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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私を助けて

蒼の読み方は「あお」でも「そう」でもいいです。

楽しんで読んでいただけると嬉しいです。



私と蒼は、幼馴染だ。


生まれた病院が同じで生まれた日付も近かったことから母親同士が仲良くなり、一緒に遊ぶことも多かった。幼稚園、小学校、中学校の途中まで一緒だった。


中学校の途中までというのは、私の両親が事故に遭いどちらも死んでしまったからだ。両親が死んだことにより、まだ義務教育だった私は父方の親戚の家に住むことになった。


……その家は、私にとったらただの地獄でしかなかった。使用人扱いが普通で、気に入らないことがあれば殴ったり蹴ったりされ、ご飯のほとんどは残飯だった。中学校を卒業したら働けということで、短時間だがアルバイトをすることを許されていたのは救いだった。


卒業したら、家を出て、アルバイトをしながら、なんとか夜間学校に通って高校の卒業資格をもらった。学費は、両親が私のために溜めておいたものがありなんとかやっていけた。預けてあるところがそれだけ違い親戚に取られないで済んだのだ。




そして、始まった大学生活だったのだが…。




「なあ、お前、椿か?」


「そうですけど…。」


「えっ!覚えてない?俺のこと⁉︎俺だよ俺、蒼だよ!幼馴染の!」


「ああ…。」


「すごい偶然だな!手紙とかくれるって言ったのにくれなくて心配してたんだぜ。俺から送ろうにも住所分からないから送れないし…。」


「…ごめん。」


「蒼ー!どうしたー先行くぞー!」


「おー!も少し待って!なあ、もっと話したいから、連絡先教えろよ。」


「…ねえ、友達待ってるなら、早く行った方がいいよ。じゃーね。」


「お…おい、ちょっと待てよ、なあ!」




戸惑う蒼から速足で離れる。

どうゆう偶然なんだろう。神様のいたずらかな。蒼は、イケメンに成長していた。多分、モテるんだろうな。無表情の私と違い、表情が明るそうだし…。そういえば、私はいつから笑わなくなったんだっけ?…………まあ、どうでもいいことか。










それから、私はアルバイトで生活費を稼ぎながら大学生活を送っていた。蒼とは最初に会った時以来会っていない。




「椿ってさ~、無表情だよね。美少女なのにもったいない!もっと笑いなよ~、絶対そっちの方がかわいいって!」


「春華の方が可愛い…。」


「え~絶対、椿だって~!………なんか前もこんな話をした気がする!」


「そうだね。」


春華は、大学生になってからできた友達。可愛い系美少女だ。性格も良く、男女みんなからの人気者だ。なんでこんな子が私と仲良くしてくれるんだろう?




