誰でも簡単! 朝食レシピ
その日は(前日にお昼寝しまくったせいで)いつもより早く起き、とても暇だったので朝の散歩に城内を歩いてみることにした。
? 蝙蝠さんは本来夜行性?
知ったことか。俺は俺だ。その他の一般蝙蝠と一緒にするな。
☆ ☆ ☆
魔王城、中央。
日が昇る前ということもあってか、さっきから廊下を歩いていても誰とも会わない。
...と言うかそもそも、ウキウキで歩いてるのは良いけど、ここがどの辺なのか全くわからない。
...。
...改めてみるといつもは騒がしい廊下も静まり返ってるのは新鮮だ。
そんな空間が俺を迷子という現実から遠ざけてくれる。
聞こえてくるのは自分の足音、誰かの寝息、外の雷と何かを断とうとする不快な音。
...何かを断とうとする不快な音?
そ、そういえばさっきから変な音がしてるような...。
何処からともなく、ダンッ!ダンッ! と、まるで朝食に使う食材を分量ごとに分けるため切り分けるかのような音が聞こえてくる。
な、なんだろう...。すごく気になる...!
好奇心猫を殺すとはいうものの人までは殺せまい。...蝙蝠だけど。
ふっ、好奇心め。さては大したことないなー?
という訳で行ってみようか。音の鳴る方、その先へ!
迷子も忘れ、更にドカドカ進んで行く。
音をたどってみるとどうやらここから聞こえてくるらしい。
『第1料理室』
古くからある部屋だが未だ何に使われているのかわからない。
過去に何度かここを通りかかったことのある人によると、出てきた者全員が総じて死んだような顔をして両手いっぱいのご飯を持っていたと...。
...一体、何の部屋なんだ。
怖いな、怖いなって思ったんですよ俺も。(超早口)
でもそれとは逆に、ね。俺の身体はスゥ――...っと、その部屋の扉に近づき、グッ!ってノブに手を掛けたの。そして勢いそのままに力を籠め扉を開けr...
「あ、ハツカ様! おはようございます」
キキョウちゃんがいた。
「朝ごはんはもう少しでできますので、あとちょっと、待ってくださいね」
...朝ごはん? 何でこんなとこで作ってんの?
未知の部屋での光景に驚き固まっていると、
「おやハツカ、お前がこんなとこに来るのは珍しいな」
黒ずくめの男に背後から頭を___
「? どうした、そんな驚いた顔をして」
...あ、知ってる人だった。
黒白のフリフリエプロンを付けた総料理長、特殊部隊『トオカカン』、そのリーダーでもある『ツイタチ』さんだ。
あ、女だよ。
☆ ☆ ☆
魔王様の手によって作られた『美少女型メイドゴーレム』、ツイタチさん。元は戦闘用に作られたらしいけど、本人の希望で『お料理係』となった。
そんなツイタチさん、夕食を1人で作ってしまう腕を持ちながら『トオカカン』という部隊のリーダーも請け負っている。
『トオカカン』
特別な役割を持った奴らの集団。
この魔王城では戦闘メインの奴らが多いため、こういった役割を持ってるこの集団は何かと重宝され、意外と位が高い。
ツイタチさん以外の皆、身体が白い特徴があったり。
因みにこの前「半人半魔が出る」と未来視した奴は『ヨウカ』。少々変わった牛さん。
そしてそんな個性派ぞろいの迷惑な奴らを上手い事まとめているのがコチラに仰せられるツイタチさんだ。
更にツイタチさんは自分の当番じゃない時でも「暇だから~」って毎回見に来て少し手伝ってくれるらしい。
そんなただのご主人様大好き美少女型メイドゴーレムさんだ。
ツイタチさんがスゲエのはさて置いて、キキョウの周りの子たちが死にそうな顔してる。
キキョウは自分で言うだけあって流石というべきか、眠たそうな顔1つせず、いや寧ろ生き生きとした表情で城中全員分の朝食を作っている。
時々コチラをチラ見するのは気になるけど。
指切るよ、集中しな。
しかしその周りの子たちだよ。城で1番辛い仕事として有名な朝食作り、それを証明させるような表情だ。
起きてる~? 生きてる~?
部外者兼傍観者である俺は暢気に調理場の様子を見ていたのだが、皮むきをしていた1人がフラフラ具合悪そうにし、ついには倒れてしまったのを見つけた。
あらまあ、だいじょぶかい?
他の誰も気づいていないのか、倒れるのはいつもの事なのか、将又イジメられて無視されてるのか。
最後のは無いにしても朝ごはんから死臭がするのも好みじゃないからね。
しょうがないな、入りますよ~。
エプロンも何もしてない奴がココ入ってもいいのかな...?
品質管理とか大丈夫?
上から怒られない?
後先考えるのは苦手だからとりあえず近寄って聞いてみた。
「あの~、大丈夫っすか?」
「う~、んあ~...。あ、ありがとうございます。すみません。キキョウちゃんが来てくれてから楽にはなったんですけど...。
...あれ? ところであなた、だれですか?」
「あ、(迷子でここまで迷い込んでしまった)西支部のハツカです。一応ツイタチさんの部下ですけど...」
「あ! あなたが御噂の『ハツカ様』ですか?」
御噂? ツイタチさんの部下ってそんな有名なの?
「...なにそれ」
「おや、違うのですか? キキョウちゃんをここに勧誘する際、イケメンムーブをかましまくったと噂の...」
「それ俺じゃないわ」
そんなことする奴いるのか、卑しか奴たい。
「キキョウちゃんと『オカミサン』の話を聞き泣きまくった挙句、門番さんにその顔を見られ笑われたと噂の...」
「あー、それ俺だ」
こんなことした奴がいるんです、恥ずかしいですね。
「あ、ありがとうございますーー! キキョウちゃんが来てくれてなかったら大変なことになってましたよーーー。ありがとうございますーーハツカ様ーーー」
「ちょっと、やめて。皮むき器持った手で俺に縋ろうとしないで。あとハツカ様ってのもやめて。キキョウにいくら言っても治んないんだけど、せめて君は言うのやめて」
急募、女の子に皮むき器向けられてる時の対処法...。
迫る恐怖に狼狽えていると、
「な、なにしてるんですか!?」
と、キキョウの声。
よ、ようやく気付いて貰えたか。
...助かった。
「知らないのか? 生の卵を袋に入れ凍らせるとそれはまた美味で...」
「そ、そうなんですか!? 勉強になります」
「ああ、解凍するときは自然解凍で大丈夫だ」
そっちかーい。
いい加減こっちに気付いてくれー。
「ありがとうございますーーー!」
君は仕事しろ。
改めて調理室は恐ろしい場所だとわからされた朝だった。
「...うま」
そんなでもご飯が美味しいのがちょっと悔しい。
『不快な音』って入れたら『深井直人』って出てきた。誰だよ...。
以下、コピペ挨拶。
どうもです。最後まで読んでいただきありがとうございます。
毎話文字数の少ない僕ですけど、気になっていただけたらブクマだけどもしていただけると、多分やる気が出ると思います。
評価や感想もいただければもっとやる気が出る気がします。
(意訳:ちやほやして)