もう待てないよ!!」
「一回深呼吸すれば落ち着く、はず。はい、吸って~」
それに合わせて、息を吸う。そしてそのまま唇を重ねる。
しかし、夏希は準備をしていなかったから、酸欠になりそうなようで、足がちょっとうるさい。手はしっかり恋人繋ぎしているから問題ないけれど。
だけど、酸欠状態でキスすると、自然と激しくなることには驚いた。
「もう澪……はあはぁ。いきなり」
「はい。もう一回」
「んんん!?」
「なんか、夏希キスに弱くなってない?」
「澪がうまくなっただけだと思う……」
「じゃ、もう一度」
「あっ……んん~~~」
その後、夏希がピクピク痙攣するまで、キス魔のような私の攻めは続いた。
「夏希。そろそろ寝ないと明日遅れるよ」
「も、むり~~~」
「はぁ、少しやりすぎちゃったか」
夏希はそのまま寝てしまった。私は夏希に掛布団をかけ部屋の電気を消して、自室に戻った。
そして私も寝支度を整え、すぐに寝てしまった。
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