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白の誓い~前編~

作者: 夢華

11月30日。夢を見た。なんてことはない夢だった。中学の時の同級生で初恋の人、夢叶くんと再会した。

高校生くらいだろうか。夢の中の私も同じ高校生になっていた。

その時の夢では、再開した時のテンプレみたいな会話をしていたと思う。

目が覚めて夢だったことに気づいたほど、リアリティのある夢だったな…とまだ眠気でぼんやりと白んだ頭で考えた。


それからしばらくして、かねてからお付き合いをしていた人と結婚が決まった。半年後には式を挙げる予定になっている。

秋に挙げる予定の式に向けて、この春から準備を始めていた。

4月4日。また、夢を見た。やっぱり初恋の人が出てくる夢だった。

「また会ったね。」

「そうね。この前会ったときは高校生だったのに、お互い随分大人になったわね。ふふ。なんだか変な感じ。」

「でも夢の中ってそういうものでしょ?」

「それもそうね。」

「今からすごく変なこと言うんだけど…」

「なに?(笑)」

「今日を含めて3回、君と僕はこうして夢の中で逢うことになると思う。」

「え…?」

「それで、ここからは“お願い”なんだけど…」

「わ、私に出来ることなら…」

「夢で逢った時、僕とデートしてほしいんだ…!」

「へっ…?デート…?………ぷっ…あはははっ。」

「これ言うのけっこう勇気いったんだけど…」

「ごめんごめん(笑)いくら夢だからってどんな無茶振りされるかと思って。そしたらデートって…(笑)」

「もう…。それで、ど、どう、なんですか…。」

「うん、もちろん!大丈夫だよ。」

「よかった。じゃあ約束ね。」

「うん。約束。」

「じゃあ、早速デートに行こう。」

「早速?(笑)今日はどこに行くの?」

「夢だからね…。どこでも行けるけど…。うん!今日はあそこにしよう!」

そういうと彼はすたすたと歩きだした。

しばらく歩くと少しづつ景色が変わっていき、空の上に来た。彼の言った通り、夢の中なので何でもありなのだ。少し先にガーデニングカフェが見えた。

「すごい…。天空のカフェなんて…。」

「ね。夢じゃないと体験できないでしょ?さ、座って?」

彼はすっと椅子を引いて、私に座るように促した。ふと中学生の頃の彼を少し思い出してみた。確かにやさしい性格だったが、こんな紳士的で女性をお姫様扱いするような人には見えなかったので、私が彼を知らなかった時間がそうさせたのだと思った。

「何を飲みたい?何でもあるよ。」

「ん~…。じゃあレモンティーのホットにしようかな。」

「じゃあ僕は、ブラックコーヒーにしようかな。甘いものは?」

「もちろんいるよ!」

「ふふ…。華澄ちゃん、甘いもの好きなの変わらないんだね。」

彼の言葉を聞いて、また思い出した。あれはクラスのみんなでクリスマスパーティーをしたときだった。彼が自分はお腹がいっぱいだからとケーキをくれた。もらったケーキを嬉しそうにほおばる私をニコニコしながら見ていたっけ…。後日、彼も相当な甘党でケーキが大好きなのだと知った。

「夢叶君、なんであの時ケーキをくれたんだろう…。」

「ん…?ケーキ…?ケーキがどうかした…?」

目の前に運ばれてきたショートケーキをぼーっと眺めながら考えていたら、あの日聞けなかった疑問が思わず口に出ていたらしい。

「えっ!私今口に出てた…!?」

「うん。思いっきり(笑)」

「恥ずかしい…。」

「それで?ケーキがどうかした?」

私は彼にさっきの言葉の意味を説明した。

「あーそのことか…。」

「夢叶君もケーキ大好きだったんでしょ?だからなんでかなーって思って。」

「それは、華澄ちゃんがケーキ美味しそうに食べるから。もっとその幸せそうな顔見ていたいなーと思って。」

「……。夢叶君、けっこう恥ずかしいこと言ってるの気づいてる?」

「ん?そうかな?」

夢叶君は恥ずかしいセリフもわりと平気で言えてしまうタイプなんだ…。新しい発見だった。

しばらくお茶を楽しんだ後、私はいつの間にか現実に戻ってきていた。

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