ザワザワ、ザワザワ


「ねね!蒼先輩だよ!いつ見てもかっこいいな~。」


「春華は蒼のこと好きなの?」


「ううん、ただの憧れ。……ってか、椿、蒼先輩のこと呼び捨てに⁉︎知り合い⁉︎」


そう、やっぱり蒼はモテていた。私とは、住む世界が違う…。




「……き、…ばき、椿!どうしたの?ぼーっとしてたけど…。」


「ううん、なんでもない。ちょっと疲れただけ。」


「そっか~。じゃあ、カフェでも行ってのんびりしようよ。」


「そうだね。行こうか。」


そう言って二人で歩き始めた時、


「おい!椿!待てよ!」


「えっ!椿、蒼先輩が呼んでるよ!」


「やっと捕まえた!なんで、俺を見ると逃げるんだよ!」


「はあ…。」


「おい!椿!」


「なになに!どういう関係ですか⁉︎」


「もうあなたと住む世界が違うの。もう、話しかけてこないで…。」


「どういうことだよ!」


「えっ、無視⁉︎私のことは無視ですか⁉︎」


「いいから!もう昔の私じゃない‼︎」


バタバタバタ


「え…走って行っちゃいましたけど、どうします、蒼先輩?」


「追いかけてやってくれ…。」


「わかりました~!それでは、失礼します!」


パタパタパタ


「はあ、一体何があったんだ。……話してくれよ………」








「ねえ!椿!どうしたの?あんなに感情を出す椿初めて見たよ⁉︎」


「………………」


「………話したくないならいいけど…。いつか必ず話してよ?」


「うん。いつかね…。」


「じゃあ、当初の予定通りカフェに行きますか!」


それから私たちは、世間話をして別れた。








ねえ、なんで蒼は今の私なんかに昔みたいに話しかけてくれるの?


もう昔の私と全然違うんだよ?汚いこともやりかけたこともあったし…。




………………誰でもいいから私をーーーー。














「えー、この間やめた鈴木君の代わりの新しいバイトの子だ。ほら、挨拶。」


「えー、今日からお世話になります。斎藤 蒼です。よろしくお願いします。」


なんで、なんでバイト先に蒼がいるの⁉︎


「サポートは横溝君お願いね。」


「えっ、はい。わかりました。」


「横溝君は若いけど優秀なんだ。それじゃ、頑張ってね。」




「よかった~。知ってる奴がいて。それもお前って。色々バイトしたことあるから大丈夫だと思うけどサポートよろしく!」


そう、私の苗字は横溝だ。蒼のサポートをすることになってしまった。


~~~~~~~~~


「お先に失礼します!おつかれさまでしたー。」


「お先です。失礼します。」



「おい、待てよ!暗い中女一人で帰るなって!送ってくよ!家どこ?」


「いい。一人で大丈夫。いつものことだから。」


「おい……ついていくからな!」


「はあ………」



·····



「……………」


「……………」


「……ついたからもういい。」


「はあ?ここに住んでるのかよ⁉︎おんぼろアパートじゃん!」


「そうだけど…。何か問題でもある?」


「大ありだろ!セキュリティとかどうなってるんだ?」


「わからない。…………仕方ない、激安アパートだから。」


「おいおい……。……………泊まりに行く時に必要なやつ持ってこい!」


「?」


「こんなところに放っておけるかー!特に椿を…。」


「なんで?別にもう他人でしょ?蒼が私に何もする必要はない。」


「いいから!俺の家に行くぞ!何もないならこのまま…。」


「…………わかった。」


男の考えはよくわからない。一体何をどう考えたのか。






お泊りセットを持った私は蒼の住むマンションの部屋に連れていかれた。


「何もしないから安心しろ。」


「…………」


「とりあえず夕飯作るから、その辺に荷物置いて座ってな。」


「わかった。」


トントントン、グツグツ


·····


「できたぞ。」


「……ありがとう…。」


「「いただきます」」


「おいしい……」


いつ以来だろ。こうやって家で誰かと食卓を囲むのは………。

ん?なんで蒼は泣きそうな顔してるんだろ?


「?」


「いいや、なんでもない。」


~~~~~~


「「ごちそうさまでした」」


「じゃあ、お風呂入ってきな。」


「洗い物ぐらい私がする。」


「いいや、俺がやる。」


「べつにいい。」


「わかったわかった。じゃあ、2人でやろう。」




それから食器洗いを二人でやり、順番にお風呂に入った。


そして、私はいつのまにか寝ていた。




ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー


俺がお風呂から出てくると、リビングで椿が寝ていた。


どーするべきだ?そのまま床で寝かすのも悪いけど、勝手に体を触っていいのか?


…………………おし、俺のベッドに運ぼう。俺はタオルにでもくるまってリビングで寝ればいい。


……


無事運ぶことができた。


「なあ、一体お前に何があったんだ?

んで夕飯の時、悲しそうな嬉しいような顔をしたんだ?………なんで昔は表情が明るかったのにこんなに無表情になったんだ?てか、あんなところに住ませる親戚ってどうなんだ?


