観光案内
投稿できていなかったようです。
ごめんなさい、意味わかりませんでしたよね。
「おじさま!!!!!
クリス様がいらしてます!!!!!!!!」
私はクリス様を客室に案内した後パトリックおじ様を捕まえた。こう聞くと、おじ様は
「知ってたよ?言ってなかったか?」
聞いてません!!!!!!!!
「それはともかくメティーナ、最近口調が乱れてきているよ?領地団に出入りしているからか?きちんとした令嬢言葉を使いなさい、メスクリウス皇子もいらっしゃるのだから。」
ちょっと怒られました。
「それより、いつからメスクリウス皇子をクリス様って呼び始めたのかな?」
私は自分の顔に血が集まっていくのを感じた。
「な、内緒ですわ!」
「令嬢言葉ちゃんと使えるじゃないか。」
何ですかそれは!
「あ、あと、メスクリウス皇子様に観光案内をしてほしいと頼まれたのですけれど、どちらをご案内したらよろしいでしょうか?」
私はもう自力で考えることをやめて、おじさまに聞くことにしたのだ。観光案内なんて自分で考えられないからね!
「ははっ、無理をしてメスクリウス皇子様なんて呼ばなくてもいいだろう?」
いえいえ、そんなわけには参りません。
「そうだな、ああマリ温泉はどうだろうか?」
なるほど、温泉は帝都にはないからいいかもしれない。
「温泉ですか、いいですね、そうします!
他には何かありますか?」
3日間もあるのだ。
他にもお連れする場所が必要だ。
「他か…
他だと植物園とか、製糸場の見学とかになってしまうな。」
植物園、なんとも良い響きだ。
私はお花がとても好きだから、自分が楽しみになってしまう。
製糸場の見学か…フォーサイス公爵領は布の生産で有名なのだ。この機会におじさまに聞いてみようと思う。
「ご提案ありがとうございます、おじさま。
その二ヶ所にお連れしますわ。護衛や根回しのため、領地団をお貸しくださいませね。
….それはともかく、わたくし以前から気になっておりましたのですけど、この領地では何故布の生産だけ行って、布だけを売っておりますの?せっかく最高品質なのですから、ドレスなどにして売ったほうが貴族家個人にも売れますし、顧客の幅が広がると思いますの。そうですわ、いっそのことプライベートブランドも作って仕舞えばよろしいのですよ。」
おじ様は何故か体を硬直させている。私が何度か呼びかけるとやっと返事をしてくれた。
「その発想にも驚いたが、メティーナの商魂逞ましいところにも驚いている。」
私が商魂逞ましいなんて、おこがましい。
世の中にはもっともっと商魂逞ましい人が一杯いるのだ。商人には。そう、商人には。
わたしが教えを受けているのは商人なのだから、仕方がないと思う。教えを受けているというか、物を売りにきたときに最近の市場の話を聞いたり商人の心得を聞いたりしている程度である。
「…いやだ、おじさま。商魂逞ましいなんて、わたくしまだまだですわ。お勉強中ですの。」
「そうか…。」
「そうですわ。」
「取り敢えずは皇子の案内を恙無く終えなさい。」
「かしこまりました。おじさま。」
○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○
「メティーナ、おはよう。」
「おはようございます、クリス様。」
今日は早速温泉にご案内しようと思う。
案内するマリ温泉は、所謂スパリゾートで、今日は貸切にしてもらった。これのせいで行けなくなる人がいることは申し訳ないけれど、クリス様がいくためにはこれくらい必要だった。私だけなら良いのだけど。なので、きょうは領主館の大浴場を1日限定で開放しておいた。
「本日は、マリ温泉にご案内いたします。」
「温泉か。僕は行ったことがないから楽しみだな。」
やはり、帝都にはないし、あったとしてもセキュリティ上の問題で行けないだろうからここにして良かったらしい。
「ラディス、前に出てきなさい。」
ラディスと呼ばれた、よく鍛えているであろう体を持った30代くらいの頭の良さそうな男が前に出てきた。
「フォーサイス領地団、団長のラディスです。若く見えますが、実力は本物です。私が保証します。私が領地団の中で勝てないのはこの男だけですからね。ラディスが護衛計画をご説明いたします。どちらの方に?」
私がクリス様に問いかけると、クリス様はリシャールという騎士を指名した。
「彼は騎士団第一分隊長だ。
それよりメティーナ…君は武術を嗜むのかい?
いや、フォーサイス領地団の殆どに勝ってしまうくらいだ、嗜むどころではないな。」
うっかりしていた。
せっかく帝都にいた間は隠していたのに。
「お恥ずかしい限りですが、お父様やお母様、お兄様方に影響されまして…婚約が決まってからは大人しくしていたのですが…婚約も破棄されましたし自由にしようと。」
「フォーサイス公爵夫人もか?」
お母様はエーテルコーダ帝国の同盟国ウィルダネス王国の元第一王女。加えてあの可愛らしい容姿。たしかに驚くかもしれない。
「母国は圧倒的な騎兵隊が有名ですから、幼い頃から馬と弓を習っていたそうです。わたくしはまだ力がなくて弓を引くことはできませんでしたが、これから教えてもらおうと思っております。」
「なるほど、よくわかった。
メティーナ、君はどんな得物を使うんだい?」
私はお父様から剣を、フロイトお兄様から槍を習った。私が得意なのはどちらかといえば剣だ。
「わたくしは剣と短槍です。」
「そうか、それは1度手合わせ願いたいものだ。」
クリス様と手合わせ!!
してみたい!!
「わたくしで務まりますのなら是非に。
そろそろ向こうのお話も終わったようですわ。
温泉に向かいましょう。」