ポエニの喜劇
「やっぱモテ男ってよくないですよねぇ」
まずは私の知人に会って顔役の方と親交を深めましょう、というのがサヴィターの意見だった。
クラッススは何かこの町でしでかしたらしく、遠回しに断っていたが結局しぶしぶとついてきた。
ポエニ村────道は西洋風の石畳、二階建ての家々、焼きたてらしいパンの香り、元気に回る水車。人口はそう多くはなさそうだが、活発に道路を駆け抜けていく子供たちの姿が、この村の繁栄を示していた。
さて、サヴィターの知人とやらに会わねば。
「キャー!逞しそうな肉体に凛々しいお顔!ね?そこに酒場があるの、日はまだ昇ってるけど全然営業中よ?こない?ね?」
と、謎の美少女が飛びついてきた。
…クラッススに。そうなのだ。
クラッススは18歳にして戦いに明け暮れて育ったにも関わらず、風貌は優男のそれであり、顔だけみればホスト、顔を隠せば歴戦の猛者という非常にアンバランスな男なのだ。だが、村娘にとってイケメンで頼もしそうな男性となれば人気があるのも当然である。が、なんか気に食わない。
クラッススはいつの間にやら4,5人ほどの女性たちに囲まれて大盛況だ。しかもクラッススの方も言い寄られてまんざらでもなさげなのが憎々しい。一方のカエサルは、ポンと哀れむような目でサヴィターに肩をたたかれ、慰められて終わりである。魔界を一新するいい機会ができた。俺が変えてやらねば、うん。
「コラー!!また出やがったのかこの色男!」
ゲッといいつつ後ずさった反魔法使いは顔を熟す前の林檎みたいな色をしていた。クラッススほどの屈強な戦士をここまでさせるとはよっぽどの人物らしい。その鬼は向かって走ってきた。
一纏めに括られた金髪、白エプロン、に囚われず豊満な胸、そして190はあろう身長。
「また女を食いにきたってのかい?村の男たちが嘆いてんだようちの店で!まだ足りないのかい性欲の塊め!」「い、いや待ってくれ女将。今回はそんな酒池肉林を望んでる訳じゃないんだ。」
あぁ、この男が犯した罪が解った。重罪判決で死刑だ。もちろん下の首を切り落とす。
「あ!女将!!戻ってきましたよー!」
「あら、青二才かい。…あんたもこの男にやられたのかい?」「やだなー昨日は激しかったですよー」「「どんな笑えねえジョーク!?」」
ツープラトンツッコミが炸裂したあと、村娘が言っていた近くの酒場、そこの酒場の女将だと聞かされた。「アタシの名はサッフォーっていうのさ、酒場やってる。よかったらおいでよ。…このタラしは強制で」
新キャラ登場!!この後も登場予定です。よろしくお願いします!