………なあ、いろいろ教えてくれよ。助けて欲しいなら、助けてって言ってくれよ…。」


……………………………


……………………………


……………………………


「ん……おとーさん………おかーさん……そう……………。…………………………。…………………や………やだ…………怖いよ………………いや………誰か………けてよ…………たすけて…………いやああああああああ!」


俺がぼーっとしていると椿が突然うなされ始めた。


「おい!椿、椿!落ち着け!俺が助けてやるから!そばにいてやるから!」


そして、抱きしめてやると落ち着いた。


「いやああああ……あぁ………ん………スウ…………。」


本当に一体何があったんだ。でも、寝言だけど助けてって言われたしもっと関わっていいだろう。


……………てか俺、どうすりゃいい。椿が俺の服を離してくれねーんだけど。同じベッドで寝ろってことか?いやでもさすがに……………本当にどうすりゃいい…………。








ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー




ごめんなさい、ごめんなさい!いい子にしますから!


お父さん、お母さん、蒼に会いたいよ……………。


こんな家もうやだよ……。怖いよ……。


バンッ、ドンッ


いや、もうやだ!誰か助けてよ!ねえ、助けて!


『……!……き、……ばき!……つけ!………が助けてやるから!そばにいてやるから!』


突然、誰かの声が聞こえた。誰だろ………。あったかい………。人の温もりはいつ以来だろ………。スウスウ………。



ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー➖ー







朝起きるとベッドで寝ていた。こんなに気持ちよく寝れたのいつ以来だっけ。……どこだっけここ。…………ああそうか、昨日蒼の家に連れてこられたんだ。………………ん?背中があったかい?………蒼?


「なんで蒼と寝てるの⁉︎」


「ん、起きたか…。………ああ、そのまま寝ちゃったんだ。」


「ねえ…。」


「昨日、お前がうなされてたから、抱きしめてやったら落ち着いた、離れようとしたら、お前が服を離してくれなかったから。」


「…………それは、ありがとうございました。すみませんでした。」


「…………ほとんど寝れなかったんだからな。………さて、朝飯にするか、今日は何限から?」


「二限から。蒼は?」


「俺は一限から。じゃあ、作ってくるな。着替えでもして待ってな。」


「ううん、私も作る。」


「わかった。」


トントン、チンッ


「「いただきます。」」


「ねえ、鍵どうするの?」


「んー?そっか。………………じゃあこれやるよ。スペアもあるし。」


「え?」


「はい。」


「え……ちょ………」


「今日も泊まっていきなよ。来なかったら向かえに行くな。」


「ねえ、はあ?」


「ごちそうさまでした。洗い物は帰ってからやるからそのままでいいよ。」


「え、うん。わかった。」


パタンッ


え……………。どうすればいいの?これ。


んーーー?



