健やかなるときも...
ああ、今日も疲れた...。
よくわかんない勇者の話と心の声、前回の惨敗から未だ続く西支部全体のお通夜モード。
はは、疲れがしゅごーい...。
...もう無理休む。
そう決めて自室の戸を開け部屋に入る。
「フンフンフン、スンスンスン。...ああ~♡ やっぱりハツカ様いい匂いします~♡
あと、も、もう1回だけ...。で、でも、これ以上は...バレたときが......。って、ハツカ様!?」
「うわあ、びっくりした。...居たの? ごめん、気付かなかった」
それほど疲れていたのだろうか...。
「え、え~っとですねハツカ様。これは決してベッドの匂いを嗅いでたとかじゃなくてですね? そ、そう! お、お布団温めておきました!」
な、なんと、そんなことまでしてくれてたのか...。
人間というのは恩義を感じやすいみたいだね。
でもそろそろ本格的に、
「コイツ、もしかしてホントに俺のこと好きなんじゃね?」
ってキモイ勘違いをしてしまいそうだから、程々にね?
畜生! 呪いめ! 俺の心を弄びやがって!
「あ、キキョウいつもありがとね?」
勿論お礼を言うのは忘れない。
「あ、いえいえこれくらいのこと...」
でもごめん、もう無理だと返事も待たずに布団に入る。
うん、あったかくて気持ちいい。
これが女の子の熱だと考えると変な気を起こしそうになるけど、あくまで彼女は俺の友達。それ以上でもそれ以下でもない、はず。
やることやってしまったら女将さんにも顔向けできない...。
流石に公私を弁えないとね。
あくまで恩返し、あくまで恩返し、断じて恋愛感情的それではなく、呪いによるもの。
よし寝よう。
そう何度か唱え床に就く。
...なんとなくベッドが濡れてる気がするのはきっと気のせいだろう。
「あ、寝顔も可愛い...♡ しゃ、写真!」
パシャパシャ投影機の音も気のせいだろう。
☆ ☆ ☆
キキョウを魔王城に連れ込んだ(言い方)次の日、キキョウが俺の部屋にやって来た。
朝ごはんを作り終えたとは思えないようなサッパリとした顔で一切の疲れを感じさせない。
や、やっぱりすげーよ、この子。
「改めまして、あの時危ないところを救っていただいた上、非常に恵まれたお仕事まで紹介して頂き、本当にありがとうございます!」
「お料理係はあまり恵まれてないと思うけど...」
それでもまあ、本人が喜んでるならいいか。
そんなキキョウちゃんが突然こんな宣言をしてきた。
「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、あなたを愛し、あなたを敬い、あなたを慰め、あなたを助け、この命ある限り、真心を尽くすことを誓います!」
「それ、結婚式の時のやつだよ」
人間の文化的にどうなのかわかんないけど、こっちだとそれ、結婚する時の誓いの言葉だからね。しかもかなり重いやつ。
やめてよね。ホントに勘違いしそうになるって言ってんじゃん。
俺の中で要約して
「恩返しがしたい」
ってことにしておくよ?
「うん、こちらこそよろしくね」
「は、はい! よ、よろしくお願いします...!」
再びガバッとお辞儀をするキキョウ。
頭を下げたことにより長い彼女の髪が目に掛かる。
...前から気になってたけどその髪、邪魔じゃないのかな?
そう思い自分が普段使ってる髪留めを取り出し、彼女の髪が目にかからないように留めてあげる。
雑務とかしてる時に目に入ってくる髪が鬱陶しいから買ったもの。まあ、かなり安物だけどね。
「これあげる。良かったら使いな」
その日以来、キキョウは毎日部屋に遊びに来るようになった。
そ、そんなにこの髪留めが欲しかったの?
以下、コピペ挨拶。
どうもです。最後まで読んでいただきありがとうございます。
毎話文字数の少ない僕ですけど、気になっていただけたらブクマだけどもしていただけると、多分やる気が出ると思います。
評価や感想もいただければもっとやる気が出る気がします。
(意訳:ちやほやして)