特別室 K・R様
「菜須さん、今日の担当患者さんの看護記録よ」
指導看護師さんに今日から担当をするK様の看護記録を渡される。
「看護記録に目を通したら、病室行くから声かけて」
指導看護師さんに声をかけられ「はい」と返事をして看護記録を確認する。
お盆休みとかで病院お休みなので我慢をしていた様子。痛みが辛かったようだ。
「菜須さん、もう大丈夫かな?」
「はい、完璧です」
「それでは行きましょうか」
「はい」
指導看護師さんに連れられて特別室に挨拶に向かいました。
「K様、看護を担当させていただく看護実習生を連れてきました」
指導看護師さんはK様に話しかけました。
「菜須さん、ご挨拶して」
指導看護師さんに言われて一歩前へ出る。
「☆☆大学看護学部看護学科4年 菜須よつ葉です。よろしくお願いします」
「よろしくね」
挨拶のあとは、検温と血圧を測定する。
「痛みはありますか?」
「お薬が効いてます」
「良かったです。何かありましたらナースコールしてくださいね」
お決まりの台詞を言う看護実習生よつ葉。
「あれ? もうおしまい?」
「はい。どうかされましたか?」
「入院って退屈で……」
「それじゃあ、コミュニケーションタイムの時間をたくさんとりますね」
「待ってるよ」
ナースステーションに戻り回診まで、指導看護師さんに実習記録の確認をしてもらう。
「よく書けてるわね。夜中まで闘った?」
「午前3時です」
「睡眠は?」
「2時間です」
「うわっ、懐かしい。私も学生の時、そうだったわ!」
「看護学生あるあるですよね」
「自分は睡眠不足なのに担当患者に[よく眠れましたか]って言わなきゃいけないもんね」
「笑顔で」
「学生時代には戻りたくはないわね」
こんな会話がナースステーションで繰り広げられる平和な病棟です。
「ほら、コミュニケーションタイムの時間じゃない?」
「はい、行ってきます」
入り口の扉をノックして声をかける。
「失礼します。K・R様、今、大丈夫ですか?」
「よつ葉ちゃん、いらっしゃい」
「痛みはどうですか?」
「さっき、薬飲んだから今は楽だよ」
「良かったです」
「よつ葉ちゃん、実習は順調?」
「はい。ちゃんと単位取得してますよ」
「就活は?」
「第一希望の病院から内定もらってますよ」
「それなら安心だね」
「国試落ちたら内定取り消しですけど……」
「いやいや、よつ葉ちゃんに限ってそれはないでしょ」
「いやいや、油断が命取りですよ」
「優等生の台詞だね」
「普通ですよ」
色々とお喋りをしてお天気が良いので車椅子で中庭にお散歩に出かけることに。
「外の空気は良いね」
「そうですね」
「このまま外出できそうだね」
「それはダメです」
「やっぱり(笑)」
中庭でゆっくり過ごし病室へ戻り検温とバイタルチェックをして看護記録に書き込む。
「夕食までゆっくりしてくださいね。何かあったらナースコールしてくださいね」
お決まりの台詞を伝えてナースステーションに戻る。
こうして平穏な時間が流れている、なろう大学附属病院の特別室です。




