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婚約を破棄されたスペードの女王さま  作者: 星野 花織
第1章:婚約破棄ー領地帰還
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波乱の誕生日パーティ

はじめまして、なろう初心者です。

いらっしゃいませ。

暖かく見守ってくださいませ。


「この婚約は、破棄させていただきたい!」



私はメティーナ・シャーロット・フォーサイス。

このエーテルコーダ帝国公爵令嬢である。

私は今日、12歳の誕生日を迎えたばかりだというのに自分の身内だけの誕生日パーティーでなぜか婚約破棄をされている。


相手はヘスフィラル・ムアヘッド。我が家より格下の侯爵家令息、15歳である。


私は本当にバカなんじゃないかと思ってしまった。

婚約者なりに交流を続けてきたが、努力することを知らないし、自分のわがままが全て通ると思っている。たかが侯爵家令息で、だ。皇帝じゃあるまいし。

彼はもう15歳である。この婚約の意味を12歳の私でも理解しているというのになぜわざわざ婚約を破棄しようとするのか。しかもこんな多数の見物人、身内だけにしろ貴族がいる中で。全く理解できない。


このエーテルコーダ帝国では最大派閥は私のお父様(この国の騎士団長、フォーサイス公爵)らが率いる公爵派で、ヘスフィラルの父親が率いる侯爵派と対立していた。そこで、お父様の娘の私がヘスフィラルに嫁入りすることで皇帝は派閥争いをおさめようとした。皇帝の命だからお父様は泣く泣くこの婚約を了承した。それなのに。この脳内パッパカパーのお花畑男は何を考えているのだろうか。この件でまた派閥争いが始まるのはもちろん、このヘスフィラルという男は皇帝の命に背いたのだ。立派な反逆罪である。


「メティーナ嬢は何をやってもすぐにできるようになってしまう。私の目の前で。見せつけているようにしか思えない。そして嘲笑っているのだ!どうしてこんな女性と一生一緒に生きていけるというんだ!

大して才能もないくせに。どうせ属性だって2つしかないんだろう。メティーナ嬢に言われたように精霊に契約してくれるよう頼んでも強い精霊は誰も私と契約してくれなかった!お前のせいだ!」


へー。そうなんだ。大体、そんなに力のある精霊と契約できなかったのはわたしのせいじゃないでしょうが。

この国では15歳に属性調べの儀がある。そこで属性を調べてから国内にある学園に入学するのだ。学園に入学するまでに属性の必要ない生活魔法をマスターするのが基本である。また、学園に入学する前に精霊とも契約する。魔術とは、宝石が魔石化したものを使い、精霊が魔力を生成しそれを受け取って行使するのだ。精霊には力が強いものから弱いものまでいる。どの強さの精霊と契約できるかは個人の属性による。多少は契約時の文言が非常に失礼とかではなければ、属性の強さに対する精霊と契約することができる。属性の強さと精霊の強さが釣り合っていなければ見向きもされない。つまり、彼は今自分の3つのどの属性も強くないということを明かしてしまったのだ。


実際、私はもうだいたいの生活魔法は扱えるようになったし、婚約者として頼りない彼を支えて行くために頑張って勉強もしていた。しかし、彼はそんな私が気に入らないらしい。


もういい加減にしてほしい。そう言おうと思ったら...

「どういうことだ。ムアヘッド侯爵。この婚約が不服なのか?」

お父様だった。流石に侯爵もお父様まで出てきては子供の戯言では済ませることができなくなったらしい。

「いや、私は息子に任せているものですから。」


何考えてるのよ!


「この婚約は皇帝陛下によって決められたもの。

これを破棄するとなっては其方の家は反逆者と言われても仕方がないぞ。わかっておるのか?」

このお父様の言葉を聞いて広間がざわめき出した。

私は被害者の立場ではあるが、元婚約者が処刑などとは寝覚めが悪い。なので止めることにした。


「お父様、もうおやめになってくださいまし。わたくしのためにお怒りになってくださるのはうれしいのですが、わたくし、無駄な殺生は好みませんので...

それに、わたくしがヘスフィラル殿のお心を繋ぎとめられなかったのも悪かったのですわ。ヘスフィラル様は最近引き取られたようなので御家名は存じませんがどちらかの男爵家のアリス様とかいうお嬢様とお幸せに。」

これを言った瞬間、広間がしーんとなってしまった。さっきまでざわめいていたのに。


「なっっ!何故それを。」(ヘスフィラル談)

「メティーナ、それは一体どういうことだい?」(顔に青筋立ててビクビクさせているお父様談)

「・・・!」(口をあんぐりあけて顔を真っ青にして固まってしまったヘスフィラルの父談(?))

((((((((うわき?格上の婚約者がいるにもかかわらず?)))))))))(広間にいる貴族たち談)


そう、いうのを忘れていたが、彼は浮気しているのだ。バレていないとでも思っていたのか。

わたしには頼りになる社交界のお姉様方がいるのだ。まだ12歳でデビュタントを終えていないわたしが社交界に顔を出すことはできないが、お姉様方がやたらとわたしを気遣って情報を流してくれるのだ。


「ですから、男爵令嬢ではあまり侯爵家に釣り合いませんのでヘスフィラル様が男爵家に婿入りして跡取りの座は弟君に譲られるのかと思っていたのですが...

間違いでしたか?」


「・・・。

わたしはアリスを守ってやりたかったのだ!」


は?


「ヘスフィラル様、それはどういうことですか?」

わたしがそう聞くと彼は勝ち誇ったような顔をしてほざいた。


「メティーナ嬢、あなたがアリスに対して嫌がらせをしていると聞いた。あなたが懇意にしている公爵家のご令嬢たちに言ってアリスの悪口を学園で他のものに吹き込ませているそうではないか。」


公爵家のご令嬢たちとはお姉さまたちのことである。

だいたいどんな濡れ衣だ。


「わたくしはアリス様についてお姉様方から伺いましたけれど、お姉様方がそんなことをするとお思いで?

何度か注意したとも聞きましたわ。あなた様の婚約者であるわたくしを思って。ただ、その注意は婚約者がいる身の男性に必要以上に話しかけてはいけないと言った内容とおっしゃっておりましたわ。それって普通のことですわよね。だいたい、わたくしはお姉様方に注意してとも言った覚えはございませんわ。」


「証拠だってある!この手紙に書いてある!」

広間にいる貴族は哀れみの目で見ている。

私は無理やり会話を終わらせる。


「あら、わたくしの12歳のお誕生日パーティーが散々になってしまいましたわ。もう今宵はこれでお開きとさせていただきたいですわ。よろしいですか、お父様?

でも、婚約が破棄されてしまったのは私にも責任があることと存じますから、私は領地に戻らせていただきます。お父様、よろしくて?

お母様、私少し気分が悪くなってしまって...

お部屋に下がらせていただきたいです。

お客様のお見送りをお願いしてもよろしいですか?」


「あ、ああ。」

「ええ、いいわよ。」

少し目が虚です。


「まだ話は終わっていない!待て!」


「それでは皆様、お騒がせいたしました。

本日はお集まりいただきありがとうございました。

これからしばらくお会いすることはないでしょう。」



(ああ、余興が終わった。)

不定期更新です。


もしよろしければ評価などよろしくお願いします。


お読みいただきありがとうございました。

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