「それじゃあ、行ってきます!戸締りよろしくな!」


「っ!わかった。行ってらっしゃい」


ギィッ、バタンッ


………行っちゃった。まあ、帰るときにここよって、渡して帰ればいいや……。


~~~~~


「お帰り。ちゃんとこっちにきたな。」


「いや、鍵を返しに……。」


「夕飯もうできてるから食べるぞ」


結局、キレーにスルーされ、昨日と同じことになった。




そんなことが毎日続き、いつのまにか私と蒼はほとんど同棲してるようになっていた。













「ねえ、椿最近なんかあった?なんか雰囲気が変わった気がする。あと、健康的になった気がする。」


「そう?」


「うん!今の方がいいよ!」


「そっか」


「(えっ、何今の柔らかい笑顔!)可愛い‼︎‼︎」


「?ありがとう?」












ある日のこと


蒼と二人でぶらぶら街中を歩いていると


「あっれ!ガリ子ちゃんじゃーん!えっ!なになに彼氏?イッケメーン!ちょーだい、ちょーだい!」


「…………」


「お前誰?」


「ガリ子ちゃんの中学の同級生です~。こんな子でいいんですか?使用人の真似事とかやってたりした子ですよ。変な匂いとかするときあったし~。私に変えません?」


「いい。椿で十分。てか、椿以外いらない。…帰るぞ、椿。」


「…………」


「えー!後で後悔しても知らないですよー!」





家に帰ると


「なあ、いい加減話してくれよ。そんなに信用ないか?」


「ううん。信用してる。」


「ならなんで」


「話しても助けてくれないから。離れて行っちゃうから。」


「俺はお前を助けるって決めたんだ。それにこんなに一緒に過ごして今更離れるとかないから。な?ゆっくりでいいから話せ。」


「ほんとに?ほんとに離れない?………ふえ、うあああああ。………あ…の…ね、ーーーーーーーーーーーー」




泣きながら話した。言ってることは無茶苦茶だったけど全部聞いてくれた。


「ふう、ふう…。」


「落ち着いたか?よく頑張ったな。辛かったな。」


「ふえ、うええええええ…。」


「はっ!また泣かせてしまった…。」




···············




「なあ、結婚しようか。」


「え?」


「だって、お前はその親戚と縁を切りたいんだろ?それに俺、お前のこと好きだし。」


「え…………。」


「ははっ!顔真っ赤!」


「うー///」


「指輪とかないけど………俺と結婚してくれませんか?返事は?」


うれしい。私、いつのまにか蒼にまた惚れてたんだ。


「………はい!」


「よかったー!」








「ねえ、挨拶とかどうするの?」


「どうしよっか。てか、そっちも行った方がいい?」


「ううん、いらない。メールで結婚するって送ればいい。多分厄介者が消えるって喜ぶと思う。それに、会いたくないし。」


「そっか。そういえば、母さんが椿に会いたいって行ってたぞ。宗介さんに紹介したいって。」


「宗介さん?」


「俺の義理の父になる予定の人。父さんは俺が中学の時に病気になって死んじゃったんだ。父さんの最期の言葉が「俺のことを気にせず幸せになってくれ」だったんだ。だから、心に前の旦那さんが残っていてもいいから、俺と結婚してくれと言われた時に惚れたって言ってた。」


「蒼も大変だったんだ…。」


「いや、どう考えても椿の方が大変だからな。」


「そぉ?」


「ああ。近くで一緒に食事しようとか言ってたから、その時に一緒に行って挨拶しようか。」


「うん。」


「………愛してるよ、椿。何があっても。」


「ん、私も愛してるよ、蒼。」










一ヶ月後


私は、蒼のお母さんと宗介さんに会った。二人ともいい人だが少し軽くて、結婚を「いいよ、いいよー」って感じで許してくれた。学生結婚になりますけどって言ったら、「あんなひどいご家族に椿ちゃんを任せられません。蒼に幸せにしてもらいなさい。」って言われた。


そして、そのまま籍を入れた。私の家の契約も解除して、完全に蒼と一緒に暮らすことになった。あまり変わらなかったけど。












「ねね!蒼先輩が指輪つけてるんだけど!結婚したの⁉︎」


などなど、騒ぎになっていた。


「ん?椿もつけてる⁉︎えっ!何そういうこと⁉︎いつのまに!」


春華には、結局今まであったこととか全て話した。


そしたら、エグエグ泣きながら「お幸せに~!」って言ってくれた。








それから、蒼のことが好きだった人から嫌がらせを受けたりいろいろあったけど、幸せに過ごしている。


なんか、私の表情が明るくなったからモテているとかなんとか蒼が言っていたけど、私は蒼だけだよ?愛しているのは。






「来世もあなたと一緒にいたいな」


「そうだな。もし生まれ変わったら、

またお前を見つけるよ」



誤字、脱字等気になる点があったら教えていただけると嬉しいです。

評価、感想を下さると作者が喜びます(*´ω`*)

蒼、ハイスペックすぎません?

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