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婚約を破棄されたスペードの女王さま  作者: 星野 花織
第1章:婚約破棄ー領地帰還
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領地に到着

領地に帰還し、領主館に着くまで何事もなく馬車は進んだ。

領主館の前には、沢山の使用人達が立っている。


「「「おかえりなさいませ、メティーナお嬢様!」」」


「ただいま帰りました。出迎えありがとう。

パトリックおじ様は?ご挨拶させていただきたいわ。」

「先触れを出しておきます。」


この領主館は領都の街の真ん中にある。真ん中に。


なので、こういうことが起きる。



「メティーナお嬢様!!!」

「お久しぶりでございます!!!」


「きゃー!メティーナ様よ!」

「なんてお綺麗なの!」


「ううぉーー!!!」



私は軽く手を振って返しておく。


「お嬢様、パトリック様がお待ちですよ?」

マリーが苦笑しながら私を呼ぶ。


「今行くわ。」



「メティーナ!!

大きくなったな!!またまた別嬪さんになっちゃって!

なんでこんな子があんな目に...

うっうっうっ

マートン(メティーナの父)達だって、水鏡であった時泣いていたぞ?

セレーナだって顔を真っ赤にして怒っていた。

・・・恐ろしかった。」


水鏡→魔術具の一種

水の属性を持っていると使用可能

顔を見て通話できる。


そうなのだ。

あまり強調されてはいなかったが彼らは私が自分で言うのはなんだが娘を、妹を愛しすぎているのだ。溺愛の過保護だ。婚約破棄された日のの夜中なんて、4人で集まってどのように報復するか相談していたのを私は知っている。


「パトリックおじ様、心配してくださってありがとうございます。もう大丈夫ですわ。

わたくし、領地では訓練に訓練に訓練に明け暮れたいと存じますの。領地団にお邪魔しても?」


パトリックおじ様は呆れた顔をして、私を不幸に陥れた。

「あぁ、その件だが。

領地団にお邪魔してもらうのは構わないんだが、帝都から家庭教師が派遣されるらしい。勉強も頑張れよ。」

「・・・!」


あぁ私の2年半のスローライフが...。


まあ今日は領地団にお邪魔します。




○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○


「みなさん、御機嫌よう。

わたくし、フォーサイス公爵家令嬢メティーナと申します。

これから訓練にお邪魔させていただきますからお見知り置きください。」


・・・は?

という顔をしている。


「こ、公爵家令嬢?」

「め、メティーナ様?」

「訓練?」

「お邪魔?」


・・・は?


「し、しかし!

訓練に参加するにしてもその服装では...」

「問題ありません、私はいつもこのような格好で訓練をしております。」


ぜってぇだいじょうぶじゃねぇよ!


○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○


大丈夫だった。


メティーナは領地団にドレスで勝利した。ドレスで。

ドレスに傷、汚れひとつつけずに。

領地団は彼女の動きが人外としか思えなかった。

彼らは圧倒的な実力の差を感じた。


「さすが騎士団長の娘…」

「女って怖い。」



「恐れ入りました!!!!」

「久しぶりに剣を持ったけど意外と覚えているようね?とても楽しかったわ。ありがとう。」


「・・・ひさしぶり?

・・・恐れ入りますが、メティーナ様、お久しぶりとはどのくらいの期間でしょうか?」

「婚約してからはしていなかったから…

7年くらいかしら?」

「「「「「「「な、ななねん!?」」」」」」


彼らはその後1週間ほど精神を病んでしまったらしい。

しかし、その中のある1人が放った言葉で全員が心を取り戻したようだ。

「メティーナ様は普通じゃない。」


○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○*・.○


色々と騒がしくしながらも、帝都にいた頃に比べればうんと穏やかな日々を過ごして、領地に引きこもり始めて早2月。



「やあ、メティーナ!本当に来たよ!」








「・・・・・・・ク、クリス様〜〜〜!!!!」


いや、来たよって。

私は口をあんぐり開けて驚いた。いや比喩ではなく物理的に。


「3日間滞在するから!よろしくね!」


「・・・はあ。」


よろしくねって。


事前に知らせるくらいして欲しかった。

そう伝えたらメティーナのびっくりした顔が見たかったといわれた。

ドS皇子め!


「とりあえず明日から3日間はずっと一緒に居られるよ?

観光案内頼むよ!」



私この領地きたばっかりで観光案内なんてできませんーーー!!!!

パトリック・フォーサイス

マートン(メティーナの父)の弟。

領地にて領主代行を務める。

独身。若い頃に恋人をなくし、ほかの女性とは結婚できないと言っている。

マートンほどではないが、非常に腕が立つ。

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