カルテID#003 たこす様(看護記録.No.2)
「だーれだ企画第2弾」企画主催お疲れ様でした。楽しく参加させていただきましたのでお礼で、たこす様へプレゼント作品です。
珍しく救急外来が落ち着いていた時、電話が鳴り響き、その場の空気を一変させた。
「なろう大学附属病院救急救命です」
電話の近くにいたドクターが受話器をとった。救急隊からの依頼を確認しメモを取っていく。そのメモを見ながらその他の医師や看護師が準備を進めている。
「受け入れます。搬送してください」
電話を受けたドクターが、救急車の受け入れを許可し、救急車到着までの数分間であらゆる事態を想定して準備を進める医療チーム。救急車のサイレンが近づいてきて担当スタッフが受け入れのため出迎えに出て待機する。
救急車が到着して救急隊員がストレッチャーを降ろし院内へと進めていく。ドクターは救急隊員から話を聞きながら治療の方針を組み立てる。ナースは声をかける。
「たこすさん、病院に着きましたよ。わかりますか?」
看護師の問いかけに、
「はい、わかります」
「もう少し我慢してくださいね」
「早くしてくださいね」
受け応えもできるので今すぐ命の危機は無いだろうと思うも詳しいことはドクターの診察を受けないとわからない。
救急搬送になった経緯は、なろうが開催するイベントに参加中、仲良しのユーザー様が揃い、話に花が咲き次から次に来るユーザー様と盛り上がっていて、急に手足の痺れやこむら返りがあり、立ちくらみで立っていられない状態になり、救急車を手配され搬送に至った。
救命医が皮膚や舌、指先の血の巡りの診察により、脱水状態かどうかの確認し、血液検査でヘモグロビンの値が通常以上に高くなっていたことから血液が脱水してたため、点滴処置が施され経過観察となった。
救急外来から一般病棟に受け入れ依頼をする。
「救急救命ですが、熱中症患者の受け入れお願いしたいんですが」
「わかりました。引き継ぎに伺います」
「内科病棟の菜須です。引き継ぎに伺いました」
「たこす様、熱中症疑いで救急車で来院、脱水症状がみられ点滴処置中です」
引き継ぎも進み病棟へ移動となる。
「たこす様、こんにちは。今から病棟の方へ移動しますね」
「あっ、よつ葉ちゃん!」
「ワクチン接種以来ですね、今日は無茶しちゃったんですか?」
「なろうのイベントでさぁ、色々みんなが来てくれて……」
「ハメを外しちゃったんですね」
「ちょっとだけだよ。うん、ちょっとだけ」
「ちょっとだけじゃ救急車で来院しませんよ」
「よつ葉ちゃんも言うようになったなぁ。新人の頃はもう少し可愛かったのに」
「たこす様、何か言いました?」
「寝言です。忘れてください」
「しっかり起きてますよね。覚えておきます」
「やっぱ何年も経つと怖くなるのね」
「4年目ですけど、なにか?」
「寝ます」
「もう少し後からにしてください」
「……はい(絶対活動報告で報告しよう。よつ葉ちゃんは、怖くなったと教えてあげよう)」
「可愛く書いてくださいね」
「? 何故、何も言ってないのにわかったんだ?」
こんな会話をしながら廊下を進み内科病棟へたどり着いた。内科病棟の扉を開いて、ベッド移動を手伝ってくれていた看護助手の島さんと病室にベッドを設置してバイタルチェックをして点滴残量をチェックする。
「何かあったらナースコールしてくださいね」
「もういっちゃうの」
「はい」
「えぇ〜」
声をかけてナースステーションへ戻る。そして看護記録を書き先輩たちと話しているとナースコールが鳴る。
「よつ葉、鳴ってる」
「私ですか?」
「連れてきたんだし?」
ナールコールを取るため席を立つ
「たこす様、どうされました?」
「あのぉ……」
「はい、どうされました?」
「お腹すいてきました」
「夕食の配膳まで待ってくださいね」
「ご飯は大盛りでお願いします」
「レストランじゃないです」
「お腹すいたので……」
「もう一本点滴追加されてるので、後ほど伺いますね」
「よつ葉ちゃんじゃなくベテランの方が良いです」
「よつ葉が伺います!」
後ろで聞いていた先輩看護師たちは、クスクス笑っていたけど耐えきれなくなった先輩が大笑いしはじめた。
「たこす様、ナースステーションで大人気ですよ」
「えっ? マジでぇ〜」
「はい」
私の解答間違ってないよね? すっかりお腹すいたのナースコールは無事に回避され食事の時間まで待っててもらうしかない。その頃のナースステーションでは……
「熱中症疑いで搬送されてきて、お腹すいたは初めてだわ」
「水飲みたいです。とかなら、わかるけどね」
「点滴終了後帰宅で良かったんじゃない?」
「元気そうですもんね」
「ガッツリ入院料払っていただきましょう」
「看護師指名料も加算しても良いですか?」
「そんな制度なかったよね?」
「無いですけど、たこす様稼いでいそうだから払ってくれそうじゃないですか?」
「えっ?そんなにすごい方なの?」
「企画で大当たりしてますから。きっと」
ナースステーションで、たこす様は密かな人気者になっていた。




