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魔法使いと杖屋さん  作者: 安井優
第四章 アイリスの杖、ローレルの魔法

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学び

 アイリスの言った言葉が響いたのか、ローレルはそれから的を壊しては、杖を折り、的をボロボロにしては、杖を折った。そんなことを繰り返しているうちに、杖は、一本、また一本と減っていった。


 後二本も使えば、アイリスが持ってきた杖もなくなる。そんなところまできた時。

 ローレルはゼェゼェと、まるで混碧から逃げてきたあの日のように肩で息をした。ローレルの体力もまた、限界に近づいていたのだ。


 思えば、こんなにも連続で魔法を打ったことなどない。打つたびに杖を壊しているのだから、一日に一回魔法の練習をしただけで、後は杖を修理する必要があったのだ。つまり、ローレルはこんなに短時間の間に何度も魔法を使った経験がなかった。混碧(こんぺき)の中、魔物に襲われ、魔法を何度も乱発したあの日が初めてだ。

 考えれば、あの日、あれほどまで体力を奪われたのも、飲まず食わずで動き続けたせいだけではなかったのだ。魔法を使うと体力を消耗する。そんな当たり前のことすら、ローレルにとっては新鮮だった。


「大丈夫?」

「はい……。魔法って、疲れるんですね……」

「訓練をすれば、もう少し楽に使えるようになるよ。……とはいっても、一度にこれほど大きな力を使っていたんじゃ、訓練をしても疲労がつきまといそうだけど……」

 あからさまに肩を落としたローレルに、慌ててアイリスは付け足す。


「だ、大丈夫だよ! 子供のうちは魔力を扱うのが難しくても、大人になって、体力がつけば扱えるようになることもあるし! とにかく、今日は休もう? お客さんも今日は来ないようだし、お茶を入れてあげる」

 微笑むアイリスに、ローレルはこくりとうなずく。真っ二つになってしまったたくさんの杖と、まだ新品の杖二本を抱え、杖屋へと戻る。


 何も落ち込むことばかりではない。たった数時間だが、学ぶことも多くあった。

 ローレルは前を向き、アイリスの背を追った。


 ◇◇◇


「アイリス! 無事か!」

 バンッと威勢(いせい)よく杖屋の扉が開かれる。


 ティーカップに口をつけていたアイリスは、目を丸くして扉を押し開けた人物を見つめた。ローレルもまた、もぐもぐと動かしていた口の動きを止め、音の方へ視線をやる。

 先ほどのローレルに負けず劣らず、ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返したアスターが、目の前の光景に口を開ける。


混碧(こんぺき)は……」

「へ?」

「大きな、爆発音がこの辺りで何度も……。それに、大きな穴が杖屋の外に……」

「穴……」

 アイリスとアスターは互いに目をパチパチと(またた)かせる。状況を察したローレルが、あの、とうつむきがちに小さく挙手をした。

「それは、もしかして、僕の……」


「え?」

「さっき、僕が壊してしまった的のことではないでしょうか……」

「的?」


 アイリスは、あ、と声を上げる。アスターだけがいまだに意味が分からない、という顔をしてアイリスとローレルを見比べていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 13/13 ・肩で息をするという表現、伝わりやすいんですよ。 [気になる点] そうですよね。何度もボカァァァァンしてたら近所迷惑ですよね。 [一言] 魔法で体力を消耗…MPではないのです…
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